木村拓哉主演ドラマ「視聴率12.4%」発進をどう捉えるか

木村拓哉主演ドラマ「視聴率12.4%」発進をどう捉えるか

ドラマ視聴率の合格点はどこからか?(イメージ)

 10月21日、木村拓哉の主演ドラマ日曜劇場『グランメゾン東京』(TBS系)がスタートし、視聴率12.4%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)だった。当初、21時からの放送予定で、NHKのラグビーW杯準々決勝の日本対南アフリカ戦と時間帯が重なるため、視聴率への影響が懸念されていたものの、TBSの日本シリーズ第2戦が延長したため、21時50分開始に。ちょうど、日本対南アフリカ戦の放送が終わる時刻と同じだったため、ラグビーW杯と被ることなく、オンエアされた。

 この初回12.4%発進をどう捉えるべきか。2017年以降、最近3年のTBS日曜劇場枠の初回視聴率と比べると、12本中9番目になる。これだけを挙げれば、低調に思えるかもしれない。ただ、単純に12本の初回の数字を平均化すると、13.0%になる(*ここでは、発表された12本の視聴率を簡易的に計算。小数点第2位以下を四捨五入)。

 初回の『グランメゾン東京』のほとんどが22時台に放送されたことを考慮し、今年の民放で22時台開始の連続ドラマの初回視聴率と比較してみよう。すると、27本中4番目の好成績となる。1位は1〜3月期の水曜22時台の『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)と金曜22時台の『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)の12.7%だから、0.3%しか変わらない。

 周知の通り、1990年代や2000年代と比べ、テレビ全体の視聴率は落ちている。にもかかわらず、木村拓哉は『ロングバケーショーン』(フジテレビ系、1996年)や『ビューティフルライフ』(TBS系、2000年)など過去の主演大ヒット作を持ち出され、期待値も大きいため、12.4%でも「低い」と言われる場合もあるだろう。

 だが、最近のドラマで12.4%発進であれば、合格点の数字と言えるのではないだろうか。実際、10月スタートの連続ドラマの初回視聴率では、20.3%の『ドクターX』(テレビ朝日系、木曜21時台)、16.7%の『相棒 season18』(テレビ朝日系、水曜21時台)、12.8%の『シャーロック』(フジテレビ系、月曜21時台)に次ぐ4位である。

 日本シリーズの延長でいつドラマが始まるかわからない状況、他局が驚異的な視聴率を記録した直後の時間帯に始まったという悪条件の中で、よく12.4%も獲ったのではないか。

 ラグビーW杯の日本戦があったため、ドラマを録画した視聴者も相当数いたと予想されるため、今後発表されるタイムシフト視聴率にも着目すべきだろう。

 そもそも、高視聴率ドラマは、脚本や音楽、キャストの組み合わせ、放送局、時間帯など様々な要素が噛み合った時に生まれるもので、主演だけで決まるわけではない。

『グランメゾン東京』では鈴木京香や尾上菊之助、及川光博、玉森裕太、沢村一樹などの俳優陣が名を連ねている。しかし、豪華キャストで周りを固めたからといって、必ずしも数字が上がるとは限らない。

 木村拓哉がドラマを始めると、他の主演俳優以上に視聴率が騒がれる。その境遇は、誰とも共有できない孤独なものであろう。

 尋常ではないプレッシャーを浴びながら、新ドラマに挑戦する姿勢を素直に称える風潮がもう少し出ても良いと思う。

■文/岡野誠:ライター・芸能研究家。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)が話題に。人気絶頂期の田原俊彦がバッシングにより苦境に陥り、そこからどう復活したかを描く。〈「アイドルのくせに」という偏見と常に戦い、己を貫いてきた〉〈マーケティング完全無視で誕生した『びんびん』シリーズ〉〈野村宏伸の逆ギレで名コンビ誕生〉などドラマ『教師びんびん物語』(フジテレビ系)がなぜ高視聴率を獲得できたかも多角的に分析。

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