高嶋ちさ子流「怒り」のルール 「そのままぶつけてナンボ」

高嶋ちさ子流「怒り」のルール 「そのままぶつけてナンボ」

怒った後に付け足す“愛の一言”は、「本人がちゃんと悪いところを直した後に言うべし」と話す高嶋ちさ子(撮影/加藤千絵)

 歯に衣着せぬ発言で人気のヴァイオリニスト・高嶋ちさ子(52才)が、生まれ育った実家の「弱肉強食ルール」や、「プチ反抗期」を迎えた2人の息子の教育法など、家族にまつわるエピソードを明かす著書『ダーリンの進化論』を上梓した。

 そこでは、母の子育て論についてこう書かれている。

《よく母がいっていたのが、「最近は、個性をつぶさない子育てをしなさいっていうけど、本当の個性はつぶそうたってつぶれない。

 私がどれだけあなたをつぶそうと思ったか。つぶれるようなのは個性といわないの」》

 同書にはこう綴りながらも、本人の子育ては母の方針とは真逆だ。

「私がプロデュースしている『12人のヴァイオリニスト』の演者とか、家族以外に怒りを伝えるときは、みんなの目がないところで注意するとか気をつけていることもありますが、夫や子供に対してはルール無用(笑い)。

 怒りはそのままぶつけてナンボだと思っています。だけど、個性は別。母のいう私の個性はいい意味でも悪い意味でも、あまりにも特殊すぎる個性だったけれど、本来子供の個性は褒めることで磨かれます」(ちさ子・以下同)

 例えば長男には、「あんた本当に絵が上手だよね」と何度も褒めちぎる。

「もしそれが大した個性じゃなかったとしても、半ば洗脳のように、上手だ、上手だと言う。あ、もちろん私は長男の絵を上手だと本当に思っていますよ(笑い)。だけどそれによって、子供は『あ、おれはこれが得意なんだ』とか『人と比べてこれができる』と認識できる。だから怒りをぶつけながらも、その子のいいところを一生懸命見つけるようにしています」

“つぶそうとしてもつぶれなかった個性”は次世代でも花開こうとしている。

がまんしたことがないからアドバイスができない

 叱責も称賛も常に本音で全力。嘘がなく、直球だ。だからこそちさ子の言葉には力があり、それを聞いた人の心を動かすのだ。

 高嶋家では、彼女の「本音」を浴び続けてきた結果、もともと性格がおとなしく「バカ」と言われただけで深く傷ついていた夫も“進化”を遂げてしまった。

 本音でぶつかり合ったがゆえの進化である。

「以前はネットで叩かれると、“そんなことないよ”と慰めてくれたんですけど、いまはここぞとばかりに“やっとわかった?”と説教してきます。立派に進化したようで……(笑い)」

 もし、普段はうまく怒りを伝えられず、ついがまんしてしまうような人も、ちさ子のように怒りも本音も相手にスパッと伝えられたらどんなにいいだろう。そのコツを聞いてみた。

「つい怒りをがまんして、後で後悔する? それ、私はまったく経験ないです。がまんしたことがないからアドバイスができない(笑い)。

 だけど怒ってもその気持ちがうまく伝わらないというのは、よくわかります。相手に対して、いいかげんにしろ、いいかげんにしろってさんざん怒った後に、その人に対して最後に愛ある一言をつけ加えちゃうことがある。

 そうすると、ポジティブな人はそこだけ受け取って怒られたことを忘れちゃう。だから最後につけ足す愛情は、本人がちゃんと悪いところを直した後に言うべし。最近、そう思っています」

 本音と深い愛情に裏打ちされたちさ子の“愛すべき怒る力”から、まだまだ目が離せない。

【プロフィール】
高嶋ちさ子(たかしま・ちさこ)/1968年東京都生まれ。6才でヴァイオリンを始める。桐朋学園大学を経て、1994年イェール大学音楽学部大学院修士課程アーティスト・ディプロマコースを卒業。『めざましクラシックス』『12人のヴァイオリニスト』などのプロデュースを手がける傍ら、テレビやラジオなどでも活躍。

撮影/加藤千絵

※女性セブン2021年1月21日号

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