人気の「ゆるキャンプ」 火付け役はYouTuber・ヒロシ

人気の「ゆるキャンプ」 火付け役はYouTuber・ヒロシ

ヒロシちゃんねるの登録者は57万人を超えた(YouTubeより)

 日本テレビ系『同期のサクラ』やTBS系『グランメゾン東京』など今期ドラマにも人気作がいろいろ生まれたが、視聴率には表れないものの根強いファンを持つ作品も存在する。テレビ東京系で放送された『ひとりキャンプで食って寝る』もそんな作品のひとつだ。

 25年ぶりのブームが来ていると言われる「キャンプ」。その中でも今年は特にひとりで行う「ソロキャンプ」に注目が集まった。同ドラマは、キャンプの醍醐味でもある“食事”をテーマに、男女それぞれが気の赴くまま独自のキャンプを満喫する物語。といっても、内容はタイトルが示すとおり、主人公がソロキャンプで淡々と食って寝るだけだ。

 主人公は三浦貴大と夏帆それぞれ演じる男女2人だが、奇数話に登場するのは三浦貴大、偶数話に登場するのは夏帆と、主役が隔週で交代する珍しい形式も話題になった。男編と女編は完全に別の話であり、視聴者も「缶詰のアレンジ料理が楽しめる男編が好き」「自然に分け入って自ら食材を獲る女編が好き」と2つに分かれたようだ。

 とはいえ、どちらも主人公が自分がやりたいことをひとり謳歌することに変わりはない。そんな、ひとりキャンプに行く(そして毎回行った先で誰かと出会う)というだけのゆるいドラマが、「金曜の夜中にぼーっと見るのにぴったり」と評判を呼んだ。おそらく見ているほうも、ひとりキャンプよろしくゆるい空気を楽しんでいるのだろう。

 YouTuberとして活動する芸能人の中にも、キャンプに関する動画で絶大な人気を得たケースがある。「ヒロシです」で一世を風靡したお笑い芸人のヒロシが開設した『ヒロシちゃんねる』は、アウトドア動画を配信するYouTubeチャンネル。キャンプや釣りが趣味だというヒロシが、テントの張り方や火の起こし方、キャンプ料理をレクチャーしたりキャンプグッズを紹介したりする動画が多数のユーザーに支持された。

 登録者数57万人以上と人気YouTuberとなったヒロシが勧めるのもソロキャンプだ。大人数でキャンプをするときの煩わしさや不公平感がなく、好きなものを食べられ、自由に過ごせるソロキャンプの楽しさを広めた1人と言ってもいいだろう。

『ゆるキャン△』や『山と食欲と私』『ふたりソロキャンプ』など、漫画やアニメの世界でもキャンプがテーマの人気作品が生まれている。『ゆるキャン△』はドラマ化もされ、2020年1月からテレビ東京系で放送がスタートする。

 また、キャンプ初心者であるおぎやはぎの2人に、ヒロシをはじめバイきんぐ・西村瑞樹やペナルティ・ヒデといったベテランキャンパーがおすすめのキャンプをプレゼンする『おぎやはぎのハピキャン〜キャンプはじめてみました〜』(メ〜テレ)といった番組まで生まれた(2019年4月〜)。

 ソロキャンプが人気だからといって、皆が孤独を好むようになったわけではない。背景には、現代人ならではの人との繋がり方があるのだという。アウトドア情報誌『CAMP LIFE』編集長の五十嵐雅人氏は言う。

「道具や手間の多さで疲れてしまう大人数でのキャンプとは違う、気軽さ、ゆるさこそがソロキャンプの魅力。それは、孤独を楽しむという方向性ではないと思います。たとえば日にちと場所だけを決めて、あとは好きなときに行って好きなときに帰る。勝手に食べて勝手に寝る。そんな風に自分のペースで過ごしながら、他のソロキャンパーともゆるく繋がれるという楽しみ方をしたいという人が多いようです」

 つまり、各々が自由に過ごしつつ、その場には他のキャンパーもいる。そんなソロキャンパー同士での繋がりを楽しむ人が多いそうだ。

「もちろん、気分によっては徹頭徹尾ソロにこだわってもいい。それも含めて、SNSの繋がりにも似た自由さがソロキャンプの人気の理由だと思います」(五十嵐氏)

 SNSのように、ゆるく人と繋がった状態。ソロキャンプは、そんな心地よさに慣れた人がリアルで行き着いた絶妙な距離感なのかもしれない。

●取材・文/大木信景(HEW)

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