長嶋一茂のブレイクを後押しする「ザイオンス効果」とは?

長嶋一茂のブレイクを後押しする「ザイオンス効果」とは?

長嶋一茂人気は「ザイオンス効果」さらにアップ?

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人やトピックスをピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、このところ様々なテレビ番組に引っ張りだこの長嶋一茂を分析。

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 長嶋一茂がブレイクしているらしい。そう言われてみると、最近、テレビで顔を見ることが多くなった。朝の情報番組だったり、バラエティーだったり。上半期だけで出演回数は114回に上り、タレントとしてはトップクラスだという。なぜ今、彼がブレイクしているのだろう?

 一番に『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でのコメンテーターぶりが思い浮かぶ。今年に入り、栄和人前日本レスリング協会強化本部長のパワハラ問題に、日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題と、スポーツ界の有名指導者が関与した問題が相次いだ。それに輪をかけ、当の本人たちはそれを認めず責任逃れに終始するというお粗末な会見が続いたことで、元プロ野球選手というアスリートの立場から、彼がコメントする機会が増えたこともある。

 加えて、サッカーワールドカップの日本代表チームの活躍やら西野監督の采配で、日本は大いに盛り上がった。政治問題や国際問題を語らせると、当を得ずトンチンカン気味。だけど専門性や経験、バックグラウンドが活かせるスポーツ界での問題になると、彼独自の視点がプラスに作用。そのコメントは難しくも理屈っぽくもなく感覚的で、歯に衣着せぬコメント続出なのだが、彼の物の見方、捉え方が前面に出やすくなったことで、見ている側の彼への印象が変わったのだ。

 彼のキャラといえば、まさに“天然”という言葉で表されている。確かに、番組MCの羽鳥さんが彼のコメントに困り果てた顔を見せたり、慌てて止めたりと、生番組ならではの場面があるのだが、それもなんだかコントや漫才を見ているように面白い。それでも彼は時に面白おかしく、時に手厳しく、独特な表現で持論を展開していく。他のコメンテーターらに反論されても動じず、自分の意見を貫くが、コメントを止められても、むやみにゴリ押しをするほど自己主張は強くない。

 悪いことは悪いといい、ダメなものはダメとはっきり言う。ことスポーツに関しては一本筋が通っていて、その軸はぶれず潔ささえ感じさせる。熱く語る時は熱く、怒る時は顔色を変えて怒り、そしてよく笑うため、感情が伝わりやすい。礼儀正しく真面目なのだが、自由奔放でどこか抜けている。決してコメントが上手いわけでも、人に受けよう、笑わせようとしているわけでもなく自然体。だからこそ憎めない。長嶋茂雄さんの息子だと知っていれば、そうした言動も育ちの良さとしてプラスに捉えられる。そんな彼のキャラが、昨今のスポーツ界のあれこれによって際立ったのだと思う。

 それによって注目が集まり、出演回数が増えたわけだが、ブレイクした理由はここにもある。それは「ザイオンス効果」、日本では「単純接触効果」という名前で知られている。人は繰り返し見ている相手に対して慣れが出てくる。慣れてくると、よく目にする相手、よく顔を合わせる相手に対して魅力を感じ、好意を持つようになるという。これがザイオンス効果だ。さらに、何度もテレビで見たり聞いたりしているうちに、そのタレントのことをよく知っているように思えてきて、いつの間にか好感を持つのである。

 自身のブレイクについて聞かれたあるトーク番組では、出る理由も根拠もタレントとしての能力もなく、ブレイクも一過性のものだと発言。「たまたまそういう時に(業界に)入っただけ」と、本人はあくまで冷静なのだ。野球選手として期待と注目を一身に浴びながら、華々しい結果を出せずに転身した彼らしい冷めたコメントだ。

 奢りのない冷静な自己分析は、彼への好感度をさらに増すだろう。下半期の活躍にも注目だ。

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