北朝鮮、中国、ロシア…日本周辺の安全保障環境が戦後最も厳しい今「日本の防衛」について知ろう
2023年09月11日 21時30分TOKYO FM+
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。9月10日(日)の放送では、防衛省 大臣官房 広報課 防衛白書事務室長の藤高崇(ふじたか・しゅう)さんを迎えて、「まるわかり!日本の防衛」をテーマに話を伺いました。

◆「自衛隊」がお金と労力をかける理由
自衛隊の使命や役割について、藤高さんは、「自衛隊は主に、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の3つの組織で構成されていて、その第一の使命は“日本の平和と独立を維持すること”です。国の独立が守られているから、私たちは政治や経済、社会のあり方を他の誰かに強制されず、私たち自身で決めることができています。また、平和と安全は私たちが安心して生活し、繁栄を続けていくうえでなくてはならないものです」と説明。
日本は基本的に平和な国ですが、世界に目を向けると、国際社会では紛争やテロなどさまざまな問題が発生し続けており、日本だけが絶対に攻撃されないとは言い切れません。そのため、日本の平和や独立が脅かされないよう、日本にとって望ましい国際環境を作るための外交が重要になっていきます。
外交を効果的におこなうためには防衛力が重要で、ほかの国から“十分な力を持たない相手”と思われてしまうと、外交するうえで不利になってしまうため、「自国を守り抜く意思と能力があることを周りに示し、日本から何かを奪うのは難しいとほかの国に思わせること、さらに、それでもほかの国に攻め込まれるような場合には、確実に守り切ることができるようにしておくことが必要」と語ります。
つまり、自衛隊が多くのお金と労力をかけて態勢を強化しているのは、ほかの国と戦争をしたいからではなく「自衛隊が万全の態勢を整えていることを示すことで、ほかの国に“日本とは戦争をしたくない”と思わせ、戦争が起きないようにするため。自衛隊にとっての一番の勝利は“戦わずして勝つこと”なんです」と声を大にします。
また、最近の日本の周りの状況に目を向けてみると、「北朝鮮は自身の政治体制を維持するために、核兵器や弾道ミサイルなどの開発や増強に取り組んでいて、すでにその能力は日本を攻撃することができるとみられています。また中国は、今世紀半ばまでに“世界一流の軍隊”を築き上げることを目標に、急速に軍事力を強化しつつ、東シナ海・南シナ海において、力による一方的な現状変更やその試みを推し進めています」と解説。
さらに、ロシアについても「軍の装備を新しくして、日本の周りも含めて活発な活動を続けており、日本周辺における安全保障環境は、戦後最も厳しい状況にあると言えます」と案じます。
なお、政府広報室が昨年おこなった世論調査では、「自衛隊に関心がある」と答えた人は、60代、70歳以上が多く、全体の8割近くを占めた一方で、「関心がない」と答えた人の割合は、18歳~29歳が最も多く約半数を占め、30代、40代も多い傾向でした。
また「関心がない」理由として最も多かったのは、「自衛隊についてよくわからないから」、次に多かったのが「自分の生活に関係ないから」でした。こうした現状を受けて、防衛省は、日本の防衛について分かりやすく解説している冊子「防衛白書」を2021年より毎年刊行しています。
◆「新しい戦い方」への対応が急務
歴史を振り返ると、これまでの戦い方は航空機や軍艦によるものでしたが、「近年は、これに加えて大規模なミサイル攻撃や情報戦を含むハイブリッド戦が目立っています」と藤高さん。
相手にとって不利になる偽の情報を流して優位に立とうとしたり、無人機による攻撃や核兵器による威嚇なども出てきているほか、「宇宙領域、サイバー領域、電磁波領域における世界の動きも活発です。こうしたものを組み合わせた“新しい戦い方”に対応できるかどうかが、今後の防衛力を構築するうえで大きな課題となっています」と話します。
そんな現状のなかで、日本が新たに進めている取り組みについては、「日本を防衛するために、自衛隊では『宇宙作戦群』『自衛隊サイバー防衛隊』『電子作戦隊』という専門部隊を、2021年度に新たに設置しました」と、さらなる防衛能力の強化に努めていると言います。
宇宙作戦群では「宇宙空間の安定的な利用を確保するため、JAXA(宇宙航空研究開発機構)などの関係機関や、アメリカなどとも連携しながら宇宙領域の把握強化に努めています。自衛隊では、これに加えて、人工衛星で撮影した衛星画像を活用した情報収集、自衛隊の情報通信に使用するための通信衛星の打ち上げ、衛星を活用した部隊の位置の把握など、宇宙領域を活用した各種能力の向上を進めています」と藤高さん。
また、自衛隊サイバー防衛隊では、24時間体制で自らの通信ネットワークの監視やサイバー攻撃への対処をおこなっており、「関係省庁やアメリカなどの国とも連携しながら、サイバー領域における能力のさらなる強化を進めています」と解説。実際に国家が関与する高度なサイバー攻撃は頻発しており、その脅威が増大しています。
そして、電子作戦隊については、「電磁波は防衛の分野において、通信機器やレーダーなどに数多く使われています。つまり、現代の作戦では電磁波が使えなくなると、著しく不利になってしまいます。そのため、日本では普段からほかの国の電磁波に関する情報を収集・分析し、有事のときは相手の電磁波を無力化する装置などを全国の専門部隊に配備し、能力強化に努めています」と話します。
改めて藤高さんは、「自衛隊は日本の独立と平和、安全を守るために日々活動しています。今日、触れることのできなかったAI(人工知能)などの先端技術を活かした防衛なども『まるわかり!日本の防衛~はじめての防衛白書 ~』に記載しています。ぜひご覧になっていただき、日本の防衛について理解を深めていただければと思います」と呼びかけました。
今回の話で、足立が特に印象に残った言葉に「自衛隊にとっての一番の勝利は“戦わずして勝つこと”」を挙げ、「自衛隊が万全の態勢を整えていることを示すことで、ほかの国に“日本とは戦争をしたくない”と思わせることで、戦争が起きないように防衛していることをしっかり学べました」と話します。
一方の青木は、自衛隊についてよく知らない若者が多い現状に着目。「特に若い世代の方々も、ぜひ『防衛白書』を手に取っていただきたい。まず知ることから始めていただきたいですし、防衛省広報アドバイザーの1人としても情報発信していきたい」と話していました。

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9月10日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年9月18日(月・祝) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/

(左から)青木源太、藤高崇さん、足立梨花
◆「自衛隊」がお金と労力をかける理由
自衛隊の使命や役割について、藤高さんは、「自衛隊は主に、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の3つの組織で構成されていて、その第一の使命は“日本の平和と独立を維持すること”です。国の独立が守られているから、私たちは政治や経済、社会のあり方を他の誰かに強制されず、私たち自身で決めることができています。また、平和と安全は私たちが安心して生活し、繁栄を続けていくうえでなくてはならないものです」と説明。
日本は基本的に平和な国ですが、世界に目を向けると、国際社会では紛争やテロなどさまざまな問題が発生し続けており、日本だけが絶対に攻撃されないとは言い切れません。そのため、日本の平和や独立が脅かされないよう、日本にとって望ましい国際環境を作るための外交が重要になっていきます。
外交を効果的におこなうためには防衛力が重要で、ほかの国から“十分な力を持たない相手”と思われてしまうと、外交するうえで不利になってしまうため、「自国を守り抜く意思と能力があることを周りに示し、日本から何かを奪うのは難しいとほかの国に思わせること、さらに、それでもほかの国に攻め込まれるような場合には、確実に守り切ることができるようにしておくことが必要」と語ります。
つまり、自衛隊が多くのお金と労力をかけて態勢を強化しているのは、ほかの国と戦争をしたいからではなく「自衛隊が万全の態勢を整えていることを示すことで、ほかの国に“日本とは戦争をしたくない”と思わせ、戦争が起きないようにするため。自衛隊にとっての一番の勝利は“戦わずして勝つこと”なんです」と声を大にします。
また、最近の日本の周りの状況に目を向けてみると、「北朝鮮は自身の政治体制を維持するために、核兵器や弾道ミサイルなどの開発や増強に取り組んでいて、すでにその能力は日本を攻撃することができるとみられています。また中国は、今世紀半ばまでに“世界一流の軍隊”を築き上げることを目標に、急速に軍事力を強化しつつ、東シナ海・南シナ海において、力による一方的な現状変更やその試みを推し進めています」と解説。
さらに、ロシアについても「軍の装備を新しくして、日本の周りも含めて活発な活動を続けており、日本周辺における安全保障環境は、戦後最も厳しい状況にあると言えます」と案じます。
なお、政府広報室が昨年おこなった世論調査では、「自衛隊に関心がある」と答えた人は、60代、70歳以上が多く、全体の8割近くを占めた一方で、「関心がない」と答えた人の割合は、18歳~29歳が最も多く約半数を占め、30代、40代も多い傾向でした。
また「関心がない」理由として最も多かったのは、「自衛隊についてよくわからないから」、次に多かったのが「自分の生活に関係ないから」でした。こうした現状を受けて、防衛省は、日本の防衛について分かりやすく解説している冊子「防衛白書」を2021年より毎年刊行しています。
◆「新しい戦い方」への対応が急務
歴史を振り返ると、これまでの戦い方は航空機や軍艦によるものでしたが、「近年は、これに加えて大規模なミサイル攻撃や情報戦を含むハイブリッド戦が目立っています」と藤高さん。
相手にとって不利になる偽の情報を流して優位に立とうとしたり、無人機による攻撃や核兵器による威嚇なども出てきているほか、「宇宙領域、サイバー領域、電磁波領域における世界の動きも活発です。こうしたものを組み合わせた“新しい戦い方”に対応できるかどうかが、今後の防衛力を構築するうえで大きな課題となっています」と話します。
そんな現状のなかで、日本が新たに進めている取り組みについては、「日本を防衛するために、自衛隊では『宇宙作戦群』『自衛隊サイバー防衛隊』『電子作戦隊』という専門部隊を、2021年度に新たに設置しました」と、さらなる防衛能力の強化に努めていると言います。
宇宙作戦群では「宇宙空間の安定的な利用を確保するため、JAXA(宇宙航空研究開発機構)などの関係機関や、アメリカなどとも連携しながら宇宙領域の把握強化に努めています。自衛隊では、これに加えて、人工衛星で撮影した衛星画像を活用した情報収集、自衛隊の情報通信に使用するための通信衛星の打ち上げ、衛星を活用した部隊の位置の把握など、宇宙領域を活用した各種能力の向上を進めています」と藤高さん。
また、自衛隊サイバー防衛隊では、24時間体制で自らの通信ネットワークの監視やサイバー攻撃への対処をおこなっており、「関係省庁やアメリカなどの国とも連携しながら、サイバー領域における能力のさらなる強化を進めています」と解説。実際に国家が関与する高度なサイバー攻撃は頻発しており、その脅威が増大しています。
そして、電子作戦隊については、「電磁波は防衛の分野において、通信機器やレーダーなどに数多く使われています。つまり、現代の作戦では電磁波が使えなくなると、著しく不利になってしまいます。そのため、日本では普段からほかの国の電磁波に関する情報を収集・分析し、有事のときは相手の電磁波を無力化する装置などを全国の専門部隊に配備し、能力強化に努めています」と話します。
改めて藤高さんは、「自衛隊は日本の独立と平和、安全を守るために日々活動しています。今日、触れることのできなかったAI(人工知能)などの先端技術を活かした防衛なども『まるわかり!日本の防衛~はじめての防衛白書 ~』に記載しています。ぜひご覧になっていただき、日本の防衛について理解を深めていただければと思います」と呼びかけました。
今回の話で、足立が特に印象に残った言葉に「自衛隊にとっての一番の勝利は“戦わずして勝つこと”」を挙げ、「自衛隊が万全の態勢を整えていることを示すことで、ほかの国に“日本とは戦争をしたくない”と思わせることで、戦争が起きないように防衛していることをしっかり学べました」と話します。
一方の青木は、自衛隊についてよく知らない若者が多い現状に着目。「特に若い世代の方々も、ぜひ『防衛白書』を手に取っていただきたい。まず知ることから始めていただきたいですし、防衛省広報アドバイザーの1人としても情報発信していきたい」と話していました。

(左から)青木源太、足立梨花
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9月10日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年9月18日(月・祝) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/
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