【漢字トリビア】「家」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「家」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「家」の成り立ち物語

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。「家」という字は、屋根のついた建物を象った「うかんむり(宀)」の下に、「いのこ・いのこへん(豕)」と呼ばれる部首を書きます。



「感じて・・・、漢字の世界」。
今日の漢字は「家」。

「家」という字は、屋根のついた建物を象った「うかんむり(宀)」の下に、
「いのこ・いのこへん(豕)」と呼ばれる部首を書きます。
「いのこへん」は、猪の頭・足・尾の形を表していて、
猪や、それに似た動物に関連する漢字に使われます。
白川文字学でおなじみの白川静博士によれば、
ここでいう動物とは、生贄(いけにえ)として捧げられた犬のこと。
また「うかんむり」が表しているのは、先祖を祀る神聖な建物だといいます。
そうした特別な建物を建てるときには、
土地の神を鎮めるために生贄を埋めて、地鎮祭を行ったのです。
古い字体を見ると、犬は尾を垂れた形になっていて、
命を奪われた状態で、建物の基礎部分に埋められたことがうかがえます。
そこから、もとは祖先を祀る建物を指していたこの漢字は、
そのそばに家族が住んだことから、
「いえ、住まい」という意味になったのです。

「家」という漢字の中に記されている「犬」。
犬を生贄にするという行為は現代の感覚からすると残酷に思えます。
漢字が誕生した古代中国、殷や周の時代において、
犬は祓いや清めの力がある、特別な動物。
国王の棺の下には、墓をまもるために武装した軍人とともに、
犬が必ず埋められていました。
また、祭祀の折には神々が好むとされていた犬を焼き、
その匂いを天へ届けたといいます。
当時、犬は人と近しい存在であり、その命は、この上なく貴いものだったのです。

今日の漢字は「家」。
一族が暮らす土地の神を鎮めるため、
祖先を祀る霊廟の下に埋められた生贄の犬を描いた漢字です。

ではここで、もう一度「家」という字を感じてみてください。

コラムニストの酒井順子氏は『家族終了』という著書の中で、
戦前の厳しい家父長制や、戦中の「産めよ増やせよ」政策を例にあげ、
それらを、日本が国の状況に合致させるべく用意した
『おすすめの家族像』と評しています。
そして、その「枠にはまっていさえすれば、生きることはできた」一方で、
その枠内にいるためには、
「誰かが尋常でない我慢をしなくてはならなかった」と指摘しています。
「家」という制度は、それを構成するうちの誰かが、
ある意味、貴い犠牲となることで成り立ってきたといえそうです。
今まで作られてきた「家」という名の枠組。
それが柔軟に形を変え、間口を広げることができたなら、
私たちは誰ひとり我慢を強いられることなく、
もっと自由に、自分らしく、生きてゆけるのかもしれません。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら・・・
ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献 『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
      『家族終了』(酒井順子/集英社)

6月15日(土)の放送では「洗」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


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<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜8:20〜8:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/



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