真矢ミキ、限定50個のパンに7番目に並び目の前で完売体験

真矢ミキ、限定50個のパンに7番目に並び目の前で完売体験

「行列に惹かれる」という真矢ミキ

 情報番組『ビビット』(TBS系)のMCなどを務める元宝塚のトップスター・真矢ミキ。今回は、「行列に惹かれる」という彼女が、今までの“行列体験”を語る。

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 行列があると、ついつい並んでしまうのはなぜだろう。

 たとえばデパ地下での一コマ。どのお店につながっているのかも定かでないのに、とりあえず列につく。前の方に「これ、なんの行列ですか?」と聞き、「違ったかも…」と用事を思い出したように列から去ったり。

 そう、私は行列に惹かれる。並べばいつか入れる飲食店やアトラクションのような行列も楽しみなのだけれど、できれば人数が限られた行列が好きだ。先日もお目当ての人気パン屋さんで数時間ごとに焼きあがるコーンパンの列に並んだ。モチモチした生地の中に溢れんばかりのコーンが顔を出し、何ともおいしいのだ。ただ、“お1人様10個まで”と太い黒字で書いてある。この限定の規則こそわが心を燃え上がらせる。ゴクリ。ヤル気なのか空腹なのかわからないような喉も鳴る。

 私にたどり着くまで7人のかたが間にいる。ただしパンは“焼きたて50個限定”…正直、微妙です。単純計算で、1人10個購入してしまえば私に当然コーンパンは回ってこない。でも、わからない…10個もいるかな、普通のご家庭? と、ここから心理戦は始まる。列の前を見れば優しそうな女性におじ様、おばあ様ではないか! 「後ろも並んでいるし…私は2個でいいわ」「私も私も」みたいな考えは起きないものか…妄想が膨らむ。7人の内、5人が5個以下の購入なら、私まで回ってくる可能性は大、または何故か皆さんが1~3個とかまでなら…ありえないかぁ。期待と願望と抑圧の目で前のかたがたを見つめる。そうこれは一種の賭けなのだ。いや、これこそ忖度の場なのだ。

 私は心の中で、1個でもいいから何とかたどり着きますようにと1つ、また1つとパンを取り上げるかたがたの手元に目を落とし集中する。さぞかしトングを持ち取り上げる手は重かったことでしょう。しかし結果。「10個ください」「私も10」「10で!」と、それはそれはみなさまサクサクと迷いもせず10個ずつお買い上げになるではないですか! 従って私の前の前のかたでわかりやすく50個は跡形もなくなり、強制終了となった。チーン。買えなかった者だけが残る行列を、各々解散する時ほど寂しい時はない。あ、恥ずかしくて全く違うチョココロネなんか買った。

 実はこの私、目の前で終了という経験が多い。去年の年末ジャンボ宝くじ、3軒目でやっとたどり着いた売り場で、「ハイ! 売り切れました~」と並んで10分くらいで売り場のシャッターが下りたり。年始の初詣で、参拝の混雑を防ぐ為に一旦ロープで参拝者を区切るのですが、見事私の前で力強くロープは張られ、家族はギリギリセーフ。なので新年早々、私1人警備員と対面する形で、家族の参拝の背中を見つめたり…。兎に角、私の目の前でよく終了する。

 ここからは余談だが他にもあるある。なぜ、私の気に入って使っている口紅やアイシャドーはかなりの確率で廃番になるのか? 「申し訳ありませんが、そのお色だけ今月から…」と言われたり。人気の色だから売り切れたのね、と自分を慰めるけれど、よく考えてみたら増産できないの?と後からハテナも浮かぶ。

 疑問は止まらない。こうなったら日常あるあるだ。

 なぜ、アイシャドーのパレットは均一に減らず、特定の色だけがどんどん減るのだろう。(ちょっと論点外れてきたけれど…)なぜ、明らかに使わない色はよく使う色と隣り合わせに入っているのだろう。そしてなぜ気に入ったコンパクトほど落とし、中が粉々に割れてしまうのだろう。痩せるぞ~と思った矢先に人からいただくおいしそうなスイーツたち。

 あー書き出してみたらスッキリした。女性はみんな“あるある”な日常と闘っている。私は想像する。コーンパンを余裕で買う自分を。ギリギリあなたまでOKと、境内に張られるロープより前にいる自分の背中の開放感を。落として好きな色だけ残るアイシャドーを見つめる笑顔。痩せるぞと思った矢先にお友達から「群馬行ったからこんにゃく買ってきたよ!」と贈られる瞬間を――私は行列に惹かれる。こんな思いで今日も行列に並んでいる。

撮影■渡辺達生

※女性セブン2017年6月8日号

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