夫婦は「ムカつきあわないと危ない」… 「妻のトリセツ」著者が語る夫婦関係

夫婦は「ムカつきあわないと危ない」… 「妻のトリセツ」著者が語る夫婦関係

夫婦は「ムカつきあわないと危ない」… 「妻のトリセツ」著者が語る夫婦関係

本上まなみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「セブンカフェ presents SOUND IN MY PREMIUM LIFE」。6月9日(日)・16日(日)の放送には、ベストセラー「妻のトリセツ」著者である黒川伊保子さんが登場。夫婦がムカつき合う理由、夫婦円満の秘訣などをうかがいました。


黒川伊保子さんと本上まなみ



◆ムカつきあう夫婦ほど、生存可能性は上がる

本上:2018年10月発売の「妻のトリセツ」が38万部を突破。今年4月には「定年夫婦のトリセツ」を発売されました。

黒川:「妻のトリセツ」は、子育て中のご夫婦に向けて書いたつもりだったのですが、50代後半〜60代の男性からたくさんメールをいただいたんですね。「『一緒の空気を吸うのも嫌』と言われてたのに、『この子が早く大きくなって、一緒に旅ができるといいわね』と言われるようになった」ですとか、涙なくしては読めないような……。そのなかで「定年生活が怖くなくなった」という表現がいくつもあり、「怖いのは男性も一緒なんだ」と感じました。そこで、定年夫婦には定年夫婦のコツがあるので、それをしっかり書いてあげたいと思ったのがこの本です。

本上:第1章は「夫婦はなぜムカつきあうのか」。脳科学的に、男女が(一緒にいて)イライラするのは仕方ないということなのでしょうか?

黒川:まず、男女は、自分の持ってない感性の持ち主に恋をします。免疫抗体の型の遺伝子が違う相手に発情すると言われているんですね。寒さに弱い人が、寒さに強い人を好きになるというように。だから、夫婦のエアコンの適正温度は一致しないし、どちらかは寝つきが良くて一方は悪い。自然にムカついてしまうんですね。

そして、脳をシステムとしてとらえたとき、ムカつかないと危ないんですよ。女性は目の前のことを見て、男性はちょっと遠くを見て答えを出す。そうすると別々の答えが出てくるし、譲り合っていては危ないんです。どちらも正解なんだけど、選ぶときに真剣に喧嘩をし、最短でいい答えを出す。ムカつかない夫婦は、生存可能性が下がってしまうんですね。

なので、ムカつきあう夫婦ほど、お互いの遺伝子を持ち寄って子孫が強くなるし、生存可能性も上がる。人類にとってどうしても必要なシステムとして、夫婦はムカついてると思います。

本上:では、黒川さんの思う「夫婦円満の秘訣」は?

黒川:私が「夫婦円満の秘訣」なんて言うと、夫がたぶん笑うと思います(笑)。毎日喧嘩をして過ごしていますから。ただ、脳の状況が少し変わると、「意外に我慢できるかも」と思えて(夫婦関係を)続けていけたりするんですよ。脳は7年ごとにいろいろなことを見切る習性を持っていて、それ以外にも、ホルモンバランス、疲れ、栄養状態などで「もう耐えられない」と思うことがあるんですが、「嫌だな」と思ったときに投げ出さないこと。遠巻きに見て、誠実な言葉をかけ合っているうちにやり直せた日々もあると思うので。自分自身の実感なんですけどね。

◆“35歳の女性司書”AIで一人前に

本上:この番組では、人生で最も大きな転機となった「プレミアム・タイム」をうかがっています。黒川さんにとっての「プレミアム・タイム」は?

黒川:1991年、2つの光を手に入れた年です。

本上:詩的な表現ですね。2つの光というのは?

黒川:1つは、4月1日、全国の原子力発電所で、日本語で対話をしながらデータ検索を助けてくれるコンピュータシステムが稼働したんです。今の言葉だと“日本語対話型女性司書AI”。それを世界で初めて作ったのは私なんですね。「35歳の女性司書にしてください」という仕様通りに、AIを作りました。当時、大型機の環境では、日本語対応は不可と言われていたなかで、なんとか。

本上:すごいですね。でも、オーダーで「女性」というのは……?

黒川:“セクハラ”という言葉がない時代でしたからね。当時は、機械語を使って命令文を書き、処理して送ると、そのうちデータが吐き出される仕組みでした。でも、技師は運転だけでも神経を使います。その上で、コンピュータの機械語を使うのは大変ストレスだと。だから「こんなデータはありますか?」「1970年代アメリカのこのケースですね」というように、優しい言葉で導くため、“35歳の女性司書”が理想だったんです。

本上:初めて聞くお話です。それが黒川さんにとって光に。

黒川:その開発をしたことで、男女の対話の仕組みの違いに気づき、とっさに使う脳の感性の違いを研究しようと決心しました。そして、AIの研究者、対話システムの開発者として、プロとして認められた年でもありました。

本上:なるほど。2つ目は何なのでしょう?

黒川:そのシステムを作っていたとき、月120時間くらい残業していたのですが、実は私、妊婦でして。産休に入る直前、あるクレームが入りました。「『はい』が3つ続くと冷たく聞こえる」と。仕方がないから「はい」「えぇ」「そう」をランダムに入れると、次は「ここは『はい』じゃないと安心できない」と。例えば、「これを今すぐ1部コピーして」と言われて、「えぇ」だと不安になりますよね。つまり、「はい」と「えぇ」は同じではなかったんです。「この五感を数値化し、AIに搭載しなきゃいけない」と気づいたのが、産休に入る前日でした。

本上:そのタイミングで産休に入られたんですね。

黒川:産休中の年末、息子が私のおっぱいをくわえ損ねて、「ハムッ」と発音してくれたときがありました。そこで、「おっぱいをくわえたときの口腔形がMなんだ!」「Mって、満ち足りた感じ、優しい感じがする」「口のなかで起こる物理効果が五感なんだ!」と気づいたんです。息子との関係性のなかで、人間が言葉とどう出会っていくのかをより深く知ることができ、五感を数値化できたことで、私のAIは「はい」と「えぇ」の区別ができるようになりました。1991年がなかったら、私がしてきた研究は、すべてなかったと思います。

本上:今まさに言葉についての話が出ましたが、6月7日(金)には新刊「ことばのトリセツ」を発売されました。こちらはどういった内容でしょうか?

黒川:私は、人工知能に五感、言葉の感性を理解させるための研究をしているので、その言葉の感性を紐解いた本になっています。日ごろ、言葉を使っているすべての方に、一度、言葉の感性の真実を知っていただければなと思います。

<番組概要>
番組名:セブンカフェ presents SOUND IN MY PREMIUM LIFE
放送日時:毎週日曜8:30〜8:55
パーソナリティ:本上まなみ
番組サイト:https://www.tfm.co.jp/premium/

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