AIはテレビをどう変えるのか 今秋にAI番組が5本も

AIはテレビをどう変えるのか 今秋にAI番組が5本も

今秋始まった『人間ってナンだ?超AI入門』(公式HPより)

 この秋の番組改編で多くの新番組が登場したが、そのなかのひとつにAI(人工知能)を使ったものがある。なんと一気に5本も始まったのだ。私たちの暮らしを大きく変えるといわれるAIは、テレビ番組をどう変えるのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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「よく5本もそろったな」という印象です。まず6日に『人間ってナンだ?超AI入門』(NHK Eテレ、金曜22時~)がスタート。最新の人工知能を楽しく学ぶ教養エンタメ番組で、第1回は「会話」をテーマに放送されました。

 2本目は、23日スタートの『AI-TV』(フジテレビ系、月曜23時~)。「AIが考えた企画案をもとに番組を作る」というコンセプトの実験的な番組です。

 3本目は、スタート日時未定の『ロボット旅 日本一周~タカラモノクダサイ~』(テレビ朝日系、日曜14時40分~)。「二足歩行ロボと芸能人が旅に出て、全国の宝物を探す」という内容で、今年6月に放送された単発番組が早くもレギュラー化されました。

 4本目は、2日と9日の前後編で放送するドラマ『アイ~私と彼女と人工知能』(フジテレビ系、月曜25時25分~)。イケメンAI(志尊淳)と2人の20代女性(香里奈、池田エライザ)との共同生活を描く恋愛コメディです。

 5本目は、放送中のドラマ『トットちゃん!』(テレビ朝日系、月~金曜12時30分~)。黒柳徹子さんのアンドロイド「totto」が、劇中ではなく、番宣などでスポット的に出演しています。

◆「企画と出演者のマンネリ」からの脱皮

 さらに、先月まで放送されたドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)は、ヒロイン・カホコ(高畑充希)とLINEでメッセージのやり取りができる「AIカホコ」を開発。登録者数44万人、総会話数1億回を突破するなど、番組のPRに大きく貢献したことがニュースになりました。

 このニュースは、「視聴者のAIに対する関心がいかに高いか」を物語っています。近年、「テレビは似た番組ばかり」「企画も出演者もマンネリ」と言われがちなだけに、「AIを使うことで、視聴者に見たことのないものへのワクワクを感じてもらおう」という意図があるのでしょう。

 視聴者の関心に応えられる技術の進歩も、AIを使った番組を後押ししています。会話、運転、医療手術、絵画など各分野の技術が視聴者の予想を超えるスピードで進化しているだけに、番組制作サイドとしては「今、これを使わない手はない」というのが本音。たとえば、tottoは、黒柳徹子さんを3Dカメラでスキャンして等身大の型を作ったほか、細かい表情、仕草、癖なども正確に表現しているそうです。

 また、声も『徹子の部屋』(テレビ朝日系)の会話データをもとに最新の音声合成技術で再現し、自律会話システムを搭載して本人に近いトークを実現。2015年4~9月に放送された『マツコとマツコ』(日本テレビ系)のマツコロイドはモノマネ芸人のホリさんが声を担当していたので、「約2年でさらに進化した」ということになります。

◆魅力はタレントにはない奇想天外さ

 バラエティー番組でAIを使用するときに期待されているのは、人間にはない奇想天外さ。自由な発想でアイディアを出すこともあれば、シビアな極論でバッサリ斬るなど、タレントができないことや視聴者が想像していないことを言い切ってしまえるのが強みです。

 その奇想天外さは、もともとテレビ番組に求められているものであり、いかにもテレビマンたちが好きそうなもの。その意味で、『AI-TV』は、AIとゆりやんレトリィバァやフースーヤら「鮮度の高い若手芸人を絡ませよう」という奇想天外さの化学反応を狙った番組と言えるでしょう。

 今後もAIを使った番組は間違いなく増えていくはずです。たとえば、AIがMCを務める番組、AI同士の漫才やコント、情報番組のAIアナウンサーやAIコメンテーター、クイズ番組のAIタレントなどがいつ登場してもおかしくありません。

 今はまだ実験的な段階ですが、私たちの社会や生活にAIが浸透していくように、「テレビ画面の中にAIがいるのが普通」になる時代はそう遠くないでしょう。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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