TV番組の長寿化傾向、ソフトや人手不足など低迷が背景か

TV番組の長寿化傾向、ソフトや人手不足など低迷が背景か

『ブラタモリ』は10周年

 テレビ番組の編成が入れ替わる「改編期」。だが去る4月、さまざまな番組から「放送〇年目に突入」「〇周年を迎えました」という声がより多く聞こえた印象がある。つまりそれは、どの番組もひとしく「長寿番組」化しているということだ。その背景とは?

◇ワイドショー、バラエティー…変わらないタイムテーブル

 4月8日オンエアの『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)の冒頭、ある話題が取り上げられた。それが、「気が付けば番組も8年目に突入する件」というもの。2012 年4月9日に始まった同番組もいつの間にか長寿番組の仲間入りを果たしていたことにマツコ・デラックスは、「何の感情もない」「8年やろうが80年やろうがバチが当たるだけよ」と切り捨て、関ジャニ∞・村上信五も「人様の醜態見て笑って…」と続けていた。

 他のタイムテーブルを渡してみても、“気がつけば”長続きしている番組が散見できる。例えばこの4月で『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)が15周年を迎え、『A-Studio』(TBS系)、『満天☆青空レストラン』(日本テレビ系)、『火曜サプライズ』(日本テレビ系)、『スクール革命!』(日本テレビ系列の一部)はいずれも10周年を迎えた。
 
 さらに今年全体に広げて見ると、この10月で『ブラタモリ』(NHK総合)が10周年、『KinKi Kidsのブンブブーン』が5周年、12月で『人志松本のすべらない話』は15周年を迎える。

 バラエティーだけではない。情報番組でも、『ひるおび!』(TBS系)はこの3月で10周年。『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)も、『ビビット』(TBS系)も放送開始からこの3月から5年目に突入した。

◇「打ち切り」はもはや死語? ソフトなき業界の延命策

「長寿化」に加えて特徴的なのが「番組の復活」である。これはテレビ朝日の番組で顕著にみられる例であるが、まずは2016年をもって8年の放送に幕を閉じたはずの『ナニコレ珍百景』が昨年10月に再度レギュラー化。続けて『しくじり先生 俺みたいになるな!!』も2017年に一度終了したものの、先月4月から1年半ぶりに再開されている。

 これには平成ノブシコブシ吉村崇も、復活が決まった際のインタビューで「番組の打ち上げでよく『またこのメンバーで番組やりましょう!』と言いあうが、それが叶ったことは1回もなかった」とし、「芸能界のジンクスを破ったような気分」と驚いていた。

 さらに延命策として講じられているのが放送時間の「降格」だ。ナスDの愛称で知られた演出家・友寄隆英氏が活躍した『陸海空 地球征服するなんて』(土曜夜10時10分)も、この4月から『陸海空 こんなところでヤバいバル』にリニューアルし、月曜夜11時20分に移動した。またロンドンブーツ1号2号による『金曜☆ロンドンハーツ』(金曜夜8時)も火曜午後11時20分に移動。この継続によって『ロンハー』は4月に20周年を迎えることとなった。

◇リ・ブランディングで「蘇生」するケースも
 テレ朝は一度終了させたものを再開させているが、対して王者・日本テレビはどうか。ここ3〜4年、同局が打ち出してきたのは「リ・ブランディング」。類語として「テコ入れ」という言葉にも言い換えられるが、決してネガティブな意味ではなく、言葉通り、ブランドの再構築を図ろうとするものだ。

具体的には『世界まる見え!テレビ特捜部』や『ザ!鉄腕!DASH!!』や『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』など一時求心力の弱まった長寿番組の総合演出やスタッフを入れ替えている。こうすることで番組の魅力とウィークポイントを俯瞰して見ることができ、今一度見直し、離れた視聴者を取り戻し、新規も開拓するという手法である。実際に『まる見え』は一時期ひとケタにあえいでいた時期もあったが、現在は常時視聴率12〜13%を獲得。『DASH』も「DASH島」の立ち上げで再び人気を盛り返した。

◇遠因は人手不足・ソフト不足? 

 もちろん視聴者に求められる限りは番組の「長寿化」は歓迎すべきことではあるが、逆に言えばそれに代わりうる決定打となる新番組のソフトがないとも言えるのではないか。先に挙げた「番組の復活」や「リ・ブランディング」という手法が広がっているのは、それを示す一例だ。さらにはテレビに携わる人員の減少、もしくは予算圧縮による意図的な削減によって、新しく番組を立ち上げるだけのマンパワーが実際問題ないこととも無関係ではないだろう

 ひるがえってそれは、視聴する側の“変化”をも意味する。総務省情報通信政策研究所「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、2016年、10代の1日のテレビ視聴時間は89分でネット利用は130分。対して60代のテレビ視聴時間は259分でネット利用は46分。つまり10代と60代のテレビ視聴時間に3倍近い開きがあるのだ。

テレビが中高年世代だけに向けているものになっているのなら、番組の「長寿化」という栄誉は一転、「停滞」を意味する。テレビ黄金期の昭和から平成へ、そして令和と3世代をまたいだテレビ。業界全体の寿命も真剣に考えなければならない時期はすでに来ていると言えよう。(芸能ライター・飯山みつる)

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