『ドクターX』ほか連ドラ効果でブランドブーム再燃か?

『ドクターX』ほか連ドラ効果でブランドブーム再燃か?

今シーズンも視聴率絶好調(公式HPより)

 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、ドラマと高級ブランドの関係性について考察。

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 米倉涼子主演の『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)第4シリーズの初回視聴率が、20.4%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と、今年放送された民放の連続ドラマでトップに輝いた。

 在宅率が上がる10月期のドラマは、もともと7月期より高視聴率が見込まれるとはいえ、さすが、大門未知子。あとは高畑充希主演のNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』がもつ記録を『ドクターX〜』が抜くか否か。テレビ朝日のみならず、米倉が所属するオスカープロモーションもまた固唾を呑んで見守っていると思われる。

 今シリーズの『ドクターX〜』には、朝ドラの『花子とアン』(NHK)でブレイクした吉田剛太郎や、その吉田と共に『半沢直樹』(TBS系)でいきなり知名度を上げた滝藤賢一らが新キャストとして加わった。朝ドラ『べっぴんさん』にも出ていて大忙しの生瀬勝久や、未知子の相棒・岸部一徳。さらには、未知子が契約書で「いたしません」な項目を「覚えちゃったよ」とボヤいた勝村政信、そしてアドリブ満載の西田敏行ら、俳優陣は盤石のキャスティングだ。

 が、今シリーズで目立っているのは女優陣だ。まずは何といっても泉ピン子。なんでも『ドクターX〜』の大ファンだったとかで、他の現場のように「怖いピン子」ではないらしい。

 とはいえ、存在感は抜群で、初回では味方なのか敵なのかまだよくわからなかった副院長=ピン子と、「もう騙されない」という構えの未知子=米倉との共演シーンは最大の見所だったと言っていい。

 ほかにも、タブレット片手に病院広報を一手に担う南郁子役の草刈民代、今年3月、「女優宣言」したばかりの新人で、オスカーが「第二の菜々緒に」と猛プッシュしている病院長秘書役の田中道子。おなじみの麻酔科医・内田有紀ら女優陣に加えて、脚本家の中園ミホ氏、テレビ朝日の「失敗しない女」こと、内山聖子ゼネラルプロデューサーら、“美しい女子力”の集結も、高視聴率をはじきだした要因ではないか。

 このように出演者も多ければ、海外あり、病院、高級レストランから銭湯まで、ロケ地が多いうえ、キャスト全員の衣装協力や、医療器具をはじめとする持道具などのクレジットまで、『ドクターX〜』は、エンディングのスタッフロールが映画のように長いドラマとしても有名だ。

 なかでも、同ドラマのHPにもある「未知子のファッションチェック」は、米倉と同年代からそれ以上の、いわゆるブランド世代の女性にとっては、“お楽しみ”の一つだろう。

 スタイリストが「『バーニーズ・ニューヨーク』で見つけた」というのは、『ミュベール』の白Tシャツは、おしゃれ女子にはおなじみのブランド。セレクトショップで人気のスキニーデニム『フレーム・デニム』は、脚をキレイに見せるからと、米倉が「買い取り」したかのような文言もある。

 ハイヒール姿の米倉が院内の手すりにもたれかかったときにチラリと見えたのは、どんな色の靴でも靴底だけは真っ赤なことでおなじみの『クリスチャン・ルブタン』、ホワイトにスタッズがあしらわれたバッグは『ヴァレンティノ』だ。

 それ以外に、『ドクターX〜』の未知子と言えば、忘れてはならないのが『ルイ・ヴィトン』である。前シリーズから未知子が持っているのが「カプシーヌ」という名の開け口の中央にVの金具が付いたバッグ。サイズや素材によっても異なるが、お値段は40万円台と、手の届きやすいバッグが並ぶ「人気ランキング」からは外れているが、セレブな女性誌で見かける同社の広告では、もっとも出ているバッグと言っていい。

 他にも、未知子の胸元で揺れていた大粒パールが横に並んだペンダントも先シーズン、『ルイ・ヴィトン』の店頭で見かけた。これらは、番組への「衣装協力」ではなく、米倉だからこそ着けて出られるモノたちだろう。そういえば、米倉は、しばしば『ルイ・ヴィトン』のコレクションやパーティーに顔を出していた。

 そして米倉と同じ「オスカープロモーション」に所属する女優のドラマでハイブランドというと、7月期、武井咲が主演していた『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)が思い浮かぶ。

 舞台は、ハイジュエリーブランド『ティファニー』。不倫ドラマなのに「いいの?」と他社を担当するベテランのプレスウーマンらが本気で心配していたが、ティファニー側は「それでも出したい」と、ロケは終始、同社の全面協力で行われた。

 さらには、武井扮するヒロインが「どちらと結ばれるのか」と若い女性視聴者が最後まで注目していた内の一人、中村蒼が勤務していたのは、『ジミー・チュウ』だった。

 果たして、効果はどうだったのかというと、バブル時のクリスマスに、シティホテルやフランス料理店と共に「三種の神器」と言われ、プレゼントに買いに来た男性たちが「売り切れ証明書を出してほしい」と言ったことでも知られる『ティファニー』のジュエリーは、いま若者によく売れている。

 リオ五輪の卓球女子団体の銅メダリストで先ごろ結婚した福原愛が「ジャン君から貰ったのでは?」とウワサされた懐かしのオープンハートのペンダントやイヤリングも売れているそうだが、もっとも話題なのは、ワイヤーブレスレットだろう。ちなみに愛ちゃんもこれを持っている。素材やダイヤの有無などによって価格は大きく異なるが、このブレスレットは女性のみならず、男性アイドルがよく着けていることから、また女性へと広がっていると聞く。

 つまり、「不倫ドラマ」に全面協力したとしても、『ティファニー』は大成功だったというワケだ。

 90年台前後の、いわゆるトレンディドラマでは、キャストが身に着けている服やアクセサリー、部屋に置いてある小物や家具、さらにはクルマなどに注目が集まり、よく売れたものである。それを見越して、メインキャスト全員に時計を提供していた海外のメーカーもあった。

 だが、バブル崩壊後、ドラマから流行したモノといえば、せいぜい美容家電やマッサージ器などがいいところだった。

 ブランド品は、中国人や韓国人のお金持ちが買いに来るモノ…となって久しいが、若い女性がハイブランドに全く興味がなくなったといったらそうではないのである。ファスト・ファッションの『GUオンライン』などでお目にかかる読者モデルやタレントの私物には、「一点豪華主義」とも言うべき、ハイブランドのバッグやアクセサリー込みのコーディネートが紹介されているものだ。

 くしくも、武井咲→米倉涼子と、同じ「オスカープロモーション」所属の女優が主演するドラマでクローズアップされるハイブランド品の数々。モデル事務所から女優事務所へと華麗に変貌を遂げる同事務所と組むのは、ハイブランド側としても損はないハズだ。

 連続ドラマとハイブランドのタッグ…、第一次ブランド世代の私としては、もっともっと見てみたい。

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