日本唯一の若き“製硯師”文化継承への思いを語る

日本唯一の若き“製硯師”文化継承への思いを語る

日本唯一の若き“製硯師”文化継承への思いを語る

放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」。10月20日(日)の放送では、製硯師(せいけんし)の青蜍M史さんをゲストに迎え、お届けしました。

(左から)宇賀なつみ、青蜍M史さん、小山薫堂



◆「硯は建築物と同じ」
青蛯ウんは、書道でおなじみの硯(すずり)を作ったり、修理や復元をしたりする職人。“製硯師”の肩書きを名乗っているのは、日本でただ1人だそう。

そして、浅草にある書道用具専門店「宝研堂(ほうけんどう)」の4代目でもあります。祖父や父が硯を作る後ろ姿を見て育ち、16歳のときに祖父に硯作りの修行を申し出て、製硯師の道へ。「硯が好きというより、父と祖父が仕事をしている姿が好きだった」と振り返ります。

硯作りに携わって24年。「ずっと心に生き続けているのは、石が硯に変わっていくまで、そして、それがお客様の手に届くまで“どのように石と向き合っていくか”。石をどのように調理して、千年残って愛される硯に仕立てていくか。そうした石との向き合い方を2人から吸収していくには、非常に恵まれた環境だった」と語ります。

さらには「硯は建築物と同じで、ずっと修理しながら何千年も人の生活に寄り添って生きていくもの。ある時期の完成形という見え方はあっても、育ち続けるものなので、硯に完成はないと思います。そのため、僕は自分の作った硯に名を切りません。お客様の手元で完成を迎えていくものだと思っている」とも。

硯作りに使う道具



◆「硯の存在を知ってもらいたい」
現代は、墨を磨って筆を取る機会が減りつつあります。青蛯ウんは、「硯というものを残したい。子どもたちは、小学校の授業でプラスチックの硯を使っているので、硯本来の使い方を知らないうえに、石の硯を磨るという体験をしていない子がほとんど。子どもたちに“我々は漢字文化圏最古の筆記用具、毛筆文化の継承者なんだよ”“硯は字を書く筆記用具として、当たり前のように使っていいもの”という選択肢として、硯の存在を知ってもらいたい。それが根づいていれば文化は継承され、硯という本質が残っていく」と思いを語ります。

青蛯ウんが作るのは、多くがオーダーメイドの一点物で。「1つ作るのに平均60〜80時間くらいですね。大きさや内容によっては、2〜3年くらいかかることもあります。がんばって月に2、3個」と言います。

笑顔を見せる宇賀なつみ



この日は、二大名硯の「歙州硯(きゅうじゅうけん)」と「端渓硯(たんけいけん)」をスタジオに持参してくれました。硯を手にした小山は「えっ、これ硯ですか?」と声を上げ、宇賀も「私たちが想像していた硯と全然違いますね!」と驚きます。

その独特な形状に、小山が「これ、(水が)こぼれませんか?」と尋ねると、「基本的に書くぶんだけ磨るという概念で作られていて、水は2、3滴で大丈夫です。水は醤油差しが2、3滴の操作ができるので、非常に便利ですよ」と青蛯ウん。

独特な形状の硯で墨を磨る宇賀



「『の』を書くように磨ってみてください」とのアドバイスを受け、実際に硯を磨った宇賀は「全然力を入れていないんですけど、すごく滑らかで勝手に手が動いていくような感覚。こんなに気軽にできるんですね!」とビックリ。

2人はさっそく筆を手に取り、紙に文字を書いていきます。小山は「開眼した感じ。ハマりますね」と笑顔を見せると、宇賀も「楽しい! 習い事や授業でしかやったことがなかったから、こんなに楽しいんだ〜」と声を弾ませました。

11月17日(日)〜11月24日(日)まで、東京・御茶ノ水の亀治郎ギャラリーで個展“製硯師 青蜍M史の硯展「日々」”が開催されます。ぜひ、力作を間近でご覧ください。

<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00〜15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/post/

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