高嶋ちさ子 バラエティでブレイクから20年、今も支持される理由

高嶋ちさ子 バラエティでブレイクから20年、今も支持される理由

バラエティでの活躍が続く高嶋ちさ子(撮影/加藤千絵)

 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、著書も話題を集めているヴァイオリニスト・高嶋ちさ子(52才)について。

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 ヴァイオリニスト・高嶋ちさ子著『ダーリンの進化論』が売れている。サブタイトルは「わが家の仁義ある戦い」、帯には「ぶつかりながらも本音で生きる家族はやっぱり楽しい!」とある。

 私は彼女がバラエティ―番組に引っ張りだことなる“きっかけ”を作った『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)構成者の一人であり、近年は、彼女がレギュラー状態の『1周回って知らない話』(同)で頻繁に共演しているせいか、正直、知っているエピソードがたくさん載っていた。が、もちろん知らないこともあったし、事の真相がわかり「そうだったのか」と驚かされる箇所も数え切れないほどあった。

『さんま御殿』がきっかけでブレイク

 高嶋の『〜御殿!!』初登場は20年以上も前。立ち上げ当初から関わるスタッフに確認したら、某制作マンのプッシュがあったとのこと。彼女がラジオやローカル局に出始めの頃だったと記憶する。彼女のトークセンスは当時から抜群で、起承転結がしっかりしていて、ちゃんとオチがあって、しかもコンパクトにまとめる天才だった。音楽留学中の話やキャラ立ちな家族の話が特に面白く、初登場ながら、番組を通じてもっともハネたトークに贈られる「踊るヒット賞」を獲得。以来、彼女は3回連続で同賞に輝いた。当時のスタッフ間の評価は「ものすごいのが現れた」「彼女はホントに頭がいい」。当然、『〜御殿!!』への登場回数は激増したものだ。

『1周回って知らない話』(同)では、レギュラー放送時こそ「高嶋ちさ子」の人となりを掘り下げる企画だったが、特番になってからは「高嶋ちさ子は今」というべき密着モノとなって久しい。

「12人のヴァイオリニスト」のオーディションや過酷なメンバー入れ替え。舞台上で彼女たちがする自己紹介や私服への厳しいダメ出し(ちなみに高嶋自身のファッション・ポリシーは、着る服の色が3色以上にならないことだ)。母校・桐朋学園大学訪問、“キャラの濃い先輩”葉加瀬太郎や古澤巌との共演。最近では、父の弘之氏や姉の“みっちゃん”(未知子さん)にも出てもらっている。 

 その『1周回って〜』初出演のとき、タレントとしてブレイクするきっかけは『〜さんま御殿!!』だったというくだりになった。すると彼女は、真後ろのヒナ壇に座っていた私のほうを向き、こう言ったのである。「あのとき、なんで私だったんですか?」と。なぜ、自分がゲストとして呼ばれたのかという意味である。そんなことを聞かれるとは全く想定していなかったので上手に答えられなかったのだが、初登場回のオファー理由は前述の制作マンのプッシュはあれど、「高島(忠夫さん)ファミリーの親戚の美人ヴァイオリニスト」。いまとなっては、その血縁を知る人のほうが少ないだろう。

 また、彼女からは「青学ですよね?」と突然話しかけられたこともある。私が初等部から青山学院に通っていたことをどこかで知ったのだろう。そこからはママ目線で「今、青学って…」と母校のあれこれを度々報告してくれた。

強さと優しさの背景に姉“みっちゃん”の存在

 よほど縁があるのか、父・弘之氏の魅力溢れるキャラクターが広まるきっかけとなった『ご参考までに。』(同)にも私は出演していた。福山雅治とバカリズムがタッグを組んだ日本テレビのドラマプロジェクトの企画を探る番組で、「ビートルズの日本での仕掛人」弘之氏がフューチャーされたのである。つまり、『ZIP!』内でオンエアされた“朝ドラ”は、『生田家の朝』ではなく、『高嶋家の朝』になっていたかもしれないのだ。いや、もしかしたら高嶋家をモデルにしたドラマ企画はもう既にどこかで立ち上がっているかもしれないとも思う。

 そんな私は、姉“みっちゃん”について知ったのもかなり早かったと思う。まだ『〜御殿!!』に頻繁に出てくれていた頃のこと。ある新聞のインタビュー記事で高嶋が「なぜ自分がこのような性格になったのか」について答えていたのだ。そこに出てきたのが「ダウン症の姉・みっちゃん」。全く知らなかったので驚くと同時に、彼女の言動の強さの傍らに間違いなく存在する優しさと正しさのルーツを“理解”できた。

 ちなみに私が大好きな「みっちゃん」にまつわるエピソードは、みっちゃんを愛した母・薫子さんが亡くなったとき、御家族で「いちばん好きだった“みっちゃん”を棺に入れてあげよう」という話になり、みっちゃんが「それはイヤだ」と拒んだと……。

『〜御殿!!』初登場から20余年。言動が炎上したこともあれば、本業を脅かしてしまいかねない“イメージ”が独り歩きしてしまい、それを誰よりも素早く察知した高嶋本人がバラエティ番組からのオファーを断り続けていた時期もある。多忙で子供と過ごす時間がなくなったことからSNSで「このままだと息子に干されそう」と明かし、しばらく彼女をテレビでは見られなくなるのかと心配したことも記憶に新しい。
本当に頭のいい人なので、自分を客観視することもできている。そして何でも素早く決断するのである。それも決して「計算」ではない。もしも彼女が「計算高い」人だったなら、それはすぐに視聴者の皆さんにバレてしまう。彼女が20年以上も人気者で居続けられるワケは、これに尽きるだろう。

『ザワつく!金曜日』では一茂&良純の手綱を握っている

 2018年10月、彼女は新たに『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)のレギュラーに就いた。この半年ほどは週間視聴率ランキングの上位に入るほどの人気トークバラエティ。高嶋家同様、ファミリーの顔ぶれが濃い長嶋一茂と石原良純との冠番組で、3人の自由奔放かつ芯を食った発言が視聴者の心を捉えて離さない。

 業界的には、司会進行を務めるサバンナの高橋茂雄が「猛獣使い」として高く評価されている。が、私は、紅一点の高嶋がセンターに座っていることで、金曜夜6時45分という時間帯にあって女性視聴者の多くが、「私たちが見ていい番組」とチャンネルを合わせているのではないかと思っている。これはかなり重要なポイントだ。高嶋は子育て世代の女性にも人気があるが、それより上の年代からも人気が高い。その人たちは「高島ファミリー」や「高嶋兄弟(政宏・政伸)のいとこ」だと知っている世代だろう。同時に、その人たちはヨソの家系図が大好物。「お父様に(お母様に)ソックリね〜」という会話も大好きなのだ。その意味でも、この3人をキャスティングできたことはとても大きい。

 高嶋ちさ子は自身も「猛獣」であることに違いないが、「猛獣使い」でもあるのだ。長嶋一茂や石原良純がタッグを組む番組は他局にもあるが、もっとも“現れ”がちゃんとしているうえ、いいことを言うのが『ザワつく!金曜日』。それは高嶋ちさ子がクラスのうるさ型の女子のように二人の手綱をしっかりと握っているからに他ならない。

 番組の視聴率がジワジワと上がっている理由について関係者は「3人が言いたいことを言っているようで、実は“傷つけないトーク”」「軸がしっかりしていて裏表のない人たちなので嫌味がない」「コロナ禍で、多くの人が言いたいことをガマンしている中、まるで自分たちの気持ちを代弁してもらっているかのよう」と分析する。その最大の功労者は高嶋ちさ子と言っても過言ではないのである。

 母として妻として娘として、「12人のヴァイオリニスト」の長として、そしてもちろん日本を代表するヴァイオリニストとして“本物”である高嶋ちさ子を作った家族のあれこれが綴られた『ダーリンの進化論』。必読だ。

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