日テレの3冠王陥落 敗因と指摘される2つの番組の名前

日本テレビが月間3冠王陥落 『news zero』『ZIP!』『スッキリ』などの番組が敗因か

記事まとめ

  • 4年連続で年間視聴率3冠王獲得してきた日本テレビが「月間3冠王」を逃した
  • 日テレは『行列のできる法律相談所』『世界の果てまでイッテQ!』など人気番組を持つ
  • 『PON!』を廃止し『バゲット』を開始、有働由美子アナで『news zero』を一新

日テレの3冠王陥落 敗因と指摘される2つの番組の名前

日テレの3冠王陥落 敗因と指摘される2つの番組の名前

連続三冠王が途切れた日本テレビ(共同通信社)

『行列のできる法律相談所』『世界の果てまでイッテQ!』『ザ!鉄腕!DASH!!』……。錚々たる人気看板番組を持ち、4年連続で年間視聴率3冠王を獲得。民放の雄として君臨してきた日本テレビに異変が起きた。

 実に58か月、足かけ5年にわたる連続記録が、ついに途絶えた──。テレビ業界に激震が走ったのは10月の月間視聴率だった。日テレが「月間3冠王」を逃したのだ。

 3冠王とは、全日(午前6時~午前0時)、プライム(午後7~11時)、ゴールデン(午後7~10時)の全てでトップを取ることを指すが、日テレは「全日」の首位を、テレビ朝日に明け渡した。

 日テレの大久保好男社長(68)は10月29日の定例会見で「平日の午前午後のベルト番組が苦戦している」と言及したが、日テレ内にも緊張が走っている。

「朝・昼の屋台骨が揺らいでいるという危機感が表面化した。さっそく、来年4月にかけて情報番組を中心としてテコ入れすることが決まりました」(日テレ局員)

 元日本テレビプロデューサーの村上和彦氏も言う。

「ここでガクッと一気に全ての視聴率が落ちるということはないでしょう。ただ、このまま徐々に下がっていき、2年後に“気が付いたら落ちていた”となるようなイメージを抱きます」

◆有働さんの意向は……

 日テレとて対策していないわけではない。

 各局が改編のタイミングで改革に走る中、日テレは昨秋も今春も「ほぼ変更なし」という強気のスタンスだったが、今年の秋改編(10月~)では朝の情報番組『PON!』を廃止し、エンタメ&生活情報番組『バゲット』をスタート。さらに“目玉”として、NHKを退社した有働由美子アナを迎え入れ、『news zero』を一新させる大勝負に出ていた。

「そんな中での『3 冠王陥落』には、新生『zero』の“躓き”のせいにする声が出てきています。『zero』は鳴り物入りで加わった有働アナの現地取材やインタビューの企画を設けるなど、彼女の意向を優先する形で作られています。スタッフにも遠慮があり、様子見をしていたところがあった。しかし、視聴率は期待したほどは上がらず、5%以下を記録する日もあった。今後はスタッフが内容により介入していく方向になるようです」(前出・日テレ局員)

 日テレが「月間3冠王」を逃した敗因を、前出・村上氏は「朝の情報番組『ZIP!』と『スッキリ』でしょう」と指摘する。

「30代、40代女性というメインターゲットを奪い合ってきたフジの『とくダネ!』に負けている点が大きい。『スッキリ』はテリー伊藤氏や勝谷誠彦氏といった曲者がいなくなり、MCの近藤春菜や水卜麻美アナが投入されましたが、視聴者が潜在的に求めている“毒”がなくなってしまった。コメンテーターが“良識派”ばかりで、『とくダネ!』の古市憲寿氏のような“炎上が期待できる”キャラがいません。MCの加藤浩次の個性も際立たなくなり、結果的に視聴者が離れていっているのでしょう」(村上氏)

 日テレの情報番組といえば、『スッキリ』や『ヒルナンデス!』のように芸人からアイドルまで華やかな出演者を揃え、ロケ企画や新コーナーをいくつも登場させる手法で、若者を中心に視聴者を取り込んできた。

 ところが、最近ではテレ朝の『グッド!モーニング』『モーニングショー』が中高年の支持を得て朝のトップに立つ。昼の時間帯はTBSの『ひるおび!』が首位に立ち、さらには『ヒルナンデス!』に惨敗していたフジの『バイキング』が時事ネタ中心のトークバラエティとして急成長。日テレの存在感は薄れてきた。上智大学教授(メディア文化論)の碓井広義氏はこう分析する。

「日テレは90年代、当時トップを走っていたフジから王座を奪いました。その頃の日テレはフジを熱心に研究していましたが、いざトップに立つと、研究してまで乗り越えようとする目標がなくなってしまった。現状維持が求められる中、視聴者も日テレの番組に慣れてしまい、刺激的でなくなってしまったのではないか。そんな中で、他局が日テレの番組作りや編成を研究し、追い付いてきたのでしょう」

◆ガッキーでも救えない?

 綻びが見え始めたのは朝・昼だけではない。盤石のゴールデン枠のバラエティ番組も「ここにきて“勤続疲労”が始まっている」と前出の村上氏は指摘する。

「『イッテQ』や『DASH』のような、他局には真似できない独自カラーの人気番組もある一方、最近は『行列のできる法律相談所』を作ったエース演出家の手法をコピーしたような演出が目立ちます。有名芸人のMCを中心に、スタジオにタレントを並べて、VTRを流し、クイズ形式などでトークを繰り広げる。新番組でも視聴率の安定化を探るうちに中身が似たような番組になってしまう。そうして手堅く番組を作るのが日テレのやり方で安定の秘訣でもありますが、無難な番組ばかりで、尖った企画は実現しにくい環境になっている」

 自ら生み出した“安定の日テレらしさ”が、いつしか足枷になってしまっているようだ。

 鳴り物入りでスタートした新垣結衣主演のドラマ『獣になれない私たち』も視聴率1ケタ台と低調。安定志向を棄てて“獣”になるべき時なのか。

※週刊ポスト2018年11月16日号

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