中国動画市場は「酸欠状態」… 動画クリエイター・山下智博が語る“これから”

中国動画市場は「酸欠状態」… 動画クリエイター・山下智博が語る“これから”

中国動画市場は「酸欠状態」… 動画クリエイター・山下智博が語る“これから”

放送作家の高須光聖が、世の中をもっと面白くするためにゲストと空想し、勝手に企画を提案していくTOKYO FMの番組「空想メディア」。5月19日(日)の放送には、中国で活躍する日本人動画クリエイター・山下智博さんが登場しました。


山下智博さん、高須光聖



中国の動画サイト「ビリビリ動画」やYouTubeで、日本文化を中国語で紹介する動画を配信している山下さん。肌で感じた中国のYouTuberの現状と、今後のビジョンを語りました。

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◆動画編集は日本のバラエティ感覚

高須:日本のYouTuberにもいろんな人がいますけど、山下くんから見てどうですか? 編集の仕方も違うと思うんだよね。

山下:もちろん中国の流行りもありますけど、僕の動画はそれほど中国っぽくなくて。手間をかけて、ワイプでツッコミを入れたり、細かいことをするのは、日本のバラエティの影響ですね。

高須:好きなんやね、日本のバラエティが。何を観てたの?

山下:バラエティを一番よく観ていたのは中学校時代で、そのころは「笑う犬の生活」とか「電波少年」とか「あいのり」とか。僕は北海道出身なので「水曜どうでしょう」なども。

高須:全然、俺の番組が入ってへん(笑)。

山下:もちろん「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」も観てました(笑)。だから(編集に)日本的な間が出るんです。

高須:そうそう。山下くんは間を活かしている感じがする。

山下:そうして物語を構成していくという意識はすごくあります。YouTubeは、日本も中国も同じような状況で、何も考えないで笑える動画は流行るし、みんながそういう動画を観たいと思っている。でも、それはすごく怖いことだと思っています。

高須:うんうん。

山下:結局ネット動画は、短い時間で、単純なロジックによってAはBであるという答えを出す。それは、観る人の考える力、思考能力を奪っているんじゃないかと思うんです。

高須:すっごいわかる! だから失敗が減るよね。さんざん失敗して痛い目にあって覚えること、ハッと気づくこと、気づかないまでも体に焼き付くものが失われていってる。

山下:もう少し、考えるトレーニングをしてほしいと思ってます。

高須:僕は、エモーショナルのものにしたいのね、動画も。笑いの画から、それを嗅ぎとる人もいれば、嗅ぎ取らない人もいるんだけど、忍ばせていないと伝わらないからね。

◆ネット動画は「日常食」

山下:最近は、中国にも動画を作る人が増えてきて、酸欠状態です。

高須:(笑)。

山下:そこで“one of them”になってしまうと、僕はやる意味がないと思ってしまうんです。最近は中国人留学生で、日本を面白く伝える人たちが……。

高須:けっこう増えた?

山下:ここ2、3年ですごく。日本で中国語を勉強している日本人が「ビリビリ動画」に投稿したり、VTuberが生放送をやったりもしています。でも、みんなと同じことをしても面白くないので、僕は次のことをやらなきゃなぁと。

高須:何をするの?

山下:もっと日中の文化交流というか、若い人同士のコミュニティとか。ネット動画制作は作品制作とまったくプロセスが違うんです。ネット動画はひとつひとつが日常食。毎日ご飯は食べるけど、先週の木曜日に何を食べたかは覚えていない。そういうところまで来ていて。

高須:うんうん。

山下:そういう(日常食を作る)シェフがすごく多いので、中国のインターネットを見渡したとき、ごっついディナーを作ったほうがいいんじゃないかなと。

高須:迫力のあるディナーね。

山下:そうじゃないとインパクトを与えられないですからね。あと中国には日本人が自由に出入りできて、中国進出の登竜門になるようなメディアがないので、中国で日本のサービス、商品、タレントを売り込みたい人が僕に相談に来ます。

高須:中国に進出して、えらい目に合って帰ってきた人の話もバンバン聞くから、中途半端なプロモーションをするなら、山下くんのところに行ったほうがええんちゃう? と思うもんね。

山下:なので、今よりもうちょっとパブリックなチャンネル作りの実験は、去年からやっています。そこに(日本の)バラエティ番組のような器があれば、一気にいろんなものが解決するんじゃないかなと。

高須:なるほど、なるほど。

山下:YouTubeはバラエティ番組の1つのコーナーを切りとって流す感覚ですよね。

高須:近いね。

山下:だから、自分の好きなチャンネルをフォローするのが正しい在り方なんですけど、僕はいろいろ試したい。今年から、毎週木曜にプロフェッショナルコンテンツ(PGC)というのを、日本の映像制作チームと協力して作っています。

高須:そのお金はどこから出てるの?

山下:うちの会社(株式会社ぬるぬる)から出したり、スポンサーが見つかれば単発で。日本の制作チームはいろんな引き出しを持っているので、先走り的に。

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番組では、「1年経っても色褪せないコンテンツを、愛情かけて作りたい。たくさんの人に観てもらいながら、自分のメッセージをちゃんと伝えたい」と語った山下さん。中国での活躍がますます楽しみです。

<番組情報>
タイトル:空想メディア
放送日時:毎週日曜 25:00〜25:29
パーソナリティ:高須光聖
番組HP:https://www.facebook.com/QUUSOOMEDIA/

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