村上春樹「ショーン・コネリーのスコットランド訛りの独特の深い声、やはりチャーミングですよね」ラジオ番組「村上RADIO」で語る

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの音楽番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。8月28日(日)の放送は「村上RADIO~いかがなものか、カバー~」と題して“カバー曲”特集をお届けしました。

大の“カバー”フリークの村上DJが、素敵なカバーから「うーん、これはどうかなあ?」と首をひねってしまうようなカバーまで、興味深いカバーを村上さんがご自身のレコード棚から厳選して紹介。この記事では中盤3曲と“収録中のつぶやき”について話した概要を紹介します。


◆Carole King「Oh, Neil」
以前、この番組でニール・セダカとキャロル・キングがブルックリンの同じ高校に通っていて、男女交際していたという話をしたことがあると思います。それでニール・セダカは後日、キャロルをモデルにして「おお!キャロル」という曲を書いて歌い、それが大ヒットします。1959年に全米9位を記録しています。

その頃、キャロルは作詞家のジェリー・ゴフィンと結婚していたんですが、ゴフィンはその歌詞を少し書き換えて、同じメロディーでアンサーソングをこしらえます。それが「おお!ニール」です。今聴くとかなりイージーというか、超便乗ものというか、キャロル・キングさんとしてはあまり蒸し返してほしくない話題ではないかと思いますが、この際ですから、しっかり蒸し返しちゃいますね。
若きキャロル・キングが歌います。「おお!ニール」

◆Sean Connery「In My Life」
これは先日の「ラバー・ソウル」のカバー特集でかけようかと思ったんですが、時間の関係でかからなかったので、こちらにもってきました。これは「いかがなものか」というような種類のものじゃなくて、なかなか素敵な雰囲気を持っているんですが、なにしろショーン・コネリーが歌う……というか朗読するという、かなり特殊な趣向なので、潜り込ませてもらいました。プロデュースはジョージ・マーティンです。
それにしても、ショーン・コネリーのスコットランド訛りの独特の深い声、やはりチャーミングですよね。

◆The Beach Boys「Here Comes The Night」
これは、本当は「セルフ・カバー」特集のときにかけようと思っていたんですが、時間の関係でかけきれなかったんで、今日かけます。ビーチボーイズが1967年のアルバム『ワイルド・ハニー』で歌っていた「Here Comes the Night」を、1979年の『L.A.(ライト・アルバム)』の中で、自身がディスコ調にアレンジして歌っています。これは当時、ビーチボーイズ・ファンの間では死ぬほど評判が悪かったですね。ビーチボーイズの暗黒時代もここに極まれり……という感じで。ブライアンはこの当時、文字通り廃人に近い状態に陥っていて、このアルバム制作にはほとんど関与していません。
でも今、あらためて聴くと、「決して褒められたものではないけど、ひとつの時代の記録としては、まああってもいいかも」みたいな比較的寛容な気持ちも生まれたりします。当時は「なんじゃ、これ?」という感じでしたけどね。

演奏時間が10分を超える長さなので、最初と最後のダンス・ミュージック部分をカットして、コーラスの入った部分だけをおかけします。
しかしブライアンさん、このヴァージョンを聴いて、いったいどう思ったんでしょう?「俺のいないうちに、ひでえことするよなあ」とか思ったかもね。

<収録中のつぶやき>
この当時、ブライアンは廃人同様だから作曲できなくて、LPに入れる曲が足りなかった。しょうがなくてディスコ調にしてアルバムに入れたんです。契約でアルバムを出さなくちゃいけないからね。そういう、いろいろかわいそうな事情があった。ブライアンが、こんなふうに立ち直るなんて誰も思わなかったんだよね。

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<番組概要>
番組名:村上RADIO ~いかがなものか、カバー~
放送日時:8月28日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

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