AIが人間の“伝えたい気持ち”をサポート? UNIVERSITY of CREATIVITY で開発中のシステム「AIラッパー」を解説

UNIVERSITY of CREATIVITY(UoC)共同編集長の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするinterfmの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。

4月27日(水)の放送では、映像作家・CMプランナーの横井優樹(よこい・ゆうき)さんがゲストに登場。UoCで開発している「AIラッパー」について語ってくれました。

(左から)Misa、横井優樹さん、Hide


横井さんは「AIラッパーシステム」の開発に携わり、毎日新聞と博報堂DYメディアパートナーズとともに立ち上げた「毎日新聞×Z世代プロジェクト」では、「AIラッパー」を活用して新聞記事をベースに、ラップ調の動画を配信中。UoCの第2期ゼミでは「AIラッパーであそぼう」を担当しています。

◆UoCが開発中の「AIラッパー」って何?

Hide:知らない方のために、まずは「AIラッパー」が何なのかを説明してもらえますか?

横井:AIラッパーはUoCで開発中のシステムで、AI技術を用いてテキストをラップ調の音声に変換してくれます。AIと聞くと、「人間の役割に代わる存在」とか「なんとなく怖いもの」と思われる方もいるかもしれません。

Hide:「人の仕事を奪っちゃう」とかね。

横井:そうなんです。AIの役割がこれからどんどん増えていくなか、「人間を楽にさせるもの」ではなくて「人間の人生そのものを楽しくさせる」という方向に、AIの活用法を持っていけないかなと思ったんです。それが現在の活動を始めたきっかけですね。

人間がどういうところで楽しめるのかを考えたときに、まずコミュニケーションに着目をして、相手に自分の思っていることが伝わったときに“楽しい”と思うことが多いんじゃないかなと感じたんです。そこから、人の思いを伝えたり、人の心を動かしたりする力があるラップを、AIで実現するシステムができるといいのかなと思って、チームで「AIラッパー」のプロジェクトを始めました。

Hide:去年開催したCFF(CREATIVITY FUTURE FORUM)のイベントでも、呂布カルマさんとAIが一緒にラップの曲を作ることもやっていましたよね。

横井:はい。まさか呂布さんに来ていただけるとは思ってもみませんでした(笑)。呂布さん自身も、AIとラップをするのは初めての経験だったそうです。

Hide:見ていて面白かったです!

横井:ありがとうございます。最初は「ちゃんとシステムが動くのか」と心配していたのですが、AIが生成する歌詞を呂布さんがピックアップして、「これだったら曲になるかもしれない」と言ってくださったんです。

最終的には呂布さん自身の声で、AIラッパーが作った歌詞をパフォーマンスをしてくださったんですけども、終わったあとに「これ、ラップになっているね」と一言言っていただけました。

Hide:呂布さんが歌詞を選んでいるのも面白かったですね。

横井:感慨深かったです。

◆2つのシステムを組み合わせてAIラッパーを構築

Misa:AIラッパーはどうやって作っていっているんですか?

横井:チームメンバーのなかにプログラムとラップの専門家がいまして、議論するなかでラップというものをAIに教えるときに、大きく2つに要素が分けられるなという話になったんですね。1つがフロー、リズムを司る部分。もう1つがライム、歌詞を司る部分です。これらが組み合わさって再現できたとき、AIでラップっぽい音声を合成できたなと言えるんじゃないかという仮説が生まれました。

リズムに関しては、人間が生み出したラップというものをAIに聴かせまくって、「どうすれば“ラップっぽい”と言えるのか」を明確に数値化・言語化するというところから始めました。語尾の上げ下げの仕方や単語の伸ばし方などをAIに教え、新聞原稿や硬い文章をラップっぽく聴こえるようにすることで、リズムの面ではある程度のところまで行っているのかなと思います。

Hide:なるほど。

横井:一方で、歌詞の方はいろんなワードのデータベースを準備するところから始めました。人がある言葉を伝えたいと思ったときに、キーワードとなる言葉に、AIが自動的に関連するワードを引っ張ってくるシステムを組んでみてはどうかという話になりました。

全然関係のない言葉も引っ張ってくるんですけども、歌詞っぽく聴こえるところを人間側が見つけて、AI側をチューニングすることで、人間の想像力が触発されるような歌詞が生まれます。歌詞に関してはまだ試行錯誤の段階です。その2つのシステムを組み合わせて、AIラップができています。

Hide:すごいですね。六法全書もAIがラップ化できそうです。

横井:そうなんですよ。覚えなきゃいけない歴史の単語、英単語、国家試験の問題とかを、耳から入れて体に沁み込ませて暗記するみたいな応用の仕方もあるのかなと感じています。

◆伝えようとする意志は創造のタネになる

Misa:横井さんにとって、「ワクワクする社会創造のタネ」は何でしょうか?

横井:AIラッパーのプロジェクトをやっているからかもしれないんですけども、タネになるのは“伝えようとする意志”なのかなと思っています。

Hide:うんうん。

横井:僕自身、伝えようとする力が弱いと思っているので、それを克服したいと思っているんですね。自分の言葉で伝えるとき、いくつものハードルがあると思うんです。「気を遣ってしまう」「相手を怒らせてしまうんじゃないかと思ってしまう」みたいなことって“人間らしさ”なのかもしれないんですけど、そこを飛び越えて「これを伝えたいんだ」って思いが表れるところに創造性というものが働くのかなと思っています。

Hide:なるほど。

横井:そもそもの話で、「オギャー」と産まれたときから「オギャー」という音で何かを伝えようとしていますよね。どんなハードルを越えてでも伝えたい思いっていうのが、何かの形に変わるきっかけになるような気がします。

Hide:よくわかります。いいですねえ。伝えるってことを軸に、AIラッパーを今後ゼミでもやっていくということですね。新しいプロジェクトがありましたら、またぜひお越しください。

横井:すごく嬉しいです!

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次回5月11日(水)は、タレントで日本フェンシング協会会長の武井壮さんがゲストに登場します。お楽しみに!

番組でお届けしたトークは音声サービス「AuDee」と「Spotify」でも配信中。ぜひチェックしてみてください!

<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:hhttps://www.interfm.co.jp/mandala

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