【漢字トリビア】「企」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「企」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「企」の成り立ち物語

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今日の漢字は「企てる」。「企画」「企業」の「企(キ)」、「企む」という訓読みもある漢字です。
(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年5月18日(土)放送より)



五月も半ばを過ぎて、そろそろ新入社員にも、
フレッシュな視点での企画書を求められる頃。
でも、なぜ「計画をたてる」という前向きな意味をもつこの漢字に、
「止める」という字が使われているのでしょうか。

「企てる」「企む」という字は象形文字。
「人」の形をかたどった「ひとやね」と呼ばれるかんむりの下に、
「止まる」という字を書きます。
「ひとやね」は人を横から見た形を表す部首。
「止まる」という字は人の足跡をかたどった文字で、
足跡は足に力を入れて止まってつけることから、
「とまる・とどまる・やめる」という意味をもつようになりました。
そんなふたつの文字を使った「企てる」という漢字が表しているのは、
人がかかとを上げてつま先で立ち、遠くを見ようとする姿。
背伸びをし、遠くを望もうとするとき、人は、何かを思い立っています。
そこから「企てる」という字は、
何かをたくらみ、計画することを意味する漢字になったのです。

さて、お前の考えを、聞かせてもらおうか。
長老に意見を求められた若者は、
青年らしい率直さで、憶することなく未来の夢を語ります。
長老は、まっすぐな想いを頼もしく受け止めながら、
彼に向って、やさしく諭します。
大きな野望を果たすなら、まず、自分の足元を固めることだ。
世界を見渡すために立つ土台がぐらついていてはいけない。
しかも、たくましく鍛えられた足でなければ、遠くまで歩けないのだから。

今日の漢字は「企てる」「企む」、「企業」「企画」の「企(キ)」。
つま先だって遠くを見ようとしている人の姿を描いた文字です。
人がこうした姿勢をとるのは、他に対して何かを企てるとき。
そこから「くわだてる・たくらむ・計画する」という意味をもつ漢字になりました。

ではここで、もう一度「企てる」という字を感じてみてください。

老子の第二十四章に、こんな一節があります。
「企つ者は立たず、跨ぐ者は行かず」。
「企つ」には、「企てる」「企画する」の「企」が使われています。
これを日本語に訳すと、こうなります。
「背伸びをする人は、長くは立っていられない。
 大股で歩く人は、遠くまで行けない」。
自分にとって不自然なこと、
無理をしていることは、長続きしないもの。
いつだって自分らしく立ち、自分の歩幅で地道に歩く。
それが、計画を確かに全うするための秘訣なのです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら・・・
ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
     『ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 老子・荘子』(角川文庫)


5月25日(土)の放送では「柳」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


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聴取期限 2019年5月26日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜8:20〜8:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/

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