村上春樹「まさにフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』の時代の音楽ですね」という1920年代の音楽は?

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。3月26日(日)の放送は「村上RADIO ~今夜は、落ち穂拾い~」をオンエアしました。今回のテーマは「今夜は、落ち穂拾い」。「落ち穂拾い」といえば、ミレーの名画が思い浮かびますが、村上DJは、これまで放送した番組の編集で、時間の関係でこぼれ落ちた曲を丁寧に拾い上げ、おすすめの“落穂曲”にまつわるエピソードを披露しました。この記事では、前半3曲を紹介した内容をお届けします。



◆Bette Midler「Ukulele Lady」
次は、2022年6月放送分「村上の世間話2」からの落穂曲です。
この回は2曲こぼれちゃったんですね。世間話をすると、ついつい話が長くなって、音楽があまりかかりません。すみません。

では、落ちこぼれの2曲を続けて聴いてください。
ベット・ミドラーが歌います。「ウクレレ・レイディ」。これはリチャード・A・ホワイティングが1925年に作ったとても古い曲です。当時の人気楽団、ポール・ホワイトマン楽団が取り上げてレコーディングしています。まさにフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』の時代の音楽ですよね。1920年代のアメリカではハワイアン音楽が大流行したんです。芸達者なベット・ミドラーがノスタルジックに、いかにも楽しそうに歌っています。

◆The Seeds「Pushin' Too Hard」
The Seedsが歌います。Pushin' Too Hard。The Seeds、1965年にカリフォルニアで結成されたサイケデリック・ガレージ・バンドです。サイケデリック・ガレージ・バンドとは何か、要するに近所のガキが集まって、どこかのガレージで適当にこしらえた曲、みたいな感じのものです。粗っぽくてかなり乱暴なんだけど、ナマの生命感みたいなものがあって、そういうところが若者たちの心を惹きつけます。この曲、チャート的にはとくにヒットもしなかったんですが、なんか耳に残っちゃいます。最近ではパンク・ロックの先駆けみたいなラインで、再評価されているみたいです。たまにはこういう音楽もかけましょう。

◆Woody Guthrie「Jarama Valley」
2022年3月18日に「戦争をやめさせるための音楽」という特別番組をやったときの落ちこぼれ曲です。
ウディ・ガスリーの歌う「Jarama Valley」“ハラマ峡谷”です。
1936年から39年にかけて、スペインでは市民軍とファシスト軍の激しい国内戦争があったのですが、アメリカでリンカーン旅団という反ファシストの義勇軍が結成され、市民軍を支援するためにスペインに渡りました。ヘミングウェイの小説『誰がために鐘は鳴る』の背景となった熾烈(しれつ)な戦争です。

ハラマ峡谷でこの義勇軍にとっての最初の本格的な戦闘がおこなわれ、多くの義勇兵が命を落としました。ウディ・ガスリーは彼らの勇気を称えるためにこの曲をつくりました。

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聴取期限:2023年4月3日(月)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:村上RADIO ~今夜は、落ち穂拾い~
放送日時:3月26日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

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