『わろてんか』視聴率V字回復の理由 まだ上がる余地ありか

NHK連続テレビ小説『わろてんか』の視聴率がV字回復 『あさイチ』効果でさらに期待も

記事まとめ

  • 苦戦が続いていたNHK連続テレビ小説『わろてんか』の視聴率が2月16日は自己最高を記録
  • 19週はミスワカナ・玉松一郎を彷彿させるリリコ(広瀬アリス)と四郎(松尾諭)が登場
  • 井ノ原快彦と有働由美子アナ『あさイチ』降板発表で"朝ドラ受け"の価値増しているとも

『わろてんか』視聴率V字回復の理由 まだ上がる余地ありか

『わろてんか』視聴率V字回復の理由 まだ上がる余地ありか

視聴率がV字回復している『わろてんか』(公式HPより)

 連続テレビ小説『わろてんか』(NHK)の視聴率がV字回復している。内容への評価も酷評から一転、絶賛の声が増えている。その背景について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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 朝ドラ『わろてんか』の視聴率が上がっています。第2週の平均視聴率が早くも10%台に落ち込むなど苦戦が続いていましたが、1月末あたりからジリジリと上昇し、2月16日放送の114話では自己最高の22.5%を記録。それまでは前作『ひよっこ』の高視聴率をそのまま引き継いだ3話の22.3%が最高だったことから、「いかに苦しんでいたか」「いかに復調傾向にあるか」がうかがえます。

 ネット上にはネガティブな記事や視聴者の酷評が目立ち、1年前に視聴率を下げながら終了した「『べっぴんさん』の二の舞を演じるのではないか」と言われていた『わろてんか』は、なぜV字回復できたのでしょうか。

◆朝ドラを支える中高年層好みの展開

 今年1月8日に80話が放送されたころは、16.6%の最低視聴率を更新するなど、まさにどん底。このころは安来節乙女組や関東大震災のエピソードがあり、その後も落語のラジオ放送や、てん(葵わかな)の夫・藤吉(松坂桃李)の病状が悪化、キース(大野拓朗)・アサリ(前野朋哉)がしゃべくり漫才を完成させるなどの大きな出来事がありましたが、視聴率はそれほど上向きませんでした。

 しかし、1月29日からの第18週「女興行師てん」で急浮上し、週平均視聴率は21.0%を記録。翌19週「最高のコンビ」でも週平均視聴率21.0%を記録して、回復の傾向がハッキリと表れたのです。

 18週は、「てんがいよいよ女興行師として最前線へ」という筋書き。それまでのてんは、「笑顔で夫を支える元お嬢さん」というイメージでしたが、「ヒロインが仕事に奮闘する」という朝ドラらしいストーリーになったことで、長年の朝ドラファンが戻ってきたのではないでしょうか。

 また、19週はリリコ(広瀬アリス)と四郎(松尾諭)の新コンビが「しゃべらん漫才」を完成。伝説のコンビ、エンタツ・アチャコを彷彿させるキース・アサリに続いて、ミスワカナ・玉松一郎を彷彿させるミス・リリコ アンド シローが登場するなど、当時の芸能史をなぞるような興味深い演出で視聴者を引きつけました。

 ヒロインが仕事に奮闘するストーリーと、歴史をなぞる演出。どちらも長年、朝ドラの視聴率を支えてきた中高年層が好むものだけに、「見るか見ないか紙一重」の人々を取り込んでのV字回復も納得できるのです。

◆恒例の“朝ドラ受け”が残り1か月に

 その他の理由としては、高橋一生さん、成田凌さんというイケメン2人の出番が多く、さらに亡くなったはずの松坂桃李さんも幻のようなイメージでたびたび登場。「女性ファンたちの期待に応えている」という側面は多少なりともあるでしょう。

 そして、もう1つ見逃せないのは、『あさイチ』の井ノ原快彦さん、有働由美子さん、柳澤秀夫さんが今春での降板を発表したこと。これによって、「恒例の“朝ドラ受け”が見られるのもあとわずか」になり、その価値が増しているのは間違いありません。

 NHKにとって“朝ドラ受け”最大のメリットは、朝ドラと『あさイチ』の冒頭をリアルタイムで連続視聴してもらいやすくなること。つまり、視聴者がリアルタイムで見る確率が上がり、それなりの視聴率アップが見込めるのです。

 3月最終週のクライマックスに向けて徐々に、「“朝ドラ受け”もあと何回」とロスを嘆く声が増えていくのではないでしょうか。

◆戦中・戦後の激動期で、さらに視聴率アップへ

 残り約1か月間の放送は、「戦中・戦後の激動期が描かれ、モチーフとなっている吉本興業の描写もリアルになる」とのこと。芸人たちも戦争に巻き込まれ、命に関わる深刻な事態もあるようです。

 シビアなシーンが増えると、必然的にドラマ性はアップ。「戦後のつらい状況下で、ヒロインはどのように生き抜くのか」は、朝ドラの醍醐味だけに、てんたちがどのように笑いを作り出していくのかに注目が集まるでしょう。

『わろてんか』は、序盤から中盤にかけてさんざん叩かれ、いまだその声はあるものの、終盤には視聴率をさらに上げて終わる可能性を秘めているのです。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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