「最低賃金」引き上げ額をめぐる協議難航…「労働者の賃金」への影響は? 専門家がポイントを解説!

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの朝の情報番組「ONE MORNING」(毎週月曜〜金曜 06:00〜09:00)。7月27日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「どうなる今年度の最低賃金、議論が大詰め」。学習院大学 非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです


2022年度の「最低賃金(時給)」の引き上げ額をめぐり、厚生労働省の審議会で議論が大詰めを迎えても、なお難航しています。25日(月)に引き上げ幅の目安が示されるとみられていましたが、まとまらず、結論を持ち越しました。

吉田:そもそも、「最低賃金」とはどういうものなのか、教えていただけますでしょうか?

塚越:雇用主が労働者に支払わなければならない最低限の時給です。毎年、夏に労働者の代表と雇用主の代表、そして中立的な立場の公益委員で構成する審議会で話し合い、最低賃金の目安を提示します。これを参考に都道府県ごとに審議会が具体的な額を決めて、10月頃から適用します。

最低賃金は都道府県ごとや、産業別に設定され、昨年の全国平均は時給930円でした。地域の労働者の生計費、暮らし向きや企業の支払い能力などを勘案して決定されます。東京都の最低賃金は1,040円(令和3年10月1日より)と都道県のなかで一番高く、場所によって違いはありますが、全国平均額は930円です。

昨年度は、引き上げ額が全国平均で28円と過去最大となるなど、最近では大幅な引き上げとなる年が増えてきています。国民の実質賃金が下がっているなかで、政府も「全国加重平均」(※全国の最低賃金を都道府県ごとの労働者数で重み付けして平均した額のこと)で時給1,000円を達成する目標を掲げています。ただし、25日(月)の議論では決着がつかず、金額は持ち越しとなりました。

吉田:最低賃金の引き上げ幅の目安が引き上げられると、それに合わせて労働者の賃金は上がるものなのでしょうか?

塚越:朝日新聞が紹介している、東京大学教授で労働経済学が専門の川口大司氏の研究によれば、最低賃金より15%程度高い賃金で働く人には波及効果があり、賃金が上がりますが、それ以上の賃金の人には有意な結果は得られなかったそうです。とはいえ、格差是正という意味では効果があるとも言えます。

ユージ:物価高に歯止めがかからず、賃上げが必要な状況ですが、最低賃金は大幅に引き上げてはいけないのでしょうか?

塚越:大幅に最低賃金を上げれば、企業はそれに耐えられず人手を減らします。つまり、雇用の喪失を招く恐れがあるので、闇雲に最低賃金を上げればいいというわけではないのです。

実際、先ほどの川口教授が調べた2002年〜2017年までの調査によると、最低賃金が10%上がると、賃金が(それほど)高くない中卒や高卒で働く19〜24歳の男性の就業率が9ポイント減りました。つまり、仕事がなくなってしまうということです。

こうしたことを回避するためには、政府による中小企業支援や、職を失った人に(向けた)新しい職へのトレーニング機会を増やすといった対応も必要です。他にも、例えばフランスでは平均賃金が上がると最低賃金も自動的に上がる仕組みがあります。正規と非正規の労働格差が指摘されるなかで、こうした政策も取り入れるかどうかは非常に参考になります。

ユージ:今年度の最低賃金をめぐる議論。大詰めを迎えていますが、どのような点に注目されていますか?

塚越:先日の審議会で決着がつかなかったのは、昨年度の引き上げ額・28円を上回るかどうかについてと、最近の物価上昇をどう評価するかという議論が続いている状態です。

格差是正や人々の労働意欲向上の意味でも、最低賃金引き上げは重要になってくると思います。日本商工会議所の調査でも、「中小企業でも最低賃金を引き上げるべき」と言っている企業は41.7%と、昨年より13.6ポイント上昇しています。中小企業の方からしても、賃金上昇はやむを得ないというところです。

特に最近の物価上昇を踏まえれば、当然といえば当然だと思います。いずれにせよ、政府がおこなう何かしらのテコ入れを含めて、賃金を上げることで好循環を作ることが必要ですが、ベースでいうと最終的には日本全体の生産性を上げて、国力をアップすることが重要なので、これ以外の産業政策も含めて、いろいろ考えていく必要があると思います。

<今日のユジコメ>
2022年度の最低賃金はこれから明らかになってくると思うのですが、少し気になって僕が初めてアルバイトをした15歳のときの最低賃金を調べてみました。

今から20年前、埼玉県の学校に通って、埼玉県のコンビニで働いていたときの最低賃金が678円でした。そこから頑張って昇給すると時給がプラス10円。当時はめちゃくちゃ嬉しかったですね。そして、今の埼玉県の最低賃金は956円。もちろん時代が変わって物価の上昇とかもありますが、最低賃金の見直しが進んでいるなと思いました。ただ、企業にとっては人件費の負担増加になるので、うまくバランスが取れたらいいなと思いました。

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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイトhttps://www.tfm.co.jp/one/

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