黒字経営なのに60%が廃業!? 早めに準備しておきたい「中小企業の事業承継」を解説!

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。8月8日(日・祝)の放送では、中小企業庁 事業環境部 財務課長の日原正視(ひはら・まさみ)さんに、「中小企業の事業承継」をテーマに話を伺いました。


青木源太、日原正視さん、足立梨花



◆中小企業で働く人にとっても大切な“事業承継”
事業承継とは、会社を次の経営者に引き継ぐことです。そう聞くと経営者以外には関係のないテーマだと思いがちですが、そんなことはありません。

日本の企業の99%は中小企業が占めており、その中小企業で働いている人は全体の雇用のおよそ70%を占めています。そのため、いま私たちが働いている企業の事業が円滑に引き継がれなければ、場合によっては業績が悪化して従業員のリストラや、後継者が見つからなければ廃業する可能性もあります。

昨今、日本では経営者の高齢化が進んでいるうえに、後継者不足もあり、事業承継が円滑に進まないことが懸念されています。ちなみに昨年、中小企業の経営者で多かった年齢層は65〜74歳。しかも、70代の経営者のうち、後継者が決まっていない方がおよそ40%もいるだけに事態は深刻です。
   
また、昨年に休業や廃業、解散した事業者のうち、経営は黒字なのに廃業したのはおよそ60%。後継者がいなかったために廃業した企業も少なくありません。こうした廃業で困るのは、従業員はもちろんのこと、取引先やお付き合いのある企業にも影響が及んでしまうことです。

中小企業の場合、家族経営も多いため、なんの対策もせずにいると、いざというときに“お家騒動”となってしまうケースも。また、家族との関係以外にも、「後継者に経営のノウハウがなかったり、従業員や取引先との関係を作れていなかったりすると、経営がうまくいかずに従業員の生活が脅かされる可能性も考えられます」と日原さん。

そんな事態を招かないためにも、「計画的に事業承継の準備を進めておけば、企業がこれまでに培ってきた資産、人材、技術、取引先などの“財産”をうまく引き継ぐことができる」と言います。

事業承継はメリットが多い一方で、後継者が決まっていない中小企業が多い背景には「そもそも誰かに“引き継ごう”“引き継げる”と考えていない経営者もいますし、“ゆくゆくは誰かに引き継ぎたい”と考えている経営者でも、日々の経営が大変で、事業承継の準備を後回しにしている場合が多い」と指摘します。また、家族経営の場合、子どもがほかの仕事で生計を立てていて、事業を継ぐ意思がない場合や、子どもから親に事業承継のことを切り出しにくいといったケースも。

日原さんによると、早めに事業承継に取り組むことによる資金面でのメリットも多く、「例えば、いまなら相続税や贈与税の負担を実質ゼロにする事業承継税制があります。また、事業承継後の設備投資などを支援する事業承継・引継ぎ補助金などもあり、近年、内容を拡充している」と説明します。

なお、事業承継税制については、税制を活用するのに必要な事業承継計画の提出期限が2023年3月に迫っているため、早めに準備をしておくことが大切です。

◆M&Aによる事業承継が増加している理由
ひと口に事業承継と言っても、その引継ぎ先のパターンはさまざま。日原さんは、主に分けられる3つとして“親族内での承継”“社内役員や従業員への承継”“第三者の事業者や個人への承継”を挙げます。

そのなかでも“第三者の事業者や個人への承継”とは、いわゆる“M&A=企業の合併や買収”です。そのため、M&Aに抵抗感を抱く経営者や従業員がいるのも事実。しかし、M&Aはメリットも多い経営手法で、近年、M&Aによる事業承継は右肩上がりで増加しており、「推計で、年間3,000〜4,000件程度実施されています」と日原さん。「社内で見つけられない後継者を見つけられることに加えて、“従業員の雇用の継続”や“生産性の向上”といった効果も期待できる」とメリットを挙げます。

また、M&Aをされると“従業員はリストラされてしまうのでは?”とイメージしがちですが、「中小企業庁の調査では、およそ80%の企業で“1人もリストラせずに雇用を維持している”という調査結果もある」と言います。逆に、もし後継者が見つからずにM&Aもできないとなると、廃業によって雇用が失われてしまいます。

とはいえ、「M&Aと聞くと、一般的に“大きな企業が小さな企業を飲み込んでしまう”というイメージもありますが、そうした側面ばかりではない」と明言。「M&Aをした企業同士の人事交流や技術連携、経営ノウハウの共有などによって、新たな発想が生まれたり、設備投資や研究開発が進む、というメリットもあるため、M&Aの買い手・売り手の双方にとって成長するきっかけとなる可能性もある」と声を大にします。

実際にM&Aを実施した企業は、そうでない企業に比べ、売上高や経常利益、さらには、生産性向上を実現しているという調査結果もあります。

そして、全国47都道府県には、公的相談窓口として事業承継・引継ぎ支援センターが設置されており、「“事業承継をどう進めたらよいか”というご相談から、親族内承継、M&Aのマッチングまで幅広く支援をおこなっています」と説明。支援実績は徐々に増加しており、同センターを通じた2020年度はM&Aの成約数 は1,379件にのぼります。

また、事業承継・引継ぎ支援センターのポータルサイトも開設されており、詳しい支援内容や支援事例の紹介、全国の支援センターを検索することができるので便利です。

あらためて、日原さんは「より良い事業承継をおこなうためには、早めの準備が大切」と強調し、「日々の経営で大変だと思いますし、家族の方と将来について話し合うのは恥ずかしいかもしれませんが、ぜひ家族が顔を合わせる機会を見つけて、企業の未来について話し合っていただきたい」と呼びかけました。

足立は、公的相談窓口として事業承継・引継ぎ支援センターが設置されていること、ポータルサイトもあることを知り、「(経営者にとって)めちゃくちゃ安心だと思う。迷っている方がいたら、ぜひ活用してほしい」とコメント。

一方、青木は「M&Aに対し、いろいろなイメージを持っている方がいると思う」と前置きしたうえで、雇用の継続や生産性の向上が期待できるというメリットがあることを挙げ、事業承継の大切さに気づかされた様子でした。


足立梨花、青木源太



----------------------------------------------------
??この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2021年8月16日(月) AM 4:59 まで

スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30〜7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/

関連記事(外部サイト)