槇原敬之 警視庁が「2年前の所持」で逮捕に踏み切った背景

槇原敬之 警視庁が「2年前の所持」で逮捕に踏み切った背景

今回はどう供述するか

 1990年代にミリオンセラーを連発、2000年代以降はSMAPに提供した『世界に一つだけの花』が累計300万枚超のヒットを記録するなど、作詞作曲家としても日本人に親しまれてきた槇原敬之容疑者(50)が、覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕された。警察発表によれば、2018年4月に覚せい剤、3月に危険ドラッグを所持していた疑いだという。危険ドラッグなど薬物犯罪について取材を続けているライターの森鷹久氏が、2018年の所持疑いで2020年に逮捕に至った背景と、前回の逮捕時に「今後は、絶対にこのような犯罪を起こさない」と約束してもなぜ、再犯してしまうのかについてレポートする。

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 まさに国民的歌手である槇原敬之の所属事務所社長・X氏が、覚せい剤取締法違反で逮捕されてからおよそ2年が経とうとしていた昨日、当局はついに"本丸"を撃った。

「正直遅すぎたくらい。2年前から各社が張っていた港区の関係先から、結局ブツを持っていたという証拠が出てきた」

 テレビ局だけではない、新聞、週刊誌記者まで、港区の某タワーマンション前には、すでに2年前から代わる代わる"張っていた"記者の姿があった。そう語るのは大手民放キー局記者。警視庁組織対策5課、通称「組対5」による内偵調査は、実はこの時から始まっていたのだという。

 当時、公私ともに「パートナー」だったX氏が逮捕されたあと、槇原容疑者は東京・原宿の一等地に豪邸を購入。横浜や東京・南青山にも"居場所"を持ちつつ、原宿を拠点としながら精力的に音楽活動を続けていた。そして、誰もが知るところではあるが、槇原には「マエ」がある。

「1999年に覚せい剤を所持していたとして逮捕されました。公判では反省の態度を見せ、執行猶予付きの情状判決。本人も"一から出直したい"と宣言し、その後の音楽活動は順調そうに見えましたが、ミソがついたのは、一昨年の所属事務所社長の逮捕。やっぱりやってるんじゃないかと」(前出記者)

 2018年3月、所属事務所社長(当時)のマンションに捜査員が乗り込んだ際、槇原容疑者はその場にいなかった。いたのは社長だけで、覚せい剤所持で現行犯逮捕されている。同じマンション内には槇原容疑者が居住していたという部屋もあり、本当に偶然に、そして当局としては不運なことに、槇原容疑者本人を追及するきっかけを逃したのである。前出記者が続ける。

「ちょうどその頃、警視庁の組対5課、そして厚労省の麻薬取締部(通称マトリ)が、薬物事案で有名人の検挙を競い合っていた。2016年に元プロ野球選手の清原和博を挙げたのは組対ですが、その後はずっとマトリにやられっぱなし。今回は組対の面目回復かと思うのですが、逮捕容疑が2018年に"ブツ"を持っていた、というもの。過去の所持だけで逮捕に踏み切ったとは思えず、他に決定的な証拠を掴んでいるはず」

 槇原容疑者の逮捕容疑は、Xの逮捕直後である2018年の4月に微量の覚せい剤と危険ドラッグを所持していたというもの。

 槇原容疑者にとっても実に20年ぶりとなる今回の逮捕。覚せい剤使用が、そしてそれがパートナーと使用するものとなれば、そう簡単にやめられるものではなく、もはや生活の一部になっていることが少なくないということも、筆者は数多くの薬物関連取材で痛感している。「やはりやっていたか」と一般人が思うのも無理はない。

 一方で、警察は槇原容疑者本人の認否を明らかにしておらず、今回はブツ自体も見つかっていないという。「2年前に持っていただろう」という容疑での逮捕は無理筋な気もするが、当局が逮捕後すぐにマスコミ向けのレクを開いたところにも、その自信が見え隠れする。大手紙警察担当記者の話。

「本来であれば2年前に逮捕したかったはずですから、念には念を入れて、泳がせに泳がせまくったのではないでしょうか。大麻と違い、覚せい剤や合成麻薬などであれば、尿検査や毛髪検査で成分が出ただけでも証拠となる。ちなみに組対が挙げた女優の沢尻エリカは、合成麻薬所持は認めたものの尿検査はシロ。汚名返上、槇原容疑者の尿検査で確実に"クロ"を出す自信があると思われます」

 東京五輪前に、内外に「クリーンな東京」をアピールすべく、麻薬の根絶に躍起になる警視庁組織対策5課、そして厚生労働省の麻薬取締部。紆余曲折を経て、やっとの事でこぎつけたという「槇原逮捕」に胸をなで下ろす組対で、マトリは今もせっせとその爪を研いでいるに違いなく、また"大物"が薬物で挙げられる日も、そう遠くはないはずだ。

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