先駆者の例から分析! ピース・綾部のNY武者修行は無謀な挑戦なのか?

 今月8日、お笑いコンビ「ピース」の綾部祐二(38)が緊急会見を開き、来年4月から活動の拠点を米ニューヨークに移し、ハリウッド俳優を目指すことを発表した。

 一部報道では約4000万円の年収を捨てて、異国の地でゼロからスタートするという。夢に向かって挑戦するその姿勢には、「羨ましい」、「カッコイイ」と賛同する声もある一方で、英語も話せず、現地で何をするのかも決まってないという、その無計画さに「勘違いしているのでは?」「無謀すぎる!」といった厳しい声もインターネット上では飛んでいる。

語学力よりもハングリー精神がカギ

 「英語がしゃべれないというのは、さほど問題ではありません。現地で暮らしていれば、自然と英語力は身に付きます。それよりも、どれだけ厳しい環境に自分を置けるかが重要です。ハリウッドやブロードウェイを目指す人たちは演技も達者で、それこそ世界中から集まってきます。そして何より、彼らは夢を叶えたいという思いが強い。アメリカで成功し、母国で貧困や差別、暴力で苦しむ家族を呼び寄せたいと思う者もいます。日本である程度成功し、金銭的にも余裕がある綾部さんが、死にもの狂いで、アメリカンドリームを目指す彼らを蹴落としていけるのか。今のところは疑問です」

 日本では、12年に放送された「赤川次郎原作 毒〈ポイズン〉」や15年放送の「別れたら好きな人」などドラマの主演こそ務めてはいるものの、あくまでもお笑い芸人としての活動がメインだった綾部。

 言葉の壁、演技力、ハングリー精神……、課題が山積みであるのは間違いないようだ。

北野映画”の端役から米三大ネットワークの番組司会者になった先人

 そんな綾部が手本とすべき人物がいるという。

 ニューヨークコメディ大会での優勝を足がかりに、アメリカ三大ネットワークのABCのゴールデンタイムの番組司会を日本人で初めて務めた、神田瀧夢(ろむ)だ。

 芸能評論家の市川大介氏はいう。

 「神田瀧夢は、北野武監督のデビュー作『その男、凶暴につき』をはじめ、北野映画数本に端役ながら出演。その後、ハリウッド俳優を目指し、ニューヨークでオーディションを受けまくりますが、ほとんど受からずに数年間下積み生活を送りました。その後、コメディクラブに立つようになり、その頃から徐々にハリウッド映画にも端役ではあるものの出演。そして、ABCのゴールデンタイムの司会者に抜擢され、成功を手にしました。アメリカでは、最も有名な日本人とも言われています。一度、日本で売れている綾部が神田のように自分でオーディションを探し、いかに売り込むことができるか。何でも所属事務所がやってくれる日本の芸能界のぬるま湯体質とは違うということを、いち早く認識する必要がある」

 笑いや演技の質の向上と並行して、自分自身を“プロモート”する力がなければ、アメリカではやっていけないようだ。

失敗しても挑戦すること自体に価値はある!?

 綾部の最終目標は、ハリウッドで有名になってレッドカーペッドを歩くということだが、夢は叶わずとも、この無謀とも思える挑戦は後に役立つという見方もある。

 「かつて俳優の吉田栄作が、人気絶頂のときに役者修業と称して渡米しています。結果的にはとくに名が売れることもなく3年ほどで帰国していますが、語学力が身に付き、そして役者としての考え方も変わりました。渡米前の彼は売れっ子のトレンディ俳優と持てはやされたこともあり、何かと“上から目線”で天狗になっていた。しかし、向こうで苦労したのか、渡米後は態度を改め、役者としてのキャリアも着実に積み上げてきている。綾部もハリウッドで有名にならずとも、人間的に大きくなって帰ってくれば、それはそれで今後の芸人生活でプラスになるのではないでしょうか」(芸能プロダクションマネジャー)

 相方の又吉直樹が芥川賞を受賞したことで、格差コンビとも言われている「ピース」。

 大ヒットした又吉の小説『火花』に負けないくらいの“花火”を綾部はアメリカで打ち上げることができるのか? 今後に要注目である。

 (文責/JAPAN芸能カルチャー研究所(http://japan-culture-labo.com))