ランキングやアワード盛り上がらぬ背景に「ランキング疲れ」

年々新たなランキングが増加し“ランキング疲れ”“アワード疲れ”で盛り上がらず

記事まとめ

  • "好きな女性アナ"で水卜麻美アナが5連覇を達成し、流行語大賞には"忖度"が選出された
  • また『ブレイク俳優・女優』には竹内涼真、吉岡里帆が選ばれるも、冷めた声が続出した
  • 盛り上がらない背景に“ランキング疲れ”“アワード疲れ”を起こしているとの指摘も

ランキングやアワード盛り上がらぬ背景に「ランキング疲れ」

ランキングやアワード盛り上がらぬ背景に「ランキング疲れ」

ブレイク俳優のランキング1位は竹内涼真

 この時期になると、各所で有名人を呼んでのアワードが行われ、さらにランキングなども発表される。それらが例年に比べると、いまいち盛り上がっていない。なぜなのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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 12月に入って次々に今年を振り返るランキングが発表され、アワードが開催されていますが、例年よりメディアや一般の人々が盛り上がっていません。

 まず1日に『2017 ユーキャン新語・流行語大賞』(現代用語の基礎知識選)が発表され、「インスタ映え」「忖度」が選出。それぞれ『CanCam』モデルと、「忖度まんじゅう」販売会社の代表が登壇しましたが、記者たちが沸くことも、記事が反響を呼ぶこともありませんでした。

 同じ1日に発表された『第14回 好きな女性アナウンサーランキング』(ORICON NEWS)は、大方の予想通り日本テレビ・水卜麻美アナが5連覇を達成。若手や新星の登場はなく、関連報道もわずかでした。

 続いて8日には『第13回 好きな男性アナウンサーランキング』(ORICON NEWS)も発表されましたが、昨年で日本テレビ・桝太一アナが殿堂入りしたため、羽鳥慎一アナが1位に繰り上がり&返り咲き。こちらも中堅・ベテランばかりで若手や新星の登場はありませんでした。

 7日に発表された『2017番組出演本数ランキング』(ニホンモニター)では、国分太一さんが4連覇を達成。こちらも設楽統さん、近藤春菜さん、羽鳥慎一さん、坂上忍さんなど、「ほぼ毎年同じメンバー」でした。

 その他、『2017ブレイク俳優ランキング』は竹内涼真さん、『2017年ブレイク女優ランキング』(ともにORICON NEWS)は吉岡里帆さんが選ばれましたが、「そりゃそうでしょ」「普通すぎる」などの冷めた声が続出。「それでも12日発表の『今年の漢字』(日本漢字能力検定協会)は盛り上がるだろう」と思っていたら、ワイドショーでもチラッとふれる程度で、Yahoo!トピックスからもアッと言う間に消えてしまいました。

 師走の風物詩だったこれらのランキングやアワードが、なぜ盛り上がらなくなっているのでしょうか?

◆情報的な熱や価値は落ちる一方

 昨年あたりからメディア業界で指摘されているのは、嗜好の多様化・細分化。人々の関心事が多様化・細分化されている分、1つあたりの熱や価値が落ちているのです。

 さらに、ネットメディアがページビューやユニークブラウザなどの数字を取るために記事を量産することで、ランキングやアワードが埋没。次々に新たな記事がアップされることで、翌日には「古いニュース」になってしまうなど、さらに情報的な熱や価値は落ちてしまいます。

 また、見逃せないのは、人々の安定志向。たとえば、『好きな女性アナウンサーランキング』のトップ10は全員が30代以上であるように、かつてのような若さや美ぼうよりも、安心感や親近感を好む傾向が強くなっています。

 そんな安定志向は、これらのランキングやアワードを長年続けてきたことによる金属疲労によるものもあるでしょう。そんな背景があるにも関わらず、年々新たなランキングやアワードが増えているため、人々は“ランキング疲れ”“アワード疲れ”を起こしているのです。

 ランキングやアワードの結果が安定的なものになると、必然的にニュースとしてのトピックス性が落ちるため、テレビ番組での扱いも激減。「そりゃそうでしょ」「普通すぎる」ものを長々と放送するわけにもいかず、チラッとふれる程度で終わってしまいます。

 実際、流行語大賞の「インスタ映え」「忖度」について、MCやコメンテーターたちがあれこれ議論を交わすシーンはあまり見られませんでした。4年前、「じぇじぇじぇ」「倍返しだ」「今でしょ!」「お・も・て・な・し」の4語が同時受賞したときのような「僕はこれがいい」「私はこれが一番だと思います」、昨年の「『神ってる』は相応しいのかな?」「私は使いませんでしたね」などの熱っぽいやりとりがなかったのです。

◆発表前に結果を見透かされる悪循環

 本来、ランキングやアワードはSNSに強いはずのネタですが、ここまで意外性に欠ける結果が続くとツイートやコメントは活発になりません。それどころか、最近は発表前に「どうせこれでしょ」「結果は見えている」などと見透かされてしまう悪循環に陥っています。

『日本有線大賞』が今年で幕を閉じたほか、『日本レコード大賞』も苦戦が続く音楽業界を見ても、ランキングやアワードの先行きは不透明。このままでは師走の風物詩としてのかすかな趣こそ残るものの、かつてのような盛り上がりは期待できないでしょう。

 だからこそランキングやアワードの数を減らし、メディアは安易な報道を抑制し、人々の“疲れ”を取るべきではないでしょうか。「上位ランカーや受賞者が心から喜び、人々が素直に祝福できる」、そんなかつての姿に戻ることを願っています。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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