1000人が選んだ史上最高にカッコいい「刑事ドラマ」ベスト20

史上最高の刑事ドラマ1位は『太陽にほえろ!』 2位は『相棒』3位は『七人の刑事』

記事まとめ

  • 週刊ポスト読者1000人に「史上最高の刑事ドラマ」についてアンケートを実施
  • 最も多くの票を集めたのは、石原裕次郎さん主演の『太陽にほえろ!』だった
  • 2位は『相棒』、3位は『七人の刑事』、4位は石原プロが手がけた『西部警察』

1000人が選んだ史上最高にカッコいい「刑事ドラマ」ベスト20

1000人が選んだ史上最高にカッコいい「刑事ドラマ」ベスト20

『踊る大捜査線』は何位?(時事通信フォト)

 今も昔もドラマの大定番ジャンルといえば「刑事ドラマ」。派手な銃撃戦を繰り広げるアクションものから、緻密な推理で犯人を突き止めるミステリーものまで多種多様な傑作が生まれてきた。「史上最高の刑事ドラマ」は何か。本誌・週刊ポスト読者1000人にアンケートを実施した。

◆まさか死ぬなんて

 今まさに、刑事ドラマブームが起きている。

「平均視聴率14%と安定した人気を誇る水谷豊主演『相棒』シリーズ最新作(毎週水曜夜9時〜)に対抗するように、各局で刑事ドラマが5本も乱立した。それだけ視聴率が見込めるということです」(民放テレビ局関係者)

 ドラマ評論家の成馬零一氏は、人気の理由をこう分析する。

「刑事がどういう職業かみんなイメージしやすい。最後には刑事が犯人を逮捕するという勧善懲悪の構造が分かっているから、視聴者は安心して見られる。作る側にとっても、そこにミステリー、アクション、人情などいろんな要素を組み合わせられるし、犯人を通して社会問題も描ける。時代が変わってもそれに合わせて作りやすいんです」

 しかし、過去の名作・傑作を乗り越えるのは容易ではない。

 最も多くの票を集めたのは、石原裕次郎主演の『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)だった。1972年から15年間にわたって放送され最高視聴率は37%を記録した。

「ブラインドがあると、ボス(裕次郎)の真似をして、つい少し隙間をあけて様子を窺うフリをしていました(笑い)」(63歳会社員)

 同番組プロデューサーの岡田晋吉氏が語る。

「放送当時は刑事がお堅いイメージだったなか、七曲署の同僚ひとりひとりに魅力的なキャラクターとあだ名を設定し、身近な存在として描いたからでしょう。ショーケン(萩原健一)演じるマカロニは長髪だったから、『こんな刑事はいない』と言われましたが、むしろ“当時の若者がたまたま刑事になった”という設定にしたかったんです」

 マカロニの殉職シーンは、名場面として名高い。

「まさか死ぬなんて! 『かあちゃん、あついなぁ……』というセリフが切なくて、今でも胸が熱くなる」(60歳元公務員)

 その裏事情を、岡田氏が明かす。

「マカロニの成長物語として長期番組にするはずだったのに、ショーケンが“もうやり尽くしちゃったよ”と言い出しちゃった。そこで、苦肉の策としてマカロニが殉職するという形で卒業することにしたんです。しかし、そのシーンが話題を呼び、新人刑事の殉職がパターン化したことで、結果として長期番組になった」

 松田優作演じる2代目新人刑事・ジーパンの「なんじゃ、こりゃ!」など、殉職シーンがドラマの目玉に。1977年に髭面の新人刑事・ロッキーとして登場した木之元亮氏が当時を振り返る。

「初めの頃は緊張しっぱなしでしたが、裕次郎さんが僕の緊張を解きほぐそうと、『ア行だのサ行だの難しいセリフもあるけど、俺もサ行がダメなんだよ』と言ってくれて気持ちが楽になりました。

 その後、ドラマの中で結婚して子供も生まれていたので、一時は殉職できないのかなと思っていた。だから、殉職できた時は嬉しかったですね。あだ名がロッキーなので、冗談で『ロッキー山脈で死ねたらいいな』といったら、本当に希望通りになったんです」

◆鼻歌のテーマ曲

 3位は1961年放送開始の『七人の刑事』(TBS系)。15位の『部長刑事』(1958年・テレビ朝日系)とともに、日本の刑事ドラマの原点ともいうべき作品である。

「よれよれのトレンチコートにハンチング帽をかぶった沢田部長刑事(芦田伸介)に憧れて、親父のコートを借用しては真似したものです。ン〜ン〜ンンンっていう鼻歌のテーマ曲は今も耳に残っています」(73歳無職)

 ちなみに沢田部長刑事のモデルは、実在した警視庁の名刑事・平塚八兵衛だったという。

 4位にランクインしたのは、石原プロが手がけた『西部警察』(1979年・テレビ朝日系)。渡哲也演じる“団長”こと大門圭介が率いるのが、凶悪な犯罪者にも恐れられる「大門軍団」。その“お目付役”が木暮謙三役の石原裕次郎だった。

「サングラスをかけたコワモテの団長がショットガンをぶっぱなす姿は、まさに男の憧れでした」(52歳会社員)

 アクションは『太陽にほえろ!』からさらに過激になって、軍団専用の“違法改造車”や装甲車まで登場。同じく渡が主演した『大都会』(1976年・日本テレビ系)も18位に入っている。

 激しいアクションをウリにしながらも、コワモテの大門軍団とは一味違う、スタイリッシュな2人組を主人公にしたのが、5位『あぶない刑事』(1986年・日本テレビ系)だ。

『あぶデカ』を手がけたのも前出・岡田氏だった。

「とにかくタカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)が暴れてくれればいいと思っていました。ダブル主人公ものはクレジットでどちらの名前を上にするかが難しいんですが、オープニングを作る際に彼らの職場である警察署にカメラを持って入っていき、たまたま先に出てきたのが舘で、次が柴田だったから、名前の順番も舘、柴田の順にしました(笑い)」

 6位の藤田まこと主演『はぐれ刑事純情派』(1988年・テレビ朝日系)は“人情モノ”の代表格。元捜査二課刑事でドラマの監修なども手がける土井紀人氏も高く評価する。

「刑事が相手の心理をいかに掴んでいくか。資料を収集し、証拠を分析し、どう事件の“筋読み”をするか。細かい部分がよく描かれていた」

◆『相棒』はいいとこ取り

 7位に入った海外ドラマの『刑事コロンボ』(1972年・NHK)。冒頭のシーンで犯人が明らかになり、コロンボがその犯人をしだいに追い詰めていく様子に、視聴者はハラハラドキドキ。

「帰りかけたコロンボが振り返って“あと一つだけ”といって、ねちっこく質問を浴びせる場面は毎回楽しみだった」(75歳無職)

 そんなコロンボをオマージュしコミカルな笑いの要素も取り入れたのが、12位の田村正和主演『古畑任三郎』(1994年・フジテレビ系)である。脚本は大のコロンボファンを公言する三谷幸喜だった。

「1980年代までの刑事ドラマは“アクション”と“人情”がお約束でした。1990年代に入ると世間のミステリーブームもあって、『古畑』のように『コロンボ』の影響を受けたミステリー型の刑事ドラマが増えていきました」(前出・成馬氏)

 1990年代には、警察組織にスポットを当てるドラマも大ヒットした。

 8位の『踊る大捜査線』(1997年・フジテレビ系)は、刑事ドラマに“リアリティ革命”をもたらした。

「キャリアとノンキャリという聞いたこともなかった言葉が飛び交い、青島(織田裕二)は、主人公なのに“所轄は引っ込んでろ”と言われて捜査に参加すらできない。『本当の警察ってこんなだったの!?』と驚いた」(46歳会社員)

 前出・土井氏も太鼓判を押す。

「織田裕二さんが警視庁マスコットのピーポくんの着ぐるみを着て出てくるシーンがありましたが、私も同じ経験があり、リアルだなと思って見ていました」

 近年の新潮流として、女性刑事が主役を張るものが増えている。13位の竹内結子主演『ストロベリーナイト』(2010年・フジテレビ系)が代表格で、17位で現在放送中の沢口靖子主演『科捜研の女』(1999年・テレビ朝日系)シリーズは、警察組織の中でも科学捜査研究所にスポットを当てている。

 刑事ドラマは時代とともに多様化してきたが、前出・成馬氏によれば、過去の刑事ドラマの集大成と言えるのが、2位の『相棒』(2000年・テレビ朝日系)だという。

「基本型は『刑事コロンボ』のようなミステリーですが、『はぐれ刑事純情派』のような人情モノ要素もあり、『踊る大捜査線』のような“組織モノ”要素もある。さらに、シーズンごとに相棒役やカラーも変わる点は、『太陽にほえろ!』以来の長期番組の常套手段を踏まえている。そうしたいい意味での“いいとこ取り”が『相棒』の強みなのだと思います」

 数々の名作を超える新機軸の刑事ドラマは、いつ現われるのだろうか。

※週刊ポスト2020年2月7日号

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