「ラジオ出身アナはTVでウケない」説を覆す3人の注目アナ

「ラジオ出身アナはTVでウケない」説を覆す3人の注目アナ

活躍の幅を広げている荘口彰久

 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回はラジオ出身のアナウンサーについて。

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 昔から「ラジオ出身のアナウンサーはテレビではウケない」という業界の定説がある。

 放送作家の大御所が「どうしてなんだろうねぇ、ラジオではあんなに面白いのに」と半ば嘆いていたのは、AMラジオで帯の人気番組をもつ“パーソナリティー”と呼ばれるアナウンサーたちのこと。

 文化放送出身の吉田照美や、ニッポン放送出身の高嶋秀武、古くは同・今仁哲夫もそうだった。ラジオでは、看板番組や人気の帯番組をもち、リスナーから高い支持を受けている。というワケで、リスナーの一人でもあるテレビ番組のプロデューサーが絶対の自信をもって引っ張ってくるも、「こんなハズではなかった」というケースが度々あった。

 TBSラジオ出身の大沢悠里も、この“グループ”かもしれない。TBSはテレビとの兼営局なので、いまでは安住紳一郎アナのように、ラジオでも聴取率トップを獲得するレギュラー番組をもちながら、テレビでは言わずと知れた大人気アナという人も稀にはいるのだけれど、先にラジオで売れてしまったアナウンサーというのは、どうもテレビでは借りてきた猫のようになってしまうのだ。

 文化放送からは、アナウンサーや文化人がパーソナリティーを務めていた時代の『セイ!ヤング』から、故・土居まさるさん、みのもんた、さらには落合恵子氏という人気者が輩出された。早くにフリーとなった土居さんや、そのあとを追うようにフリーになったみのは数少ない成功者かもしれない。「レモンちゃん」こと落合恵子氏は、作家として執筆活動をしたり、児童書籍専門店『クレヨンハウス』を開いたりと、女性アナウンサーで新たな道を拓いた先駆者でもある。だが、こうした“成功者”でさえ、「ラジオのほうが面白かった」という評判のまま、いまに至っている。

 そんな中、ニッポン放送出身のアナウンサーが元気だ。

◇荘口彰久は「チャーミングさ」を持つアラフィフアナ

 まずは、現在、アミューズに所属している荘口彰久(そうぐち・あきひさ)だ。いまも古巣で『大橋未歩 金曜ブラボー』なるレギュラーをもち、アニメマニアとしてもファンの間では有名。ファンといえば、『福山雅治のオールナイトニッポン』にも出演していたので、“福山ファン”の女性や男性の間でも有名人だ。

 ラジオのアナウンサーというと、声や高いアナウンス力が物を言い、テレビのアナウンサーに比べると、ルックスで採用されるということは、まずない。男性アナウンサーなら殊更なのだが、荘口は、アラフィフには見えない、かわいらしいタイプで、カラーシャツにベストという“衣装”がトレードマークの、アイドルっぽいところがある。

『とくダネ!』(フジテレビ系)でリポーターをしていたときも、小倉智昭にツッコまれる場面が多かったし、シリアスな事件現場よりは、トレンド情報が得意だったように思う。だが、やっぱり、アナウンス能力は高く、いまでは同番組のナレーターとして活躍している。

 ラジオ出身のアナウンサーらしく、アクセント、イントネーション、間のとりかた、緩急のつけかたまで、完璧。ちなみに、“声”は、採用された年によって基準が異なる。「この声質、この高さ(低さ)のアナウンサーは既にいるので、違うタイプを採用しよう」というのがラジオ局。「声なんかでは採ってませんから」と採用担当アナが豪語するテレビ局とは、やはり大きく異なるのである。

 荘口はさらに、ジャニーズ事務所のアーティストが主演する映画の完成披露試写会でもおなじみ。アイドルやイケメンが多く揃う場に登壇しても、なじんでしまう、チャーミングなルックスと、ラジオ出身のアナウンサーだからこそ立場をわきまえた、決して出しゃばらない仕切りは見ていて気持ちがよく、ジャニーズの番記者の間でも「あのアナウンサー(荘口)だと安心する」と大評判なのである。

 果たして、現在は加藤綾子キャスターの『Live News it !』(同)の「アレコレト!」を仕切っている荘口。加藤キャスターがMC席を離れ、ソファセットで「女子会」さながらにトークをする“注目の”コーナーだ。

 11日に『新・フジテレビ批評』内で5月の番組審議委員会の模様が放送されたのだが、委員からは、「加藤さんをキャスターとして育てたいのか、ニュースショーの案内役にしたいのか」と質問が飛んだ。報道局の織田雅彦編集長は、「欲張っているかもしれない」と前置きしながら「両方」と答えている。

 同番組ならではの“らしさ”や、他番組の女性キャスターと加藤キャスターとの差別化を図りたいのは明確で、そのコーナーのプレゼンターである荘口の責任は重大であるように思う。

 が、彼は常に軽やか。加藤キャスターとの相性もいいのではないか。あのようなコーナーは、出演者が仲良さそうにトークすることが第一条件であると筆者は考える。プレゼンのみならず、体験取材に必ず出ている荘口は、繰り返しになるがアラフィフには見えず、ときに芸人のような動きも見せつつ、“パパ”の一面も出す、貴重な存在だ。 

 以前、男子アナや気象予報士の人気者は「みんなチャーミング」と書いたが、荘口は、まさにそのタイプだと思う。

◇川野良子アナはピンク・レディーを歌って大反響!

 そんな荘口のニッポン放送時代の後輩であり、「小加トちゃん」のニックネームでリスナーに愛された川野良子アナが、フジテレビのアナウンサーとして、ブレイクしている。『週刊ポスト』でも特集が組まれ、『女性セブン』では筆者の“出演記”が掲載されたばかりの『クイズ!脳ベルSHOW』(BSフジ)での川野アナのアシスタントぶりが業界で大評判なのだ。

 いや、視聴者にも大人気。ラジオ番組よろしく、視聴者から“お便り”がたくさん届く同番組では、司会の岡田圭右(ますだおかだ)の評判もさることながら、川野アナが“ほんいき”で歌う『伊勢佐木町ブルース』や、特番で森口博子と共に、これまた“ほんいき”で歌い、踊ったピンク・レディーについての“反響”が大きいのである。

 なぜ「小加トちゃん」と呼ばれていた(まだ呼んでいる人も多い)かというと、ニッポン放送時代、『加トちゃんのラジオでチャッ!チャッ!チャッ!』で、加藤茶のおなじみの扮装(ハゲ面、チョビ髭)をして街に出る中継コーナーが大人気だったからだ。川野アナ、この頃から実はテレビ向きだったのかもしれない。

 隣に居る岡田圭右に「ウチの良子」と言わせるほど頼もしい存在になっている川野アナは、『クイズ!脳ベルSHOW』には、なくてはならない存在。芸人の岡田が、どの番組よりも弾けられるのは、川野アナの頭の回転の速さと安定感、そしてヒントを出している内に、うっかり正解を“ポロリ”してしまうお茶目さとの相性がバツグンだから。視聴者も、この部分が「たまらない」そうだ。

 荘口同様、『とくダネ!』のナレーションを担当していて、やはり、アナウンス力は抜群なのである。

 テレビのみの日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の女性アナウンサーの多くは、「ラジオをやりたい」と希望することが多いが、川野アナのアナウンス力の高さを知ったら、そう簡単にはいかないと想いを改めるのではないか。“名前”の大きさだけではリスナーは騙せない。演者同士の相性、日々のコンディション、リスナーを大切にする真摯な姿勢などなど、ラジオ出身者というのは、そうしたラジオの特性を熟知している人たち。『クイズ!脳ベルSHOW』の川野良子アナを見ていると、岡田圭右やゲスト回答者、そして視聴者をどれだけ大切に思っているのかがストレートに伝わってくるものだ。

◇垣花正は和田アキ子から信頼を獲得し、ホリプロへ

 そして今春、ニッポン放送の看板アナウンサー、垣花正(かきはな・ただし)がフリーになった。「ホリプロ」に所属したと言われて、「なるほど」と思った人は、彼の番組リスナーに間違いないだろう。垣花アナは、『ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回』で長年アシスタントを務めていて、和田アキ子の信頼も厚いのだ。和田アキ子と言えば、『ホリプロ』の所属タレント名鑑の1ページ目に出てくる同社の大看板。その縁で所属したのは間違いないだろう。
 
 沖縄県宮古島出身で、顔を見れば「沖縄県人」であることが一目瞭然の濃ゆいタイプ。学生時代は「欽ちゃん劇団」の第1期生だったそうで、のちに「いいとも青年隊」となる「あさりど」と同期だったという。そこで、バラエティ―の素地を学んだのだろう。いや、根っから明るい性格で、リスナーに対し、常に心を開いているような温かい人。

 現在は、朝の人気ワイド『垣花正 あなたとハッピー!』や、件の『いいかげんに1000回』『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』などなど、同局のリスナーでなくても「タイトルは聞いたことがある」と言える人気番組ばかりを担当している。そんな垣花アナがフリーに。同局にとっては痛手だったと思う。

 おそらく、他局のラジオには、しばらく出ないという“約束”があるだろうが、荘口、川野アナ同様、垣花も非常に“テレビ的”なキャラクターなので、トークバラエティーのひな壇には比較的早くに座りやすいのではないか。あとは、身体を張ったリポーターでも成功すると思われる。
 
『〜あなたとハッピー!』に最期の最期までレギュラー出演していた流通ジャーナリストの故・金子哲雄氏が、唯一、病状を明かしていたアナウンサーでもあり、金子氏が、声が出にくくなっても安心して出演していた傍らに垣花正アナが居たことも付け加えておきたい。

 私もラジオ出身ゆえ、本当に多くのアナウンサーと仕事をしてきたが、「私が私が」「ぼくがぼくが」という“自分が大好き”なタイプは、それがリスナーにバレてしまい、人気が上がらない。ラジオとは、そういう媒体だ。

 そんな“ラジオのニッポン放送”出身のアラフィフアナ、荘口彰久、川野良子、そして垣花正は、ラジオの特性を知り尽くしているうえ、テレビ向きでもある稀有なタイプ。3人共、今年注目の喋り手なのである。

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