「人を幸せにすることができる」料理研究家・土井善晴が語る“料理が持つ力”

「人を幸せにすることができる」料理研究家・土井善晴が語る“料理が持つ力”

「人を幸せにすることができる」料理研究家・土井善晴が語る“料理が持つ力”

コラムニストの犬山紙子(月曜&火曜担当)と、アプリクリエイターの関口舞(水曜&木曜担当)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生放送番組「ホメラニアン」。11月25日(月)放送の「ホメラニアン ホッとフォーラムSupported by 日本財団」のコーナーでは料理研究家の土井善晴さんをゲストにお迎えしました。

(左から)土井善晴さん、犬山紙子



◆作る人と食べる人の関係で “食事”が成立する
犬山:料理研究家として活動する土井さんは1957年大阪生まれ。スイス、フランスで料理を学び、帰国後、大阪の「味吉兆」で日本料理を修業。1992年には「おいしいもの研究所」を設立。料理番組『おかずのクッキング』『今日の料理』の講師としてご活躍する一方「一汁一菜でよいという提案」など、著書も多数、手掛けていらっしゃいます。そして最近は土井先生のTwitterも話題になっているということで。

土井:そうなんです。

犬山:私のタイムラインにも、“土井先生のつぶやきを見てすごく楽になった”っていう書き込みが流れてきて。

土井:そうなんですか。ありがとうございます。

犬山:この間の「赤福が朝ごはん」。あのつぶやきも、みんな“あぁ、楽になる”っていうふうに。

土井:何で楽になるのか知らんけどね。

犬山:はい(笑)。多様な食卓というか、多様性を認めてくださっているからなのですかね。

土井:いやいや。家の家庭料理というのは、レシピとかそういうんじゃなくて、今あるものを食べるっていうことが生きていく力でしょう。

だからあるものを食べるっていうのは“あぁ、これどうして食べよう”って思うことそのものが、実はクリエイティブなんですよ。だから料理って、作る人と食べる人の関係の問題で。例えばこれが終わったら、今日は何が食べたい?

犬山:正直、肉まんが食べたいですね。

土井:そうやってね、食べる人だけだと、自分のことしか考えないでしょう。

犬山:そうですね。完全に欲ですね。

土井:本当に自分のことしか考えない。食べる人って、お腹空いたら機嫌が悪くなるし。

犬山:なるー!

土井:もう本当に、そういう食べるだけの人には、日本の食文化を任せておくわけにはいかないんですよ。

作る人と食べる人の関係で、はじめて“食事”というものが成立して。作る人は表現者、そして食べる人は観客、というね。この2つで食事が成り立つ。作る人って、あなたのことを考えるでしょう。

犬山:そうですね。

土井:だから人と人の間に、ええことが生まれるんですよ。それは何が生まれるの?

犬山:なんだろう。愛情?

土井:そうそうそう。結局ね、目に見えない人を思いやる気持ち、まぁ人間の情緒性みたいなのが生まれる。だから作る人っていうのは、きっと自然を振り返って“あぁ今日はこんなお天気だから”って素材のことを思うわけ。

そうして、こっちを見て、あなたのことを考えて“じゃあ、何を食べさせてあげよう”“今日は遅くまで仕事をしていたから、また明日でも。軽いものでいいよね”、とか。あなたのことを考えて。だから物と自然と人間、人間と人間の間に情緒、目に見えない大切なものを作り出すのが、実は食事なんですよ。

犬山:なるほど。ただの消費だけではなくて、そこの情緒を含めて。

土井:そうそうそう。ただ食べるだけだったら、別に家庭料理なんていらないんですよ。売っているわけだから。ちゃんと料理をするっていうことで、初めて意味が生まれるんですよね。

◆家庭の料理で「いろんな無限の経験をしている」
犬山:今深く沁みたんですけれども。さぁ、そんな土井善晴先生とお話する議題、こちらです。「日本食を褒めたい」とのことで、健康的でおいしくて美しい、そんな日本食の素晴らしさについて、土井先生と一緒にお話していきたいと思います。ということで、今もまさに情緒の……。

土井:もう既に話したけど(笑)。

犬山:お話を頂いて。はい。いやでも食べることで、もちろん血と肉になるっていうところだけじゃなくて、心までその情緒を受け取ることが出来る。

土井:その情緒というと、物と一緒に受け取っているのが、例えば“お母さん、このお芋が美味しいね”って言ったら“あなたよく気が付いたね。これ、おばあちゃんが送ってくれたお芋だよ”と。ということは、お料理の向こうの物を一緒に食べているんだということね。

そして洗い物のときにガチャガチャ音を立てていたら“今日お母さん何か機嫌が悪いんじゃない”とか、そんなことまでわかるわけでしょう。だから家庭生活のなかで、料理っていうところの現場において、いろんな無限の経験をしているわけですよ。

だから情緒を得る、気持ち、思いやる気持ちだけじゃなくって、これはおいしそうか、おいしくないかとか、いろんなイマジネーションを膨らませることができるの。それが、経験がなかったら、何も判断できないんだよ。だから、人の顔が見えないものを食べていたら、何も経験しないっていうことになるわけ。

犬山:そっか。思いを巡らせないし。自分のなかに。

土井:そうそうそう。想像力がない。想像力は、それこそクリエイティブのもとだから。だから、お料理して食べるっていうところが本当に大事で。この頃は、5人に1人の子どもが、家に帰ってもご飯がないなんて言われているわけでしょう。何でないの? って。本当にわかんないよね。その子ども達は、もう家族が頼りにならないわけよ。

だけども、小学校3年生でも一汁一菜なんかで味噌汁を作れたら、ご飯を炊けて味噌汁を作れたら“君のうち、ごはんないねやろ、うちおいで”って。小学校3年生でも自分で作って食べられたら、人を幸せにすることができるって。

犬山:人を幸せに。

土井:お料理ってすごいでしょう。

犬山:本当にその言葉が沁みます。

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<番組概要>
番組名:ホメラニアン
放送日時:毎週月〜木曜 20:00〜21:30
パーソナリティ:犬山紙子(月、火曜)、関口舞(水、木曜)
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/homeranian

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