時間差で理解できる絵本の魅力…絵本作家・ヨシタケシンスケが語りつくす

時間差で理解できる絵本の魅力…絵本作家・ヨシタケシンスケが語りつくす

時間差で理解できる絵本の魅力…絵本作家・ヨシタケシンスケが語りつくす

放送作家の高須光聖が、世の中をもっと面白くするためにゲストと空想し、勝手に企画を提案していくTOKYO FMの番組「空想メディア」。2019年12月29日(日)の放送では、絵本作家・ヨシタケシンスケさんが登場しました。


(左から)高須光聖、ヨシタケシンスケさん


◆モノの“所有権”の面白さ
高須:『わたしのわごむはわたさない』という絵本を描くときは、輪ゴムが面白いって思ったのがきっかけですか? どういう経緯で生まれた本なのでしょうか。

ヨシタケ:うちの子どもが5歳ぐらいの頃にゴミ箱から輪ゴムを拾ってきて「もらっていい?」って聞きにきたんですね。捨ててあるものなので「いいよ」って言ったら「やったー!」ってめちゃくちゃ喜んだんですね。

高須:そういう思い出があったんですね。

ヨシタケ:そこがすごく面白くて。自分のものになった瞬間はすごく嬉しいってことが、息子を見ていて(昔の自分を)思い出したんです。それが大事かどうかよりも、誰のものかが大事っていう感覚ですね。所有権って面白いなって。どんなに面白いオモチャでも、人のものだったらつまらないし、5分だけ貸してもらうっていうのも楽しくないじゃないですか。

高須:やっぱり、自分のものだって言われたら、その瞬間に愛着がグッと湧きますね。

ヨシタケ:“誰のものかで価値が変わる”ってことに面白さを感じたので、それをテーマに絵本が描けるんじゃないかなって思ったのがはじまりです。

◆色を付けるのが苦手
高須:(絵本製作で)“色を付けない”って。すごく重要な工程だと思うんですけど、なぜ色を付けないんですか?

ヨシタケ:僕の色のセンスがないからですね(笑)。最初の絵本を作った編集者さんに、「僕は色を付けるのが下手だから絵本を作れないと思います」って言ったんですね。そうしたら「色が付いていない絵本もあるので、色がなくても別にいいじゃないですか」って言われて。

その通りだなと思って絵本を描いていたんですけど、色があるほうがいいだろうなと思って着色してみたんですよ。色を付けた本を見せたら「そうですね……色はデザイナーに付けてもらいましょうか」って(笑)。

高須:(笑)。見抜かれたんですね!

ヨシタケ:即座にボツでした。僕も、「ですよねぇ」って(笑)。でも、そのおかげで吹っ切れたというか。色を付けるのって全然楽しくないんですよ。絵を描くのは好きなんですけど、色を付けるのは本当にダメで。

高須:こだわりはないんですか?

ヨシタケ:ないですね。

高須:ええー! 絵本の紙自体の色も違っていたりしますよね。

ヨシタケ:緩急を付けたり、場面転換を分かりやすくするといった細かい部分のニュアンスを、色使いのプロに任せていますね。

◆子どもと大人で受け取りかたが違う
高須:ヨシタケさんが「こんな絵は描けない! すごい作品を描く人だな」って思う方はいますか?

ヨシタケ:佐々木マキさんです。元々漫画家の方で、絵本のデビュー作である『やっぱりおおかみ』が好きで、子どもの頃によく読んでいました。

高須:けっこう古い絵本なんですね。

ヨシタケ:初版が1977年です。絵がすごく上手で、イラストっぽい絵を描かれるかたですね。絵はかわいいんですけど、ストーリーが当時は全く理解できなかったんです。「なんでこういう展開になるんだろう? 最後はどういう意味なんだろう?」って、子どもの頃は納得できなかったんです。

それから大学生ぐらいの頃に本屋さんでその絵本を見かけて。そうしたら「あっ、こういう意味か!」ってわかったんですね。そのときに、絵本ってすごいなって思ったんですね。

高須:タイムラグがあって、(内容が)わかる本があるんですね。

ヨシタケ:同じ本なのに、いつ読むかで全く違う受け取り方ができるっていう。他のものにはない特徴なんですね。子どもの頃にわからないながら何回も読んでいた自分は、我ながらカッコいいと思います(笑)。

大人になってもう一度読むためには、子どもの頃に好きでなくちゃダメなんですよね。読み返した時点では、絵本作家になるって思っていなかったんですが、“絵本作家になってみませんか”って言われたときに、『やっぱりおおかみ』みたいな、ああいう現象が起きてくれる絵本が描けたら最高だなと思いました。

高須:なるほど。

ヨシタケ:子どもって、全部理解できちゃうと興味が失われるんです。だけど「これなんだろう?」があると、ずっと興味を持ち続ける。「大人はあのページを見て笑っている。自分もはやく大人になりたい」に繋がるはずなんですね。なので、1冊の本のなかに“子どもにしかわからないこと”と“大人にしかわからないこと”の両方が入っていると、すごく豊かな作品になるんじゃないかなと思っています。

??80名様に「TOKYO FM」オリジナルグッズをプレゼント! 応募はコチラから??


<番組概要>
タイトル:空想メディア
放送日時:毎週日曜 25:00〜25:29
パーソナリティ:高須光聖
番組公式Facebook:https://www.facebook.com/QUUSOOMEDIA/

関連記事(外部サイト)