平成時代に打ち切られた伝説のCM〜旅館経営者・レジャー業界を敵に回した?

平成時代に打ち切られた伝説のCM〜旅館経営者・レジャー業界を敵に回した?

矢沢永吉

 緊急事態宣言中ということもあり、旅行や外出もせずステイホームの休日を過ごしている人も多いかと思われる昨今だが、今からおよそ25年前、「旅行を控えよう」と言ったことで物議を醸したCMが放送されていた。

 1995年8月、飲料メーカー・サントリーの缶コーヒーブランド「BOSS」のテレビCMにクレームがつき放送が打ち切りになる、という事件が発生した。

 このCMは歌手の矢沢永吉が出演しているCMで、主に矢沢が中年サラリーマンなどに扮して社会の常識を疑う一言を放つといった演出がウケており、95年の時点で数十作が作られていた。

 問題となったのは、夏シーズンに向けたCMで浴衣姿の矢沢が縁側で飛んでくる蚊を叩きながら、「夏だからって、どこか行こうってのやめませんか? どこだって夏なんだから」と叫び、最後に缶コーヒーをグイっと飲むという20秒程度のCMであった。

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 このCMにクレームを入れたのが、長野県のある旅館経営者であったという。サントリー社の広報担当によると、この旅館経営者から「旅行に行くのを控えるように呼び掛けるこのCMは、今の不景気なレジャー界に水を差す」といった声があり、サントリー社も「確かにそう取られる可能性がある」と感じ、速やかに放送を打ち切ることにしたという。

 1995年という時代はバブル景気が崩壊して2年後であり、さらに1月には阪神・淡路大震災や3月には地下鉄サリン事件が発生した影響で、旅行やレジャーを提供する企業は大打撃を食らっていたため、「夏だからって、どこか行こうってのやめませんか?」という矢沢の一言には、とても敏感になっていたのではないかと想像できる。

 このCMは1週間ほどで姿を消してしまったため、記憶にない人も多いかと思うが、次に製作された冬のCMでは、嘘か本当か矢沢永吉が「冗談じゃねえよ!」と叫ぶ演出になっており、「夏のCM打ち切り事件」を彷彿とさせるものだったという。

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