“薄幸役”木村多江の対抗に戸田菜穂が浮上 2人の違いとは?

“薄幸役”木村多江の対抗に戸田菜穂が浮上 2人の違いとは?

”薄幸役”が似合う戸田菜穂

 不幸な女性を演じさせたら木村多江の右に出るものはいない――。長らくそう言われてきたが最近、薄幸役女優として戸田菜穂が急浮上している。その特徴と木村との違いとは? 

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 とにかく出てきた人間が次々非業の最期をとげるというおどろおどろしい展開になっていったNHKプレミアムドラマ『怪談牡丹燈籠』(最終回11月3日に再放送)。中でも一番不幸なのは、戸田菜穂だった。

 戸田が演じたお米は、ヒロインお露(上白石萌音)の世話係として母を亡くしたお露を大切に育ててきた。なのに、お露は二枚目の浪人・萩原新三郎(中村七之助)に恋し、とうとう焦がれ死にしてしまう。あまりの悲しみにお米は、後追い自殺。その後、彼女は、夜な夜な亡霊となって新三郎の寝所に現れるお露に付き添い、牡丹燈籠を手にカランコロンと下駄の音を響かせるのである。

 幽霊に付き添いの幽霊がいるというのも『牡丹燈籠』ならでは。過去の『牡丹燈籠』作品では、目の周りを真っ黒にしたパンダもびっくりの奇怪な亡霊お米が、ひしと抱き合うお露と新三郎の横にしっかり座り込んだりして、いくら付き添いでもそれはちょっと…と思ったものだ。

 今回の戸田お米は目を金色に光らせて、手も触れずに金箱のふたを開け、小判を降らせるなど妖しく美しいモード。だが、お露の願いをかなえるためなら、強欲な人間に「言うことを聞かぬなら、憑り殺そうぞ!!」と耳まで裂けた口から牙をむき出して威嚇する。ひえーっ。生きてるときは、お露の父(高嶋政宏)を誘惑した悪女お国(尾野真千子)に意地悪されつつも、控えめに耐えてきたのに。化けたら強烈だ。

 戸田は近年、不幸な役を演じ続けている。元祖不幸が似合う女優といえば、木村多江だが、戸田とは微妙に違う。木村の場合は、『犬神家の一族』(2004年、フジテレビ系)で鬼の形相の富豪犬神家三姉妹に虐待されたり、『大奥 第一章』(2004年、フジテレビ系)では将軍の正室なのに相手にされず大奥ひとりぼっち。『チェイス〜国税査察官〜』(2010年、NHK)では乗った飛行機が墜落するし、映画『ゼロの焦点』でも崖から突き落とされていた。自ら被害者になるパターンが多い。

 一方、戸田は昨年、『アンナチュラル』(2018年、TBS系)では、夫を過労が原因のバイク事故で亡くし、『Aではない君と』(2018年、テレビ東京系)では離婚後、ひとりで育てていた14歳の息子が同級生を殺害するという大事件を起こして疲れ果て、『不惑のスクラム』(2018年、NHK)では、ある事件で実刑を受けた夫と音信不通に。次々大変な目にあっている。それも誰かの巻き添えになるパターンばかりだ。お米も完全に巻き添えだし。

 木村は泣いてる間もなく崖から消えたりするが、戸田は事件が起きてからが見せ場となる。

「こんなに戸田菜穂を泣かせちゃダメだろ!!」と視聴者に思わせるところがポイントだ。もっとも、『怪談牡丹燈籠』では、化けて出たお露とお米よりも、「地獄へ行く覚悟はおありか」と若い不良侍(柄本拓)と共謀して薄笑いを浮かべつつ、殺し、横領、逃亡と罪を重ねるお国のほうがよっぽど恐ろしかった。お米が牙をむいてもお国には負けてたかも。やっぱり泣くのは戸田菜穂…そう思わせるところが、彼女の持ち味といえる。
 

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