池脇千鶴の熟女ホステス演技、ドラマブロガーも「今クール最注目」のハマリ役

池脇千鶴の熟女ホステス演技、ドラマブロガーも「今クール最注目」のハマリ役

新たな代表作誕生か(AFP=時事)

 東海テレビが制作する『その女、ジルバ』(フジテレビ系、土曜夜11時40分)は、まさに「オトナの土ドラ」枠にふさわしい。第23回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した有間しのぶによる同名漫画を原作とした、人生100年時代に送られる人生賛歌の物語だ。

 物語の舞台となるのは、自称50代〜80代までの高齢ホステスが集う超高齢熟女バー「OLD JACK&ROSE」。主人公の笛吹新(うすい・あらた)は、「ホステス募集 ただし40歳以上!」の張り紙を目にして店の扉を叩き、「アララ」という源氏名でホステスの仲間入りを果たす。

 結婚直前に破談になって以来、恋愛とは縁遠く、仕事では左遷をくらってしまった“人生崖っぷち”な40歳の笛吹新を演じているのは池脇千鶴(39)だ。池脇が連ドラで主演を務めるのは実に9年ぶりのこと。そのため久々に池脇の姿を見た人々も多かったらしく、番宣でバラエティ番組に出演した際は、「池脇千鶴って今こんな感じなんだ」という驚きの声が続出し、「池脇千鶴」がSNSのトレンド入りする事態となった。

 池脇が様変わりした理由には役作りもあるだろう。新役を演じるにあたって少し体重を増やしたのか、劇中の姿はさえない四十路そのものだ。地味な作業着に身を包み、背を丸めた佇まいは、いかにも幸薄そう……。そんな新が、高齢ホステスたちとの出会いによって大きく変化していくところにカタルシスがある。

 ドラマブロガーの明日菜子氏にとって、『その女、ジルバ』は2021年冬クールもっとも注目する作品のひとつだ。池脇の大ファンでもある明日菜子氏は、「あどけない少女のイメージが強い池脇さんですが、年齢を重ねるにつれて、挑むジャンルも役幅も着実に広がっています」と語る。

「2019年に公開された映画『半世界』では、反抗期を迎えた中学生の息子を持つ母親役を好演。体型を隠すようなダボっとした服を身にまとい、絵に描いたような“中年女性”を体現する一方で、炭焼き職人の夫を献身的に支える美しい妻として取引先に赴くシーンもあり、その振り幅に目を奪われました。

 池脇さんは『その女、ジルバ』で年齢の呪縛に囚われていた主人公・新を演じます。昼間は“姥捨て山”と揶揄される職場で働く新ですが、夜の仕事では人生を謳歌する先輩たちから様々なことを学んでいく。40歳の女性が抱える孤独や哀愁を滲ませつつも、子供のように真っさらな気持ちで新しいことを吸収していく新のひたむきな姿は、かつての池脇さんが築いたピュアなイメージにも重なるところがありますね。

 人生の転換期を迎えた新のように、『その女、ジルバ』は池脇さんの“これまで”と“これから”を感じられる作品になるのではないでしょうか」(明日菜子)

 かつては清純派女優の代表格だった池脇だが、2003年公開の映画『ジョゼと虎と魚たち』で、足の不自由な少女という難役に挑み、ヌードまで披露する女優魂を発揮。“脱清純派”を果たした。近年は、先述の『半世界』など、人生のビターな面を表現する役柄が多く、映画『そこのみにて光輝く』(2014年)では、売春で一家を支えるヒロインを熱演し、第38回日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を受賞するなどの高評価を得た。

 人生のほろ苦さを演じてきた池脇が、同世代のヒロイン役を通して、人生の素晴らしさを表現する??。『その女、ジルバ』初回の平均世帯視聴率は2016年にスタートした「オトナの土ドラ」枠で最高視聴率を記録したと報じられている。久々の連ドラ主演作が早くもハマリ役となりつつある池脇。新たな代表作となる可能性もありそうだ。

◆取材・文/原田イチボ(HEW)

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