多彩な人材を輩出したロマンポルノ 名を連ねた後の名優達

多彩な人材を輩出したロマンポルノ 名を連ねた後の名優達

柄本明もロマンポルノ作品に名を連ねた(共同通信社)

「ロマンポルノは監督やスタッフ、俳優、女優をはじめ多彩な人材を輩出し、映画文化の歴史を作ってきました。それまで無名だった人物がロマンポルノをきっかけに有名になっていった例は数え切れません」

 そう語るのは映画評論家/映画プロデューサーの寺脇研氏だ。石原裕次郎や吉永小百合ら銀幕の大スターが活躍する大手映画会社だった日活は、1960年代半ばから経営不振に陥り業績が低迷。その打開策としてポルノ映画の製作へと踏み切り、1971年に日活ロマンポルノがスタートした。多くの監督が日活を辞める一方で、藤田敏八、神代辰巳など若く新しい才能が登場した。

「彼らは他の監督が忌避するポルノというジャンルの中で、それでも映画を撮りたいという情熱を持っていました」と寺脇氏は言う。

 彼らはポルノ映画というフォーマットに則りながら、脚本や演出では自由な表現を試みることで、単なる煽情的な映画には留まらない高い評価を獲得していった。

 若き才能の登場は、俳優たちの世界でも同じだった。

「舞台を主戦場にしていた多くの無名俳優が、ロマンポルノを通じて世の中に出ていきました。その意味でロマンポルノは、若手俳優の登竜門だったと言えるでしょう」

 ロマンポルノを足がかりにして一般映画やテレビドラマで活躍していった俳優は少なくない。1972年の『艶説女侠伝 お万乱れ肌』で銀幕デビューした風間杜夫は、1974年のNHK大河ドラマ『勝海舟』に出演し、その後もロマンポルノに出演し続けた。『警視庁・捜査一課長』シリーズの主演をはじめ、現在映画やドラマで活躍する内藤剛志も多くの出演歴がある。石橋蓮司や柄本明、大杉漣、地井武男といった、誰もが知るベテランの俳優たちが、ロマンポルノ作品に名を連ねていた。

 2019年の年間興行収入、公開本数はともに過去最高となり、映画界は活況を呈している。今日の邦画の隆盛も、ロマンポルノから続く映画人たちの奮闘に支えられているのだ。

※週刊ポスト2020年2月21日号

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