小林武史「ap bank」立ち上げの経緯と葛藤を語る「“売名行為だ”って、思われたくなかった」

小林武史「ap bank」立ち上げの経緯と葛藤を語る「“売名行為だ”って、思われたくなかった」

小林武史「ap bank」立ち上げの経緯と葛藤を語る「“売名行為だ”って、思われたくなかった」

放送作家の高須光聖が、世の中をもっと面白くするためにゲストと空想し、勝手に企画を提案していくTOKYO FMの番組「空想メディア」。6月14日(日)の放送では、先週に続いて音楽プロデューサー・小林武史さんが登場しました。


(左から)小林武史さん、高須光聖


◆「ap bank」は“町内会の自治活動の延長”
高須:小林さんが設立された「ap bank」のことを教えていただけますか。

小林:「ap bank」は、環境のことを考えるために作った団体です。

高須:作られたのは何年ぐらいですか?

小林:設立したキッカケは、2001年に起こったニューヨークの同時多発テロ事件でした。あのときは、東京のスタジオでMr.Childrenのレコーディングをやっていましたが、ニューヨークにもスタジオがあったんですね。大変なことが起きていることを、テレビを通じて知りました。そこで、事件のあとに以前から交流があった坂本龍一さんと話し合うことにしたんです。

日本からしたら、対岸の火事かもしれないけれど、日本の銀行に預けているお金が、石油を買う目的で使われて、その売り買いを不服に思う人がテロを起こし、戦争を招くかもしれない。つまり、“世界の物事というものは繋がっているんだ”って気付いたんです。そして、日常に置き換えてみても、“蛇口をひねって出る水はどこから来るのか”“僕らが出したゴミはどうなるのか”といった、環境の小さなことからでも、世界の繋がりを知ることはできるんですよね。

“未来”というのは、一人ひとりの責任で作り上げていくものなので、「俺は関係ないから」って文句を言うのではなくて、行動をすることにしたんです。だけど、ついこのあいだもありましたが、芸能人が意見を言うことに対して、ああだこうだ言ってくる流れがあるんですよね(笑)。

高須:そうですね(笑)。

小林:僕からしてみれば、音楽のロックは、カウンターカルチャーを象徴しているのに、生きている現場に対して、何も言えないのはおかしな話なんですよ。ニューヨーク在住の坂本龍一さんや桜井和寿と話し合って「ap bank」ができたわけですけども、“売名行為だ”って思われたくなかったんですね。

だからまずは、環境に関する活動をしている人たちへ、融資をするところから始めました。そうやって、コツコツと活動を続けていくうちに、周りが信頼してくれるようになったんですね。何のためにこういう活動をやっているのかっていうと、いわば“町内会のドブ掃除の延長”みたいなものなんですよ。

高須:(笑)。だけど、それっていいことですもんね!

小林:とはいえ、融資ばかりをしていると、それぞれの資金も尽きていきますから、活動資金を得る方法を考えたんですね。そして、音楽フェスティバルの「ap bank fes」やバンドグループのBank Bandが生まれました。

高須:そういう経緯があったのですね。

◆世代ごとの役割を見直す時期が来ている
高須:新型コロナウイルスが、人の心を大きく変えましたよね。

小林:ちょっと今は、SNSとかでフラットになり過ぎていると思いますね。昔は井戸端会議のような、同じ世代の人たちが集まる場所というのが存在していたんだけれど、今はベタになっている気がする。もうちょっと、陰影をつけて伝えていかないとダメなんだと思う。“世代ごとの役割”というのが、やっぱりあると思うんだよね。

高須:そうですよね。

小林:若い頃は、無茶でも何でもやっちゃうからね。「自己実現!」って言ってね。

高須:(笑)。僕らの年代は、言ってしまえば“町内会長”みたいなものですよね。

小林:(笑)。そうなることが悪いことではないし、若い子たちとはフラットにならないほうがいいよね。それに、今の日本はややこしい状態だよね。どう行けばいいのか、胸を張って「こうだ!」って、若い連中になかなか言い切れないのが難しい(笑)。

今って、見えないものを媒介にせざるを得ない状況ですよね。これまでは見えるものばかりのなかで生きていて、そのなかで判断を下して、お金に変えていましたから。

高須:そうですよね。今まではそういう社会でした。

小林:だけど今は、その根本がぐらついています。当初、新型コロナウイルスの影響で経済がダメージを受ける、ってなったときに、国の態度が曖昧だったでしょう? それがここにきて突然、大盤振る舞いを始めちゃったりしていますからね。

高須:(笑)。

◆現在は、“食”の情報を発信中
高須:何か告知はございますか?

小林:食に関することがあります。現在は、少しずつ元に戻りつつはあるけれど、一部の有名なところ以外だと、なかなかレストランに人が戻りきらないじゃないですか。優秀なシェフやレストランが橋渡しをしてくれていた“食の繋がり”があるんですけれど、今は自粛せざるを得ない状況なんですね。

スーパーなどの大手流通で繋がっている生産者も苦しい状況ではあるけども、個で繋がっている、才能あるレストランも窮地に立っているわけですよ。そこで「ap bank」では「GREAT FARMERS to TABLE」を立ち上げました。外出自粛を続けている人たちに向けて、食の情報を発信しています。かれこれ2ヵ月ほど活動していますね。

高須:なるほど。

小林:今は、シェフたちとビデオ配信に挑戦しています。ものすごくセンスがよくてわかりやすい、そして、場合によっては高級感もあるクッキング番組を作っています。シェフたちが「ここがポイントです」って解説してくれるんですよ。僕も作ってみました。

高須:作ったんですか(笑)!?

小林:結構すごい料理ですよ。ただ、「もうちょっとカジュアルな料理も作ったほうがいいんじゃない?」とは言っています。民放でも、そういった番組はありますが、僕らの場合は、生産者とシェフが“直接発信しているところ”が特徴ですね。

社会を元に戻すことも重要だけれど、一度立ち止まることも必要なのかな、と思っています。それがメリハリになるかもしれませんから。この活動は、長期的に続けたほうがいいんじゃないかな、と考えています。

高須:面白いですね。いろんなことをされているなあ(笑)。小林さんにそういった面があることを知らなかったです。とても楽しい時間でした。

小林:(笑)。またぜひ、お話しましょう!

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<番組概要>
番組名:空想メディア
放送日時:毎週日曜 25:00〜25:29
パーソナリティ:高須光聖
番組公式Facebook:https://www.facebook.com/QUUSOOMEDIA/

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