『Nスタ』数字上昇の秘密はホラン千秋のバランス感

『Nスタ』数字上昇の秘密はホラン千秋のバランス感

TBS『Nスタ』の好調の秘密は?(公式HPより)

 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、夕方のニュース番組事情を明かす。

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 4月にリニューアルした『Nスタ』(TBS系)の視聴率が上がり始めている。「夏休み効果もあるので冷静に分析する必要はあるのですが」(関係者)としながらも、関東地区では“2強”の一つ、テレビ朝日の『スーパーJチャンネル』に肩を並べる日もあるのだから、風が吹いて来たことに間違いない。

 日本テレビの『news every.』は相変わらず強いが、以前ほどダントツという印象がない。『Nスタ』の上昇により、日テレ、テレ朝、そしてTBSの3局が「いい勝負」をし始めているように思う。当然、『Nスタ』が目指すところは、日テレとテレ朝。いまは「攻め続ける」日々だ。

 ちなみにフジテレビの『みんなのニュース』はなかなか数字が上がらない。女性視聴者にも人気の椿原慶子アナが夜ニュースに移動してしまうのも痛手となってしまうだろう。

 TBSの夕方のニュースは、その昔はF3層、M3層(50才以上の女性と男性)に高い支持を得ており、そのため世帯視聴率も安定していた。

 が、09年、「TBS第二の開局」とも呼ばれた大規模改編の目玉として、あの小林麻耶をメインに据えた『総力報道!THE NEWS』が惨敗。わずか一年で終了してしまった。

 同番組最大の特徴は19時台をニュースにしたこと。そのため、20%超えの高視聴率を獲得していた19時台の人気バラエティー番組が枠移動させられたのだが、これも失敗に終わった。視聴習慣というものは、そう簡単に転換できるものではなかったということである。

 果たして、ここ数年、ドラマを中心に元気が戻って来たTBS。平日の生放送も、安泰の『ひるおび!』を筆頭に、苦戦が続いて来た『あさチャン!』や『ビビット』、系列局の制作ではあるが『ゴゴスマ』など帯番組の視聴率も上がって来ている。

 そんな中、夕方の新『Nスタ』の数字もスタート時と比べて確実に上昇中なのである。「トクするNEWS! Nスタ」の“トク”をメインキャスターの井上貴博アナが次のように解説する。ニュースをわかりやすく読み解くの“トク”、納得の“トク”、特ダネの“トク”、得する生活情報の“トク”だという。

 井上アナは『みのもんたの朝ズバッ!』でサブを務めて鍛えられ、その後、みのに代わってメインに。『あさチャン!』『ビビット』を経て、堀尾正明氏の後、『Nスタ』メインとなった。局として「いろいろ経験させよう」ということだったのか、昨年末はバラエティーの特番で明石家さんまともタッグを組んだ。

 井上アナをメインにしたということは、小林麻耶のときと同様、「若返り」を目指したワケだが、バラエティー専門アナだった麻耶ちゃんと、平日の帯番組を渡り歩いて来た井上アナとでは、何より視聴者の安心感がまるで違う。

 実は、その井上アナが番組当初から「仕事がしやすい」「とても“心”のある方」「スキルとポテンシャルに日々助けられている」などと絶賛していたのが女性サブのホラン千秋だったのである。

 14才でアミューズに所属し、女優業をしていたホランは、アイルランド人の父と日本人の母の間に生まれたハーフ。モデルが圧倒的に多い他のハーフタレントとは異なり、大学時代、全民放キー局のアナウンサー試験を受けたというから、当時からキャスター志向があったのだ。ニュース読みに定評があるのは、そのせいだろう。

 また、『NEWS ZERO』(日本テレビ系)、『シューイチ』(同)という硬軟の報道番組を経験し、いまのスタイルになる前から『バイキング』(フジテレビ系)にレギュラー出演。当初から坂上忍はホランが“大のお気に入り”で、きわどいトークに度々彼女を巻き込んでいた。

『Nスタ』のレギュラーになったのだから、バラエティー色が強い『バイキング』は降板するのではないかと思っていたのだが、曜日レギュラーとして出演し続けているホラン。

 調べてみると、ホランは現在も、NHK総合、Eテレ、NHK WORLDからTOKYO MX、関西ローカルの読売テレビまで、知的に寄り過ぎず、バラエティーにも寄らない絶妙な番組選びをしている。

 そのバランスの良さが、『Nスタ』でのポジションや井上アナとのやりとりに表れているのである。

 語彙が豊富なホランは、どんなときもハッキリした口調で、やや食い気味にコメントする。実はこの“食い気味”というのは、ひじょうに難しく、やり過ぎると“出しゃばり”に見えてしまうし、相手との関係があまり良くない場合は、視聴者に緊張感を与えてしまいかねないのだ。

 が、ホランと井上アナ、ホランと國山ハセンアナ、ホランと熊崎風斗アナ、ホランと天気予報の森田さん…、どのコンビも、やりとりがとてもうまくいっている。

 岸井成格氏や与良正男氏の解説を聞く際も、ホランは顔を氏に向けて熱心に聞いている。興味の表し方がひじょうにうまく、媚びるような言動はゼロなのに、男性の共演者やスタッフから好かれ、一目置かれていることが伝わってくる。
 
 このあたりも、女性視聴者にはストレートに伝わっているハズ。彼女と同年代のF1(20〜34才の女性)はもちろん、F2(35〜49才の女性)、F3(50才以上の女性)からの好感度も高いのは、「この子、なんか、うまいことやってそう」感がないからだろう。もともとの才能もあるのだろうが、努力したり勉強したりしている成果がオンエアの端々に表れている。

 自分の役割もわきまえていて、長い手を使って20代の女性らしさを身体で表現することもあれば、目線もいつも決まっている。

 バストアップも立ち姿も美しく、髪型は、女子アナでも珍しいショート。かと言って、夏目三久のようなモード感はなく、ファッションを含め、モードとコンサバのバランスも美しくとれているのがホラン千秋だ。

 放送作家として、私には「出演者やスタッフが仲のいい番組の数字は必ず上がる」という持論がある。実は夕方ニュースの“2強”である『news every.』と『スーパーJチャンネル』は、報道局含めたスタッフや出演者たちに“ファミリー感”があり、とても仲がいい。“Jチャン”は竹内由恵アナが加わってから、さらに現場の雰囲気が良くなったと聞いている。

 恐らく、『Nスタ』には、件の2強番組と同じような、いい空気が現場に流れるようになったのだろう。

 そして、その空気を中心になって作っているのがホラン千秋というワケだ。私も夕方、TBSにチャンネルを合わせる日が増えている

『Nスタ』のホラン千秋起用は“大当たり”だった。

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