連ドラ『愛ある』 「出来過ぎ」設定こそこのドラマの肝

連ドラ『愛ある』 「出来過ぎ」設定こそこのドラマの肝

『愛してたって、秘密はある。』に主演する福士蒼汰

 今クールのドラマには話題作が多いが、そのひとつが連続ドラマ『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)だ。第2話で初回から0.5ポイント上昇して、平均視聴率8.7%を記録するなど好調。企画原案は秋元康さんで、福士蒼汰演じる主人公が、結婚を目前に控えながら、「父親を殺した」という秘密によって何者かに追い詰められていくミステリーだ。その見どころについて、コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

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『愛してたって、秘密はある。』は、あらゆる面で「出来過ぎ」のドラマである。まず、登場人物が「出来過ぎ」

 主人公の奥森黎(福士蒼汰)は、子供の頃から優秀で、現在は弁護士を目指す司法修習生として検察にいる。まじめで仕事熱心。第1話では自ら聞き込みなどして、傷害の再犯の疑いをかけられた青年の無実を証明、第2話では同級生を刺した少年の事情を知るため、わざわざ学校に出向くといった具合だ。

 そんな彼には婚約者・爽(川口春奈)がいて、彼女もまた検事を目指す優秀な女性。いわば、できすぎくんとできすぎさんの美男美女カップルなのである。

 その美男美女の生活環境もまた、「出来過ぎ」。爽がひとり暮らしする部屋は、十畳以上あるリビングを中心に家具も可愛いく、壁には趣味のいい棚とお洒落な飾りなどが並ぶ。さらに彼女の実家も、広々としたダイニング、蛇口も曇りひとつなくピカピカだ。中で一番気になったのは、バナナとリンゴとブドウが山盛りになった銀色足つき果物皿。こんな果物皿、久しぶりに見た。しみひとつないエプロンで美人ママ(岡江久美子)と料理する爽。自室も実家もモデルルームみたいなのだ。

 一方、黎のうちもなかなかなもの。白い透かし彫りの門扉を開けて入る庭付きの一戸建て。母晶子(鈴木保奈美)と二人暮らしには広すぎるくらいだろう。ただ、その庭には11年前、黎が撲殺した父の遺体が埋められているんですけど…。

 続いて設定も「出来過ぎ」黎を娘の結婚相手とは認めない爽の父(遠藤憲一)がバリバリの検事正で、兄(賀来賢人)もさまざまな事件を追うジャーナリスト。殺人の秘密を抱える黎の天敵ともいえる仕事をしている。それだけでも胃が痛くなるのに、突如、黎に父のことをほのめかすメールや縁の品が届いたり、第1話で庭から遺体が掘り返され、第2話では海に落とした父の車が発見される。庭にできた大きな穴を前に崩れ落ちる鈴木保奈美をみて、他人が留守宅で勝手にそんな穴を掘っても気づかれないのかと防犯状況が心配になるほどだったが、とにかく事態はどんどん深刻に。この流れで各回ひとつずつ証拠物件が増えて、黎が追い詰められていくってことなのか?

 そんなわけで、どこまでも「出来過ぎ」な印象のこのドラマ。しかし、私はこれこそがこのドラマの肝だと思っている。

 あまりにキレイに出来上がった人物、設定だからこそ、黒くなったときのギャップが怖い。そういえば、働き者の優しい母というイメージだった晶子は、だんだん目つきが鋭くなって「ウソをつきとおすのよ…」などと黎にアドバイスし始めた。

 鈴木保奈美に低い声で何か言われたら、とても逆らえない。他に「大企業の社長令息」などと自ら称する黎のチャラい同期の安達(白洲迅)や母の同僚医師で親切な准教授風見(鈴木浩介)の存在も気になる。彼らも今後、別の顔を見せるのか。そう思うと、最初から怖い顔をしている遠藤憲一が一番普通じゃんと思えてくる…。

 やはり、このドラマの「出来過ぎ」ムードは確信犯。狙いは、出来過ぎをひっくり返す、その瞬間にあるのである。

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