【漢字トリビア】「霙(みぞれ)」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「霙(みぞれ)」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「霙(みぞれ)」の成り立ち物語

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「霙(みぞれ)」。雨に雪が混ざり始めたら、寒さも一層、身にしみてきます。そんなときにふと、思い出してみたい漢字です。



「霙(みぞれ)」という漢字は雨かんむりに「英語」の「英」という字を書きます。
雨かんむりは、天から落ちてくるしずくを描いた象形文字。
「英」という字は、草かんむりに中央の「央」と書きますが、この「央」という字には「美しく盛んなもの」という意味があります。
そこに植物を意味する部首「草かんむり」を添えた「英」という字は、「美しいはな」の様子を示しているといいます。
そこから、雨と雪がまざって花びらのように降っているものを、「霙」という漢字で表すようになったのです。

雨に濡れながら、帰り道を急ぐ人がいます。
もしも晴れていたなら、力強い輝きに導かれるまま、星冴える夜空を楽しむことができるのに。
濡れた足元を見つめながら歩いていると、気分も沈んで、背中がまるくなってしまいそう。
凍てつく寒さにふるえながらゆくうちに、雨の音が変わったことに気づいたその人は、ふと、空を見上げます。
冷たい雨に、雪がまじりはじめました。
舞い降りてくるのは、銀色の光を放つ雪の花びら。
本格的な雪に変わる前のつかの間のきらめきが、心を明るく、照らします。

ではここで、もう一度「霙」という字を感じてみてください。

「霙」は冬の季語ですが、「春の霙」という季語もあります。
雨が雪に変わる一瞬に空から舞い落ちる花びらが「霙」。
「春の霙」は、寒さがゆるんで雪が雨に変わる一瞬をとらえたのでしょう。
冬至をはさんで、暦はゆっくり春へと進みだしますが、厳しい寒さはこれからが本番。
だからこそ、いにしえの人は雪がまじる冷たい雨を花びらの姿に見立て、前向きな気持ちを保ったのでしょう。
北原白秋も、こんな歌を詠んでいます。
「いちはやく冬のマントをひきまはし銀座いそげばふる霙かな」

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
『読んでわかる俳句 日本の歳時記 冬・新年』(宇多喜代子、西村和子、中原道夫、片山由美子、長谷川櫂/著 小学館)


12月22日(土)の放送では「裕」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


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聴取期限 2018年12月23日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/

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