エール、まんぷく…朝ドラに「三姉妹」登場の効果と狙いは?

エール、まんぷく…朝ドラに「三姉妹」登場の効果と狙いは?

NHK連続テレビ小説『エール』に出演する窪田正孝と二階堂ふみ

 東京五輪の『オリンピック・マーチ』など、多くの名曲を作曲した古関裕而氏をモデルにしたNHK連続テレビ小説『エール』。窪田正孝は主人公を演じ、ヒロインが二階堂ふみだ。二階堂の役、姉と妹がいる三姉妹なのだが、実は朝ドラで三姉妹が登場する作品は数多い。三姉妹が登場する朝ドラについてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。

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 そんなわけで、朝ドラ『エール』では、いよいよ主人公の古山裕一(窪田正孝)が成長した音(二階堂ふみ)と出会う展開になっている。豊橋で馬具の製造販売をする関内家の次女である音の夢はプロの歌手になること。

 性格はとにかくくっきりはっきり。きれいな着物姿でお見合いに臨んだものの、髪飾りをぶるんぶるんと揺らしながら、「私は男のうしろを歩くつもりはないから。それが私の信条、いいか!!」と相手の胸倉をつかんで言い放つ。おお、言ってくれる。歴代朝ドラヒロインの中でもかなり上位の暴れん坊である。

 ここで気になるのは、音が三姉妹であること。実は朝ドラのヒロインは、結構、三姉妹率が高いのである。

 前作、『スカーレット』も、主人公喜美子(戸田恵梨香)が長女、次女直子(桜庭ななみ)、三女百合子(福田麻由子)の三姉妹だった。『まんぷく』は、長女(内田有紀)、次女(松下奈緒)、三女(安藤サクラ)、『とと姉ちゃん』もとと姉ちゃんこと高畑充希と相楽樹、杉咲花が三姉妹。『花子とアン』も花子(吉高由里子)ともも(土屋太鳳)、かよ(黒木華)が三姉妹ということで話題になった。

 他にもコシノ三姉妹の母をモデルとした『カーネーション』では主人公(尾野真千子)が生み育てた娘三人が世界的に活躍するデザイナーになるし、『純情きらり』は、長女が寺島しのぶ、次女が井川遥、三女が主人公宮崎あおいであった。

 三姉妹が登場するドラマの面白さと強みは、キャラクターにバリエーションでできること。三人それぞれに性格は違うし、人生もいろいろ。三人いれば、そのうち一人くらいは「こういう人、いるいる」と共感もされやすいし、パートナーとの出会い、別れ、こどもたちもことも含めて、話がにぎやかになる。肉親だけに姉妹が起こすトラブルもヒロインは無視できない。

『スカーレット』のようにオリジナルストーリーならば、なおさら自由自在だ。思えば、このドラマでは、地道な働き者のヒロインとまじめな三女の間にはさまれた次女直子が暴れん坊で少女時代は父親(北村一輝)と激突、おとなになるとヒョウ柄を愛用するおばちゃんキャラになってブイブイ言わせていた。デビュー当初の楚々としたイメージを蹴破った桜庭ななみの言動が、ドラマに躍動感をもたらしたといえる。

 私は脚本家を取材する中で「話数の多い朝ドラは、キャラの立つ登場人物を多くしないとネタ切れになる」という話を聞いたことがある。確かに土曜の放送がなくなったとはいえ、ざっと120話ある朝ドラでヒロインに毎回人生の大事件が起こるというわけにもいかない。

 そんなとき、仲良し姉妹は強い味方だ。『エール』の関内家三姉妹は、音の姉の吟(松井玲奈)はすてきな男性と幸せになりたいと願い、妹の梅(森七菜)は文学好きで小説家になることを夢見ている。主人公の裕一がぼんやりと気弱な人物だけに、これからは音がドラマをぐいぐい進めていきそうだ。そこに姉妹がどうからむか。新たな朝ドラ三姉妹伝説を作ってほしい。

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