生徒は包丁を握らない 大人気「ばぁばの料理教室」に密着

生徒は包丁を握らない 大人気「ばぁばの料理教室」に密着

特別に行われた『鈴木登紀子料理教室』

 NHK『きょうの料理』でおなじみの“ばぁば“こと料理研究家の鈴木登紀子さん。ばぁばは、3人の子供をもつ専業主婦だった40代前半、近所の奥様たちに請われて「鈴木登紀子料理教室」自宅で始めた。50年近く経った今も、旬の日本料理を時季の器でいただくスタイルは変わりなく、献立もほぼ変わっていない。最新著書『ばぁば 92年目の隠し味』も好評なばぁばが、今回特別に料理教室を開催。「ばぁばの料理とお小言を生で味わいたい!」と応募した7人の読者に密着した。

 7月初旬、午前11時。東京・武蔵野市にあるばぁばの自宅に集まったのは、浅田絹与さん(52才)、香川汐子さん(76才)・麻理さん(47才)、窪田志都子さん(51才)、功野明美さん(46才)、寺田和子さん(36才)、宮下佐枝子さん(45才)の7人。すでに、「すっごく楽しみにしていました!」と、ワクワクと緊張が入り混じり、軽い興奮状態である。

 毎月、ばぁばの自宅で10日間にわたり開催される『鈴木登紀子料理教室』には、九州や北海道から参加する生徒さんや、数十年間、通い続けているかたもいる。現役最高齢の料理研究家による、超ロングランの料理教室だ。

 一般的な料理教室とは違って、生徒さんが包丁を握ることはない。あらかじめ献立表と作り方が書かれたレシピが配られ、ばぁばが目の前で調理し、生徒さんはそれをいただくというスタイルだ。

「まぁまぁ、みなさん、遠路お疲れ様でした。ようこそお越しくださいました」

 玄関を開けると、ばぁばが笑顔とともに、深々とお辞儀をして出迎える。

「テレビとまったく同じお姿、同じ声。すごくおきれい」(浅田さん)

「お邪魔しまーす」とスリッパに履き替える姿を眺めていたばぁば、「素足でスリッパを履いたかたはいませんでしたわね。みなさま、合格です」。

 訪問先では「素足でスリッパを履かない(スリッパが汚れる)」「バッグをソファや椅子に座らせない(“かばんの底は靴の底”)」が鈴木家のルールだ。

 まずはキッチンでばぁばの包丁さばき、煮炊きのコツを見学。

「今回はみなさまだけの特別メニューですよ。『うざく』から始まって、お椀はすずきとじゅんさい、それから『ごま豆腐』、そして『牛のたたき』。もうすぐ七夕さまですから、彦星と牽牛にちなんで『牛のたたき』をお献立に入れてみました。お食事はたたき梅ご飯、かぼちゃの甘煮。みそ椀はアスパラガスを生のまま使います。旬だからこそかなうお椀ですね」(ばぁば)

「まぁ、アスパラガスをおみそ汁に?」(香川汐子さん)
「そう、ちょっと青くさいところが八丁みそとよく合うのよ」(ばぁば)
 
 次は練りごまを使った自家製ごま豆腐。足を踏ん張り、鍋のごまを練る姿に「ごま豆腐って、自分でも作れるんだ…」とつぶやく読者たち。

 のちの実食では全員が、「すごく口当たりがやわらかで、“無添加”を実感しました。市販のものと全然違う」と驚く宮下さんに同感だった。

「時ならぬものが溢れ、スーパーに行けばお総菜コーナーに何でもあるご時世ですが、だからこそ、手作りできるものは労を惜しまないでいただきたいの。上手にできなくてもいいの。作るうちに上手になるから」(ばぁば)

 この後も、料理のポイントとともに「生わさびは葉を落として、葉先から下ろすんですよ。葉は捨てずに刻んでゆでてご飯に混ぜてもおいしいのよ」「和えものをする時など、両手でわっとつかむわしづかみはダメよ。無様でしょう? でも片手にお箸があり、手を添えるのはいいの。美しい料理は美しい所作から…ですよ」と語りかけ、時に「私はね、えびの頭を落とす時は、必ず『なんまいだ~、なんまいだ~』と念仏を唱えるの」と笑わせながら進行。2時間にわたる料理講義は終わった。

撮影/坂本道浩

※女性セブン2017年7月27日号

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