グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表・平手智行、イノベーションを起こすために重要なことは「成功への責任感と心理的安全性の両立」

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。6月11日(土)の放送は、前回に引き続き、グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表の平手智行(ひらて・ともゆき)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)平手智行さん、笹川友里


◆“人”が最も重要な資産

同社の取り組みについて、平手さんは「例えば、AI(人工知能)の画像診断によって診断の精度を高め、医療現場におけるがんの検体採取の手術を最小限にすることができる。また、スマートフォン(以下、スマホ)で完結する金融取引、スマホカメラで撮った画像認識による商品検索や関連店舗への誘導など、日常で馴染みのある内容が数多くある」と説明します。

さらには、「数理最適化された需要予測や、発注・仕入れ・物流をAIで支援することで、フードロスにつながる過剰発注を回避できる。一方で、必要な製品が必要な場所に、必要な分量だけ届く状態になるよう、お客様と取り組んでいる」と話します。

これらの取り組みから見てもわかるように、「クラウド利用はビジネス変革に向けたデータ活用への効率的な手段ですが、ゴールや目的ではない」と平手さん。ここ10年でクラウド利用が進み、セキュリティの向上やコスト削減は実現してきたものの、「クラウド移行だけでは、デジタル変革の触媒にはならない」と指摘。

あくまで“人”が組織の中心であって最も重要な資産であり、「人と人がつながることによって、生産的かつ創造的に働けるようなコラボレーションの高度化が必要。効率的にセキュリティとプライバシーを徹底的に担保しながら、データを活用して、業務の正確性や利用者の利便性、顧客体験の高度化を実現する。そのためには、組織全体にイノベーションを起こすカルチャーの導入も重要」と話します。

また、日本におけるIT人材の現状については「“デジタル人材の育成”そして“多様なスキルと文化を取り入れる組織の確立”。この両面が急務」とも。

◆上位者が部下よりも知識がある時代ではない

イノベーションを実現するうえで、とても重要なこととして平手さんが挙げたのは「リスキリング(Reskilling)」。これは、過去のIT技術での成功体験をいったん“アンラーン(Unlearn・学習棄却)”して新しいテクノロジーとやり方を学び直すことで、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を進めるうえでは、この“のリスキリング”が必要とされています。

昨今、ユーザーのニーズや必要とされるスキルが多様化しているため「深い専門性が必須。社内人材の育成はもちろんのこと、多様なスキルと文化を取り入れていく“カルチャーアド(Culture add)”な組織風土がとても重要だ」と言います。

そして、スキルの多様化と高い専門性が必要とされる今、「組織階層の上位者が部下よりも知識があるという時代ではなくなった」と平手さん。その現実を認めたうえで、「人材の多様化を進めていかないといけない。これこそが、日本の変革を加速する重要な施策や企業文化ということになる」と力を込めます。

◆イノベーティブな会社に必要とされる風土

長年、アメリカの大手IT企業で仕事をしてきた平手さんに、日本人の働き方について尋ねると、「組織風土における心理的安全性を認識する必要がある」と言います。

心理的安全性が低い場合、成功への責任感が強いのに、“失敗を許容しない風土”が生まれ、その状態のまま進めてしまうと、失敗することへの不安や恐怖心が芽生え、「過去に成功したことに立ち戻って、それを繰り返そうとしてしまう。新しい取り組みに対して失敗が許容されないと、誰もトライ(挑戦)しなくなる。価値・創造を生み出せる状態とは言えません」と平手さん。

対して、心理的安全性が高く、失敗を許容する風土の企業では、いろんなことに積極的に挑戦しようとする機運が生まれ、「失敗を無駄にせず“学び”として次に活かすことで、新しい発想や取り組みが次々と繰り返されてイノベーションが醸成される」と話します。

そうした違いを述べたうえで、「成果主義とあわせて心理的安全性を持ち合わせるか否かで、新しい発想や取り組みにトライできるイノベーティブ(革新的)な組織風土があるかどうか、そこに大きな違いが出る」と声を大にします。

逆に、失敗を許容する風土でありながら、成功への責任感が欠如していたら「ただの仲良しクラブになってしまう」とも補足。このケースは、「心理的安全性が誤解されている、間違えた運用としてよくある陥りやすい落とし穴」とし、総じて「成功への責任感と心理的安全性の両立にしっかり取り組む必要がある。ここがイノベーティブな会社になるうえで重要」とまとめました。

これに笹川は、「企業によって目指すビジョンや達成したいことは違うかもしれませんが、どの企業にとっても“本当に目指すべきこと”を教えていただいたような気がしました」と感心しきりでした。

次回6月18日(土)の放送は、freee株式会社取締役CTOの横路隆(よこじ・りゅう)さんをゲストに迎えてお届けします。同社の急成長の秘訣やバックオフィスの現状についてなど、貴重な話が聞けるかも!? どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2022年6月19日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

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