面倒な役所での手続きをスマホで完結!? 株式会社グラファーが「行政のデジタル化」を目指して見据える未来とは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。7月2日(土)の放送は、株式会社グラファー 代表取締役CEOの石井大地(いしい・だいち)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)石井大地さん、笹川友里


石井さんは、東京大学医学部に進学後、文学部に転じて卒業。2011年に第48回文藝賞を受賞し、小説家としてプロデビュー。複数社の起業・経営、スタートアップ企業での事業立ち上げなどに関わった後、株式会社リクルートホールディングス メディア&ソリューションSBUにて、事業戦略の策定及び国内外のテクノロジー企業への事業開発投資を手がけ、2017年に株式会社グラファーを創業しました。

◆異色の経歴、起業のいきさつは!?

東京大学医学部から文学部に転じ、小説家、投資家、起業……という異色な経歴がクローズアップされがちですが、「自分のなかではそんなに違和感はない」と石井さん。というのも、小さい頃から楽曲制作をしたり、小説を書いたりしていたため「“芸術関連の何かをしたい”という気持ちはずっとあった」と言います。

そんな思いがありながらも、医学部に進んだ理由について、「人が芸術を創るのも不思議なことだし、それを見て感動するのも不思議。芸術を創る側も鑑賞する側も“どのような脳の働きになっているんだろう”と気になって、その研究をしようと思った」と説明。しかし、やりたかった研究ができなさそうと感じた石井さんは、文学部に転部。「文章を書くのが得意だったので、小説家にチャレンジする価値があると思った」と振り返ります。

そして、小説家としてデビューを果たすも「多くの読者に届けるのは大変だなと痛感した」と回顧。すると今度は、当時から自分でサイトを作ったりもしていたことから、「Webサービスのほうが、いろいろな人に使ってもらえるのではないか」と思い立ち、Webの世界へと足を踏み入れていくことに。小説家になってからプログラミングの勉強を始め、代表取締役CEOとなった今もなお、自身でプログラムや開発、執筆を続けています。

◆行政の“デジタル化”に手応え

自身が立ち上げた株式会社グラファーの事業内容について、「行政のデジタル化を手がける会社。みなさんが役所で書類を出したり、手続きをしたりするものをスマートフォンで全部できるようなシステムを作っています」と説明。これまでにも、パソコンから手続きできるようなシステムを構築した企業はあったものの、「スマートフォンで簡単にできるものはなかったので、アプリのような感覚で便利に使うことができれば流行るんじゃないかと思った」と経緯を語ります。

また、「行政の仕組みをみて“こうすればもっと良くなる”というものがあるはずなんだけど、みんなずっと『役所は不便だ』と文句を言うばかりで“自分の力で変えてみよう”という方がなかなか出なかった。だから、一歩踏み出してみれば何かが変わるんじゃないかと思った」と言います。

デジタル化にあたり、オンラインから行政の手続きをするには本人確認が必要ですが、「インターネットで本人を確認するのはけっこう難しい」と石井さん。というのも、メールアドレスの入力だけでは、本人なのかどうかが判断できないから。

その解決策として、「マイナンバーカードを読み込ませたスマートフォンで手続きをおこなえば、それを“本人がおこなった”という証拠にもなるので、それで本人認証ができる。マイナンバーカードがあることで、それを使えばオンラインで手続き可能となったことを経て、この数年で普及しているというのはあると思います」と実感を語ります。

実際、グラファーが提供しているサービスを活用している自治体は、全国で100団体を超えています。大規模な地域だけでなく、人口の少ない町や村でもグラファーのサービスを導入しているところもあり、「非常にたくさんのお問合せをいただいているので、これからもかなりの勢いで(導入する自治体が)増えていくのでは。一度使うと戻れない(笑)。実際、オンラインでの申請数はものすごく伸びています」と手応えを語りました。

◆DX化の推進を阻む課題とは?

都市部だけでなく、地方の自治体でもDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めていくために必要なこととして、石井さんは「必要に迫られることがすごく重要」と言います。

例えば、都市部は現役世代が多いためオンライン申請を導入すると多くの方に利用されますが、高齢者が多いような地域となると「高齢者の方をサポートするために“デジタルがないとできない”という状況が重要」と説明。

ただし、スマートフォンを使っておらず、インターネット環境もない高齢者にも、それらを使わせようと仕向けるのではなく、「高齢者の方にタブレットを配って、ビデオ通話で体調を確認するなどの取り組みもある。そういった形でデジタルを使い始めてもらって、よりニーズが出てきたところに我々のソリューションがうまくハマっていけば、そこに導入するきっかけがあるのかなと思う」と話します。

また、行政のデジタル化を進めるという仕事柄、行政の方々と話し合う機会が多いという石井さん。「政府も自治体もDX化に強い関心を寄せていて、“スピード感を持って進めていかなければならない”という危機感はかなり強いと思う。やりたいと思うことについては、かなり一致しているように感じます」と語ります。

最後に、石井さんが思い描く“少し先の未来”について尋ねると、「そもそも手続きは基本的にいらない作業。手続きをしなければならないのは、役所が住民の情報を理解して整理できていないから」と指摘。

例えば、子どもが生まれると児童手当が給付されますが、「そんなことは、子どもが生まれた時点で分かっていることであって、いちいち手続きをしないともらえないというのは、本来おかしいこと。なので、手続きが不要になるぐらいのレベルまで便利にしていきたい」と力を込めます。

また、行政ではさまざまな支援策を講じているものの、「それらが本当に困っている人にちゃんと届いているのか?」と疑問を投げかけます。「支援を受けられるはずの方が“手続きが面倒くさい”“複雑すぎてできない”ということで、もらえるはずのお金をもらえない方も実際にいる。そうした人たちにも適切にサービスを届けられるようにしていかなければならない。どれだけ制度があっても、(必要とする人に)届かなければ意味がない」と話しました。

次回7月9日(土)の放送は、ヤマハ株式会社代表執行役社長・中田卓也さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに! 現在の音楽業界の状況についてやデジタル技術を活かしたヤマハの新サービスについてなど、貴重な話が聴けるかも!? どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2022年7月10日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

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