愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「“上がり続けるガソリン価格”と“悪い円安”」を解説

本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。

11月10日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと三井住友DSアセットマネジメント株式会社フェローの宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「“上がり続けるガソリン価格”と“悪い円安”」というテーマでお話を伺いました。

(左から)マンボウやしろ、宗正彰さん、浜崎美保


◆ガソリン価格は10週連続の値上がり!

浜崎:宗さま。今回は「“上がり続けるガソリン価格”と“悪い円安”」について、お話しいただけるということですが。

やしろ:最近、ガソリンスタンドの店頭価格がかなり上がっています。これはどうしてなんでしょうか?

宗正:本日発表された11月8日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は、1リットル169円でした。実に10週連続の値上がりです。

やしろ:全国平均ということは、高い所では170円を超えているっていうことですか?

宗正:超えていますね。この水準は7年3ヶ月ぶり、2014年8月以来のことなんです。この背景には、世界経済が一気に動き始めて、原油が不足しているという現状があります。ガソリンの元は原油ですからね。量が少ないと、価格が上がるのは野菜も原油も同じです。

そして、もう1つの主な理由。それは円安がかなり進んでいるからなんです。円が安くなると輸入品は割高になります。原油はそのほとんどを海外からの輸入に頼っています。この2つが主な理由です。

やしろ:原油の価格が上がると、その影響はガソリン以外のものにも幅広く及びそうですが、具体的には、どのような業種が影響を受けているのでしょうか?

宗正:例えばクリーニング屋さん。ボイラーを重油で動かして、アイロンがけや乾燥機に使っています。重油の元は原油ですからね。

やしろ:常に結構な量を使うっていうことですね?

宗正:しかも車で配達するときには、ガソリンも使いますよね。特に重油は、1年前の今頃と比べると4割を超える値上がりなんですよ。

やしろ:4割超え!

宗正:そもそも目に触れるものの多くが原油由来のもの。目の前のペットボトルもそうですし、このマイクに付いているスポンジもそうですよね。あとは、ものを包むのに使うフィルム、プラスチック製品もそう。原油価格が上がれば多くのものが連動して値上がりするという、これはもう目には見えない増税みたいなものです。

◆円安は当面の間は続く見通し

やしろ:そして、最近の経済情勢を「悪い円安」と指摘されることもありますが、まずは円安と円高について教えていただきたいです。

宗正:円高というのは、文字通り「円の価値が高い」こと。例えばドルよりも円の価値のほうが高いと、「円高・ドル安」です。一方が上がればもう一方が下がる公園のシーソーをイメージしてください。為替市場も、ある通貨がもう一方の通貨に対して、高いのか安いのかということなんです。

例えば、海外旅行でのお買い物は円高の方がお得ですよね。それは、円の価値が高いからです。海外でのお買い物は、貿易で言えば輸入と同じ。海外のものを買う、つまり輸入には円高がプラスに働くということです。その逆の円安は輸入の反対の輸出に対してプラスに働きます。よく分からなくなったときは、この話を思い出してみてください。

やしろ:ありがとうございます。では今起きている「悪い円安」とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

宗正:円安が進めば輸出関連企業の業績にプラスに働くのは、今お話したとおり。日本経済で大きなウェイトを占めてきたのが、自動車や電気といった輸出関連企業なので、円安が進めば日本の株式市場全体も上がる。これが「良い円安」です。

ところが、最近では円安が進んでも日本の株式市場が上がらないケースも多く、今がまさにそうなんですね。例えば、今年の年初1月は1ドル103円台でした。10月に入ると、それが1ドル114円台にまで円安が進んだ。ところが、日本の株式市場は、そこまで連動して上がっていない。

やしろ:本来だったら上がらなきゃいけないところですよね。

宗正:原油価格の高騰も円安が進んだ要因の一つです。多くの場合、原油は海外からドルで購入します。そのドルを調達するために、大量の円を売ってドルを買う。大量の円を売るので、これが円安につながっているんですね。

そして、一般的に原油高は企業のコスト高につながりますから、企業の業績は悪化する。そうなると株価は低迷します。これが円安なのに株価が上がらない、つまり「悪い円安」です。

やしろ:では、どうしたら今の高い原油価格は収まるのでしょうか?

宗正:求められるのは「政治力」、政府の介入です。原油価格っていうのは政治の動きそのものなんです。限りある原油の採掘量は、常に政治的な動きで決まります。例えば、イランやイラクなど昔からの産油国が加盟するOPEC(石油輸出国機構)に、OPECには加盟していないロシアやメキシコなどの産油国を加えたOPECプラス。彼らが原油の減産を決めれば価格は上がり、増産となれば価格は下がります。

やしろ:日本政府単体で動いて、どうにかなるものなんですか?

宗正:一国で動くよりも、例えばアメリカ政府と一緒の方が効果的です。ただ、原油価格が上がって困るのはどこの国も同じ。自ずと同じタイミングで協調して動くことになります。

やしろ:ではズバリ聞きます。原油価格の高騰ですが、今後、年末年始に向けてどうなっていくのでしょうか?

宗正:残念ながら、当面の間は今の状況が続くと思います。

やしろ:原油の(採掘)量は増えないということですか?

宗正:増やす方向に動かすのは難しいと思います。新型コロナ感染拡大の動きは、世界的に見ればまだまだ不透明です。今現在、原油価格が高いからといって、増産して値を下げた後に、また新型コロナの感染が拡大して経済活動が滞ってしまったら、原油価格は大幅下落になってしまいます。

そして、分かりやすい例では「灯油」。灯油の元も原油です。朝夕と肌寒くなってきて、ここからますます暖房需要が高まります。そうなると、季節的にも灯油の価格は下がりにくくなりますよね。

やしろ:特に冬は需要が高くなりますからね。

宗正:そして、円安も当面の間は続きそうです。これは日米の金利差が主な要因なんですけど、日本は基本的にはゼロ金利政策をまだ維持しています。一方のアメリカ経済は既にコロナ前の水準にまで回復して、金利は上がる方向です。つまり、「円安・ドル高」。当面の間は「円安」も続きそうなので、結果として原油価格の高い水準はしばらく続くと思います。

やしろ:急な変化はないということですね。ところで、話が少しずれますけど、一律なのか限定的なのかは分かりませんけれども、給付金の動きもかなり活発化しています。この辺りも経済には今後影響を与えますか?

宗正:検討されている給付金は、経済に影響を与えるかどうかっていうよりも、どのような仕組みで困った人をサポートできるのかということですよね。本当に生活が逼迫している人に、今回の給付金がうまく回るような仕組みにして欲しいですね。

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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月〜木曜17:00〜19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ〜)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/

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