小出恵介不祥事 「作品と不祥事は別物」宣言を制作者はせよ

小出恵介不祥事 「作品と不祥事は別物」宣言を制作者はせよ

ネットニュース編集者の中川淳一郎氏

 俳優やタレントなどの不祥事やスキャンダルが明るみに出ると、CMや出演番組、ドラマや映画などいっせいに公開中止、販売停止などの対策をとる傾向がある。果たしてこの対応は正しいのか? ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、小出恵介スキャンダルをきっかけに、ネットで懸念された作品のお蔵入り問題について考えた。

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 俳優・小出恵介(33)が、17歳の女子高生との飲酒及び淫行したことが6月9日売りのFRIDAYに報じられ、今後彼が関与した作品のお蔵入りや、修正が相次ぐことだろう。

 契約している森永乳業「マウントレーニア」のCMも、メーカーが打ち切りを発表し、HPから小出の画像・動画を削除した。さらには、7月開始ドラマ『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)も降板。報道翌日からオンエアされるはずだった『神様からひと言~なにわ お客様相談室物語~』(NHK・全6回)では主役である。

 さらに、現在ネットで懸念されているのは、映画『シン・ゴジラ』に小出が少しだけ出演している点だ。公開中、「いずれは地上波で流れるから……」とジッと我慢していた人にとって、気が気ではないといった声もあった。

 こうした時、案外ネット民は冷静である。「作品の素晴らしさと出演者の愚行は切り分けるべき」という判断をし、さらには巻き添えをくう別の俳優陣のことも気遣う発言をする。小出の件ではまさにそういった流れだ。

 さすがにCMの場合、イメージを上げようと大金を払っているのにネガティブイメージがつくのはバカげているため、違約金をもらいさっさとお蔵入りにした方がいい。過去にCM出演者の素行や実生活に関連し、「これってネットで炎上しないかな……」と広告代理店の人間から相談されたことがある。

 そのうちの一つが、とある女優がCMでは仲睦まじい夫婦役を演じているのだが、彼女の夫に離婚歴があることや、あまり働かずヒモのような人物であることが報じられる直前のことである。「実像と違うじゃないか! と炎上しないかな?」と血相を変えてやってきた彼には「その程度では炎上しないから大丈夫」と伝えたのだが、CMとはここまで慎重に作るものなのだ。

 だが、映画やドラマは別物と考えるべきだろう。なにしろ、期間限定契約のCMとは異なり、後世に残る名作になる可能性もあるから。登場役者が不祥事を起こしたからといちいちお蔵入りにしては、もったいない。それこそ小出に関しては、『パッチギ!』『のだめカンタービレ』『ROOKIES』『JIN―仁―』といったメジャー作品に多数登場している。小出が登場する部分を削除して撮り直すのは非現実的だし、彼が登場するシーンを削除するのも面倒だし、そもそも話が繋がらなくなってしまうかもしれない。

 今回の話をきっかけに、「作品と不祥事は別物」という宣言を各作品の担当者は声明を発表しても良いだろう。何しろ、二次使用により再度お金が入る構造があるというのに、それを一人のバカによって潰されるのはあまりにも理不尽である。そして、客たる一般人もいちいちクレームの電話をしたり、作品の封印を署名サイトで求めるなどはしない成熟度を見せるべきだ。

 何しろネットでは自分の気にいらないものは何でも潰せる。一部のフェミニストは「小出を見ると性被害に遭った彼女を思い胸が締め付けられる。また、本人も苦痛を受ける」的なロジックで攻めてくるだろう。

 ただし、地上波で流す場合はスポンサーにクレームが行く可能性もあるのが痛いところである。

●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など。

※週刊ポスト2017年6月30日号

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