「クロノ・トリガー」「ゼノギアス」作曲家・光田康典、ゲームの音作りへのこだわりを語る

「上質な音楽を、じっくり味わう。」をテーマに、TOKYO FMで放送中の生ワイド番組『THE TRAD』(毎週月曜〜木曜15:00〜16:50/月・火:稲垣吾郎、吉田明世 水・木:ハマ・オカモト[OKAMOTO‘S]、中川絵美里)。毎月最終木曜日放送のコーナー「GAME MUSIC DUNGEON supported by SQUARE ENIX MUSIC」では、ハマ・オカモトがゲーム音楽界の第一線で活躍するクリエイターをゲストに招き、日本が世界に誇るゲーム音楽の世界をあらゆる角度から掘り下げていきます。

3月31日(木)の放送は、作曲家、編曲家、プロデューサーの光田康典(みつだ・やすのり)さんをゲストにお迎えしました。

(左から)中川絵美里、光田康典さん、ハマ・オカモト


◆ゲームプレイヤーの心に残る効果音を意識

光田さんは、1992年スクウェア(現スクウェア・エニックス)入社後、1995年「クロノ・トリガー」で作曲家デビュー。「ゼノギアス」「クロノ・クロス」などの作曲を担当した後、1998年に独立。フリーランスで活動後、2001年に「プロキオン・スタジオ」を設立。現在はテレビや映画、アニメ、ゲームなどジャンルにとらわれない多種多様な作曲、有名アーティストへの楽曲提供やアルバムプロデュースなど、多岐に渡って活動中です。

ハマ:スクウェアに入社されて、最初はゲームの効果音作りからキャリアをスタートされたそうですね?

光田:最初は作曲家として入社させていただいたんですけども、当時は効果音を作るスタッフがいなかったんですよね。

ハマ:へええ!

光田:僕がコンピューターに強かったので、「光田、効果音を作ってくれないか?」と言われたので、「いいですよ」ということで(笑)。当時は「ファイナルファンタジーV」「聖剣伝説2」「ロマンシング サ・ガ2」を作っていた時代でした。入社してからすぐに、「ファイナルファンタジーV」の飛竜の鳴き声の効果音を作りました。

ハマ:とてもあっさりと話されますけども、すごい現場ですね(笑)。

光田:そうですね(笑)。「新人だから」って感じはまったくなかったですね。

ハマ:(ゲーム開発に)がっつり関わっていますもんね。

光田:入社したら、ひたすら働いてねって感じでした(笑)。

ハマ:効果音作業って想像がつかないんですけども、具体的にはどういったことをするんですか?

光田:昔のゲームって、とにかく容量が少ないんですよ。今のゲームだと例えば「ガラスを壊した音」を収録するってなると、実際にガラスを壊した音を録音して、そのまま収めればいいんですよね。当時はそういうことができる容量がなかったので、シンセサイザーで作るわけですよ。

ハマ:なるほど!

光田:心電図みたいな音の波形を使って、鳴き声や剣の音を作っていました。

ハマ:ガラスが割れた音に聞こえるように、効果音を作っていくわけですね。

光田:はい。基本の音は「プー」とか「ピー」とか「ポー」とかしか入っていないんですよ。それをいかに組み合わせて効果音を作っていくか。非常に地道な作業でした。

ハマ:でも、実はそういった音がプレイヤーの心に強く残るじゃないですか。今みたいなリアルな音じゃない時代のほうが、記憶に残っていたりしますよね。

光田:そうなんですよね。カーソルがメニュー内で移動する音とか、決定音とかを作るときが一番神経を使うんですよ。

ハマ:ご自身のなかで「これはどうよ!」みたいな効果音ってありますか?

光田:ゲームファンのなかでは「ファイナルファンタジーV」の飛竜の鳴き声ですね。「ロマンシング サ・ガ2」だと、技を覚えたときに頭のなかに電球が表示されて「ピコーン!」と鳴るんですけども、あの音も作りました(笑)。

ハマ:へええ!

光田:今までは容量の問題で、弓を飛ばした音しか作れなかったんですけど、「聖剣伝説2」では弓を引く音まで作りました。今までのスーパーファミコンではなかった効果音なので、気に入っています。

ハマ:すごい話だなあ。ちょっとした演出で、奥行きがグッと広がりますもんね。

光田:そうなんですよね。当時はドットでグラフィックも荒いので、それを音で補うことがすごく重要でした。

◆ゲームと自身の人生を重ねることができた時代

ハマ:作曲家としてのデビュー作が「クロノ・トリガー」で、その続編である「クロノ・クロス」の作曲も手掛けられていますよね。それぞれどういったゲームなのか、今一度教えていただけますか?

光田:「クロノ・トリガー」は時空を旅して、最後の敵をみんなでやっつけるという、スーパーファミコンのなかではかなり“尖った”ゲームでした。その後発売された「クロノ・クロス」は、次元を行き来して、過去におこなった自分たちの行為に対していかに責任を取って生きていくのかを問うゲームです。

「クロノ・トリガー」を小学生ぐらいの年齢で遊んでいたファンの方がちょっと大人になり、中高生になって自分の進路や自分の生き方を決めていかなきゃいけない時代に「クロノ・クロス」というゲームで、そういったことを訴えかけたいという思いがありました。

ハマ:なるほど! 今振り返ってプレイしてももちろん面白いでしょうけども、リアルタイムでゲームが出た世代にとってはたまらなかったでしょうね。(ゲームキャラクターを)自分と置き換えちゃいますよね。

光田:ゲームが自分の人生とリンクしている。そういった時代だったんじゃないかなと思いますね。

◆さまざまな“挑戦”が詰め込まれた「ゼノギアス」

中川:光田さんの代表作である「ゼノギアス」は根強いファンが多い作品だと思います。どういった特徴のあるゲームなんでしょうか?

光田:根強いファンがいてくださって、嬉しい限りです。当時、スクウェアはアニメを主軸にしたゲームを作っていなかったんですよね。

ハマ:ほうほう!

光田:ディレクターの意向もありまして、オープニングではCGをすごく使って、アニメ調で物語を作りました。ゲームでは宗教とかニーチェといった、今の世の中ではなかなか出せないような際どい内容を扱っていました。

「神とは何か」「我々人間はどうやって生まれたのか」みたいなところがテーマだったりするので、今遊べるメディアがあるならば、ぜひプレイしていただきたいゲームではあります。

ハマ:すごいな。

光田:音楽も非常に宗教的なものが多いです。そして、スクウェアで初めての“歌もの”を入れたゲームでもあります。

ハマ:そうなんですか!?

光田:「ファイナルファンタジー」シリーズでは8から歌ものが入ったんですけども、その前に「ゼノギアス」でやりました。(プラットフォームが)プレイステーションに移って容量が増えたので、何曲かは生録音したものを収録できるようになりました。「やるんだったら最大限にやりたいな」と思いましたね。

ハマ:収録時間も30分を超えるフルボイスのアニメーション! 当時の人からしたら「すげえ!」って話ですよ。

光田:斬新ですごいことでしたね。

ハマ:発売されたのは1998年です。「ゼノギアス」は初めての試みが多かった作品だったんですね。

光田:そうですね。

TOKYO FMの音声サービス「AuDee(オーディー)」では、番組の生放送終了後にアーカイブを配信中。さらに、番組内ではお伝えしきれなかった裏話などのAuDee限定スペシャルコンテンツも毎週木曜日17時に配信。

詳しくは「GAME MUSIC DUNGEON supported by SQUARE ENIX MUSIC」の「AuDee」をチェック

<番組概要>
番組名:GAME MUSIC DUNGEON
放送日時:毎月最終木曜16:13頃〜
パーソナリティ:ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、中川絵美里(木曜アシスタント)
番組Webサイト: https://audee.jp/program/show/100000337

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