大瀧詠一ら大御所の楽曲がCMで多用の訳 若手女優起用も特徴

大瀧詠一ら大御所の楽曲がCMで多用の訳 若手女優起用も特徴

大瀧詠一のアルバム『A LONG VACATION』のジャケット

 CMソングにはヒット曲やオリジナルソングなどを使用した印象的なものが多いが、最近、大御所アーティストの楽曲を使用したCMが目立っている。そのCMにはなぜか若手女優が起用されていることが多い。なぜ大御所アーティストの楽曲が使われるのか? そして、若手女優が起用される狙いとは? コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

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 夏から秋にかけてCMでとても目立つのが大御所アーティストの楽曲である。その代表と言えば、大瀧詠一。
 
 すっかりおなじみとなったサントリー「金麦シリーズ」では、戸田恵梨香が元気よく「75、75」と糖質オフをアピール。その背景には大瀧の『君は天然色』が流れる。
 
 また、スバルWRXS4「再会篇」では、友人の結婚式で再会したおとなの男二人、女一人がドライブをするストーリー。車内で流れた曲『カナリア諸島にて』を聞いた助手席の女性が「あ、大瀧詠一」と気づき、「あのころ、よく聞いてたよね」と話しかける。海へ行こう!と三人ともご機嫌である。
 
 もうひとつ「再会」にちなんだCMが関東地区で放送されている「ららぽーと」のシリーズ。主演は波瑠、テーマは「女子のたしなみ」である。高校の美術部の仲間三人と待ち合わせする波瑠は、秋の装い。しかし、アルバムを開けば、そこにはリボンのついた制服でおすまししている三人が。すっかり高校時代に戻ってキャーキャーとにぎやかな集まりとなる。使われている曲は『FUN×4』である。

 大瀧詠一は、1973年の三ツ矢サイダーはじめ、多くの名作CM楽曲を手がけ、CMソング集も出しているアーティストなので、CMに作品が起用されても驚くことはない。だが、それにしても同シーズンに三曲はさすが。三作とも1981年にリリースされた名盤『A LONG VACATION』の収録曲というのもすごい。35年を経てこの人気。天国でご本人も驚いているかもしれない。

 一方、JTBの夏旅CMは、今年も武井咲×桑田佳祐ソングでピカピカと輝く。ハワイを歩き、ホテルのバルコニーから見える景色に「わーっ」とまぶしそうな武井。その背景には桑田が軽やかに歌う『愛のプレリュード』が流れているという具合だ。

 そして、最近、光ったのが「ダイハツムーヴ キャンバス」の稲垣潤一だ。朝ドラ『とと姉ちゃん』でお茶の間の人気者となった高畑充希が、砂浜で、イケメンのちょいチャラ男子に「私見た目だけで好きになるほどこどもじゃないのよ」ときっぱり言う。そんな場面に潤一ボイスが響けば、場は一気に盛り上がる。なんたって稲垣潤一といえば、代表曲は『ドラマティック・レイン』。場をドラマチックにするのは得意技である。
 
 なぜ、大御所の歌声がCMで起用され続けるのか。
 
 ひとつは美しい楽曲といまどきの女優たちとの組み合わせの新鮮さがある。戸田恵梨香、波瑠、武井咲、高畑充希、全員大御所たちがヒットチャートのトップを走っていた時代はまったく知らない世代だが、意外なほどすんなりと曲の世界になじむ。不朽の名曲、歌声の強みだ。

 が、一番の強みは、大御所たちのLPやCDを買い、熱中していた世代が、テレビから彼らの曲のイントロや歌声をワンフレーズ聞いただけで「おっ」と思わず目を止めてしまう条件反射効果だろう。

 いまどきの曲はさっぱりわからなくても、「あのころ、よく聞いてたよね」、スバルCMの美女に言われて、「うんうん」とうなづいてしまう人口の層は厚い。ターゲットは絞られているのである。

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