【漢字トリビア】「統」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「統」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「統」の成り立ち物語

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「統一する」「統計」の「統」。「統(す)べる」という訓読みもある漢字です。全世界が注目してきたアメリカ大統領選もいよいよ終盤へ。十一月八日の本選挙を経て、第四十五代大統領が決まります。今回は「統」に込められた物語を紹介します。


「統」という字は、糸へんに「充実」の「充」と書きます。
これは、でっぷりと太った人を横から見た姿を描いた象形文字。
糸へんは多くの糸が集まっている様子を表しています。
そこから「統」という字は、糸を使って「集めてまとめる、全体をひとつにする」、その結果として人が満たされる、という意味になりました。
一本一本の糸の先にある民衆の心。
その繊細なゆれを感じ取り、彼らの声に耳を傾けながら、ひとつにまとめてゆく。
リーダーに必要な資質が、この漢字から見てとれます。

中国・北宋の文人政治家、范仲淹は、人の上に立つ者の心構えを、こう記しています。
「天下の憂いに先んじて憂え、天下の楽しみにおくれて楽しむ」
為政者は民に先立って天下のことを案じ、民の生活が安泰したあとに自ら楽しむものである、という教えです。
これはのちに「先憂後楽」という四字熟語となり、多くの政治家や経営者が座右の銘にしているといわれます。
「統べる」という漢字に使われた「充(み)つる」の形。
それは、私腹を肥やしている人の姿ではなく、体力と気力が充実した人の姿。
他者を慈しみ、思いやることを優先する心の豊かさを示しているのです。

ではここで、もう一度「統」という字を感じてみてください。

現状を知ろうともせず、ぬくぬくとした場所から口を出すだけの統治者たち。
その様子に腹をたてた農業指導者がいました。
江戸末期から大正時代のはじめにかけ、故郷・秋田の農村救済に一生を捧げた石川理紀之助。
率先して動き、汗を流しながら手本を見せた理紀之助の信条は、「寝て居て人を起こす勿れ」。
天下統一・国家統治といわずとも、家庭や職場、地域の人々の心をひとつにまとめたい、そう思うならぜひ、覚えておいて欲しい言葉です。
さあ、まずはしっかり目を覚まし、自ら動き出してみるとしましょうか。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。


*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
『四字熟語で読む論語』(諏訪原研/著 大修館書店)

10月22日の放送では「仮」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


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<番組概要>
番組名:「感じて、漢字の世界」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/

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聴取期限 2016年10月22日 AM 4:59 まで

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