【帰ってきたアイドル親衛隊】出待ちでかけた声は女性ファンの声で簡単にかき消されるほどだった川崎麻世

【帰ってきたアイドル親衛隊】出待ちでかけた声は女性ファンの声で簡単にかき消されるほどだった川崎麻世

(提供:リアルライブ)

 ジャニーズ事務所にスカウトされデビューを果たした川崎麻世。長身で甘いマスクということで、デビュー前から注目が集まった。1976年にシングル『ラブ・ショック』で歌手としてデビューをするのだが、売り上げ的にはかなり厳しい結果が出てしまった。デビュー曲があまり売れないアイドルは、これまでも多くいたが、その後に出したシングル曲も、まったく売れる気配が無かった。しかしドラマなどの出演は多くあり、歌手というより俳優としての知名度が上がっていった。

 当時のジャニーズ事務所としては珍しいタイプのアイドルだったが、川崎にとってターニングポイントになったCMの出演が決まった。『日清焼きそばU.F.O.』である。これまで絶大な人気を誇っていたピンクレディーがCMに出演していたことで、その後釜に川崎の出演が決まったことは、当時を考えるとすごいことである。しかもそのCMソングとして、川崎のシングル曲『さすらいの英雄』が起用された。さらにこの曲のサビの部分で「MAYO MAYO〜」という歌詞があるのだが、そこを商品の「UFO UFO〜」と変えて歌う荒業に出て行った。視聴者にもかなり耳に残る楽曲だった。しかし、この曲もメジャーな曲にも関わらず、売り上げは思わしくなかった。

 かといって川崎の人気が低かった訳では無い。当時の人気歌番組『レッツゴーヤング』(NHK)にサンデーズとして約5年間もレギュラー出演していて、デビューしたてのたのきんトリオ(田原俊彦・野村義男・近藤真彦)の兄貴的存在になり、確固たる地位を築き上げていた。

 その『レッツゴーヤング』だが、私もかなりの頻度で公開収録を観に行っていた。もちろん川崎のことも何度も観ているが、目の前で見たり話したりすることはなかった。ようやく川崎と接触できたのは、82年の夏頃だった。日曜ビッグスペシャル(テレビ東京系)で放送されたものまね番組の公開収録だが、東京の荒川区にあるサンパール荒川という会場で行われた。この会場は、家から自転車で20分程度で行ける場所だったので、追っかけアイテムとしてフル稼働している自転車で出向くことにした。川崎はこの番組では司会を担当していたので、常にステージに出ていることもあり、客席からの写真は取り放題だった。4時間近い長丁場の収録だったが、楽しいひと時を過ごさせてもらった。

 しかし、私にとっての本番は、この後の出待ちなので、会場の裏にある駐車場の出口に陣取ることにした。下町の会場だったこともあって、出待ちをする人もあまり多くはなかった。真っ先に出てきたのはシブがき隊だったが、この日はあえてシブがき隊をスルーしてみた。その直後に川崎が出てきたので、すぐに声を掛けたのだが、女性ファンの声で私の声は簡単にかき消されてしまった。そこで負けている場合じゃないので、私は川崎が進む道のひとつ先の信号まで自転車で先回りして待つことにした。上手い具合に赤信号で止まってくれたので、そこで車の窓を軽くノックしてみると、川崎はすぐに窓を開けてくれた。ほんの数秒だったので、サインをもらったり写真を撮ったりはできなかったが、軽く話しをして最後は握手をしてくれた。おそらく男のファンが珍しかったから、こんな私にも優しく接してくれたのではないかと思う。

 しばらくすると川崎は完全にアイドル路線から外れてしまい、舞台やミュージカルをメインにした役者になっていた。90年にはカイヤと結婚。結婚してからは夫婦でテレビに出演することも多くなり、バラエティ番組に出演も増えてきて、お茶の間の人気者になった。

 数年前に何か忘れてしまったが、川崎が出席した企業イベントの取材に行ったことがある。数十年ぶりに生の川崎を目の前で見たが、すごく誠実で優しい感じの印象があった。現在は舞台やドラマを中心に活動をしているので、根拠は無いが、きっと近いうちに会える機会もあると思うので、そんな日を期待してみたいと思う。

(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)

【ブレーメン大島】小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしての顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。

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