ファンの過激行為が問題、暴徒化しやすいファンの傾向とは

ファンの過激行為が問題、暴徒化しやすいファンの傾向とは

“ヤラカシ”の暴走で活動停止になったグループも…

 一部ファンの過激行動によって、アイドルが活動休止に追い込まれるなどのニュースが世間を騒がせている。ファンの語源は、「fanatic(熱狂者)」(『大辞泉』〔小学館〕より)。行きすぎた愛が狂気に変わる時、人はどうなるのか──。

◆『ジャニーズファン』 オリキがルールの番人

「ジャニーズファンの間では、過激なファンのことを“ヤラカシ”と呼んでいます。自宅や学校に押しかけるストーカー行為をはじめ、タレントが駅のホームに立っている時に体当たりしたり、暴言を吐いたり、バッグを奪ったりするんです。ヤラカシの行為で活動停止になったグループもあったほどです」

 怒りもあらわにこう教えてくれたのは、ジャニーズファン歴20年以上のSさん(42才)だ。

 ヤラカシたちは、もはや犯罪ともいえるような暴力や略奪行為を好きなタレントに繰り返し、その一部始終を動画で撮影。タレントが怒ったり、追い払おうという素振りを見せたりしたら、「暴力を振るわれた」などとSNSで拡散させるという。好きな相手を怒らせて注意を引きたいという、ゆがんだ愛情を持つヤラカシの行為で、タレントたちが疲弊するのを心配するファンは多い。

「ジャニーズファンの間には昔から暗黙のルールがあるんです。例えば、舞台の後の“出待ち”では、“オリキ”(追っかけに力“りき”を入れている人のこと)と呼ばれる古参ファンが、現場が混乱してタレントやスタッフたちに迷惑をかけないよう、厳しく取り締まるなどして仕切っているんです。彼女たちの指示を守ることが、最低限のマナーです」(ファン歴28年のTさん・49才)

 オリキの取り締まりは、ヤラカシの暴徒化のせいか、厳格化している。それでも、“推し”を輝かせるために、ルール順守での応援がファンの務めだ。

◆『宝塚ファン』 おそろいの服で入り待ち・出待ちが原則

 宝塚ファンには、1914年の初公演以降、受け継がれ、磨かれてきた暗黙のルールがあり、それを守ることが誇りになっていると話してくれたのは、宝塚ファン歴35年のMさん(58才)だ。

「宝塚ファンには、“魅了されるのは舞台の世界観”という意識があるため、個人を追い回すなどの迷惑行為を行う人は少ないと思います」(Mさん)

 宝塚ファンは、私設ファンクラブ『会』に入会し、伝統あるルールにのっとって応援するのが通例なのだという。ファンクラブに入っていれば、直接手紙を渡せたり、“お茶会”と呼ばれるファンミーティングに出席する権利が与えられる。

「『会』の会員は、入り待ち・出待ち時は私語とスマホの使用は厳禁。指定のショール(*)をかけ、“代表さん”と呼ばれる古参ファンの指示に従って行動します。スマホ(カメラ)を無遠慮に向けたり、歓声を上げるのは、そういったルールを知らない会員以外の人ばかりですよ」(ファン歴30年のHさん・50才)

『会』の年会費は6000円程度。これが高いか安いかは、愛の深さによる!?

*:『会』の会員は、おそろいの物を身につけるルールがある。ショール(5000円程度)が多いが、『会服』と呼ばれる服もある。

◆暴徒化しやすい女性ファンには傾向が!

「女性は空気を読んで自らの言動を制御する能力に長けています。しかし、なんらかのきっかけでその制御が外れると、逆に暴徒化しやすくなります」

 そう語るのは、オタク中年女子の行動心理に詳しいコラムニストの河崎環さんだ。そのきっかけとは?

「“承認欲求”と“独占欲”が重なった時でしょう。自分が誰よりも、“推し”(応援対象)のことを理解し、愛しているということを周囲に認めさせたいという願望が、過激な行動につながるのです」(河崎さん・以下同)

 迷惑行動こそが愛情表現だと勘違いしてしまうわけだ。ここまでのめり込む人にはある特徴があるという。

「コンプレックスがあるなど自分に自信がない人や、素直で思い込みが激しい人ほど、“理想のスター”たちのまばゆい光に当てられると、現実との境目がわからなくなって、正常な心を失う傾向にあります」

 最近では、表面的には過激な行動に出なくても、SNSの裏アカウントを使って誹謗中傷するファンも多いという。愛は劇薬。用法・用量を守ってトキメキを維持したいものだ。

イラスト/サヲリブラウン

※女性セブン2019年10月31日号

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