村上春樹「まったくすごいことを言いますよね」プーチンの言葉から戦争を考える

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。1月29日(日)の放送は「村上RADIO ~1980年代、ヒットソング・オンパレード~」をオンエア。

今回の「村上RADIO」は番組史上初めて、リスナーのみなさまからのオールリクエストをオンエア。マイケル・ジャクソン、シンディ・ローパー、スティーヴィー・ワンダー、ポリス、小泉今日子など、誰もが思わず口ずさんでしまうような、80年代を彩ったヒット曲のオンパレードでお送りしました。
この記事では、クロージング曲と今日の言葉について語ったパートの内容をお届けします。


<クロージング>
Miles Davis「Time After Time」

マイルズ・デイヴィスがシンディ・ローパーのヒット曲「Time After Time」を演奏します。かなり意外な取り合わせで、当時評判になりました。今聴くと、なんか懐かしくて素敵です。80年代ヒットソング特集、たくさんたくさんリクエストをいただきましたが、ほんの少ししかかけられませんでした。ごめんなさい。



今日の言葉はロシアのプーチン大統領の言葉です。「ニューヨーク・タイムズ」の記事によれば、彼はウクライナの戦争で息子が戦死したある母親に、面と向かってこう言ったそうです。

このロシアでは年間、何万人もの人がアルコール濫用や交通事故で命を落としています。あなたの息子さんは、ウォッカの飲み過ぎなんかで死ぬより、ずっと意味ある死に方をしたのです。

うーん、まったくすごいことを言いますよね。
でもこういうのって、巧妙なロジックのすり替えなんです。だってウォッカや自動車は本来、人を殺すために作られたものじゃありません。あくまで付随的な、アクシデンタルな結果として、不幸にして人が亡くなるという結果が生まれるわけです。
でも戦争はそうじゃない。戦争は基本的に、人を殺傷することを目的として行われる行為です。そういう、本来は同じレベルに置くべきではない事柄を並べて比較することで、ものごとをねじ曲げて正当化していく。これは何もロシアだけではなく、戦争に携わる国の指導者がしばしばおこなうごまかしです。
そして彼ら自身は決して戦場には行きません。みなさんもそういう連中に言いくるめられないよう、じゅうぶん気をつけてくださいね。
それではまた、来月。

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聴取期限:2023年2月6日(月)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:村上RADIO ~1980年代、ヒットソング・オンパレード~
放送日時:1月29日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

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