チコちゃんが大人気の理由は「キャラ設定」と「謎解き要素」

チコちゃんが大人気の理由は「キャラ設定」と「謎解き要素」

記事画像

「2018ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンにも選ばれたチコちゃん

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、大ブレイク中の「チコちゃん」を分析。

 * * *
 大型連休中、ボーっと日向ぼっこしていた公園で子供たちが叫んでいた。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」 NHKの雑学クイズ番組『チコちゃんに叱られる!』の人気は根強いようだ。

 そこで、遅ればせながら人気の理由を考えてみると、大きく分けて2つあると思う。1つ目は、チコちゃんのキャラクター設定の巧さだ。叱られたい人が続出しているというチコちゃんは、おかっぱ頭の女の子。身体は着ぐるみ、声はボイスチェンジャー、顔はCGを駆使した永遠の5才児というキャラクターだ。

 そのチコちゃんが、聞かれなければ考えもしなかった素朴な疑問を、MCでナインティナインの岡村隆史さんとゲストらに投げかける。上手く答えられないと、チコちゃんが頭から湯気を出し、顔を真っ赤にして「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と決め台詞を叫ぶ。見た目とその声からくるインパクトは大だ。

 令和になって初の放送、出された質問は「写真を撮る時に、『はい、チーズ』というのはなぜ?」「お医者さんが白衣を着ているのはなぜ?」。それが当然と思っていたから、不思議に思ったことはない。いや、考えるようなことだと思っていなかった。けれど、5才児にとっては謎なのだ。ここが5才児という設定の巧さである。大人とは違う視点、発想力、想像力があり、言いたい事は言うようになり、大人ときちんとやり取りができて、暗記力も思考力もしっかりしてくるのは5才頃からだ。

 生意気で毒舌たっぷり、それでいて可愛くて憎めないというキャラも5才児ならでは。5才頃には“中間反抗期”というちょっとした反抗期があるといわれる。大人の真似をしたがる反面、妙に冷めた目で大人顔負けの発言や鋭い分析をしたり、口答えをし、子供っぽさと大人びた部分の両面が見え始める時期である。また、この年の頃の女の子は男の子よりおしゃまだ。子供と大人の間を行き来するようなやり取りも、5才の女の子という設定ならば違和感がない。それに、小学生には分別を求める大人も、この時期の子供が言うことなら許せてしまう。

 だからこそ、チコちゃんは子供らしい子供に見えなければならず、ちびまる子ちゃんみたいなおかっぱ頭で、女の子の好きなピンクのワンピース姿なのだろう。質問する時は「一番○○な大人はだあれ?」という聞き方をするし、ゲストをニックネームで呼んだりと、子供らしさが強調されている。着ぐるみとCGの効果で、表情や仕草が大きくはっきりしていて、感情がわかりやすいのも子供らしさを感じさせる。

 2つ目は、クイズ番組でありながら、謎解き要素が強いことだ。身近で日常的な事が質問になっているだけに、自分が知らない、考えてもわからないとなると答えを知りたくなってくる。まずここで視聴者の心を掴んでいる。

 その後、チコちゃんから解答が告げられる。ところがこの答えにも、ヘェ〜と納得できるものから、それどういう意味?と意外なものまである。チーズと言う理由は「チーズが美味しかったから」、白衣は「イメチェンしたかったから」。謎が謎を呼び、視聴者はますます惹きつけられていく。専門家の見解や裏付けとなるVTRが流されるが、その作り方も笑いやギャクが適度に入り混じり、時間的にも長すぎず短すぎず飽きさせることがない。

 他局で人気のクイズ番組は、雑学の知識量や暗記力、瞬発力が試され、クイズが得意なタレントたちが競い合うゲーム感覚の番組が多い。どちらかというと番組を見ているという印象になる。一方、『チコちゃんに叱られる』は答えが1つでない場合もあり、クイズ番組というより謎解き番組に似ているから、子供から老人まで、あれこれ考え推理したり、笑いながら頭の体操ができる面白さがある。解答を聞き、自分なりに納得するまでのプロセスも楽しめる。

 身の周りには、わかっているようでいて実は知らない事が山ほどある。でもなかなかそれに気がつかない。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とテレビの前でチコちゃんに叱られる度に、苦笑いするしかない。

関連記事(外部サイト)